桃太郎になっちゃた?

青キング

キジミエルの実家と犬川の不機嫌

 今、私はこの港町にある実家へ向かっている。
  街の中心から歩いて十分。木造の小さな一軒家が私の実家だ。
 戻るのは何ヵ月ぶりだろうかやっと母に逢えるそう思うと楽しみでならない。
 入り口のドアを開ける。
 おかえりなさい、と母の返事が。
 「ただいま、お母さん」
 「大変でしょうね、あのわがままなマキエリ様の補佐と護衛なんて」
 母はテーブルの木製椅子に腰掛け私を手招く。
 私もフードを椅子にかけ着席。
 「いつぶりかな?」
 「お母さんは何か問題あった?」
 母は考え込む表情を見せる。
 「鬼かな?」
 鬼が母に手を出したのか?
 「そんなに驚いた顔しなくても私に何かあった訳ではなく、この街自体が鬼と問題があって」
 鬼と言えば港から海をわたり約三時間の距離にある小さな火山島だ。
 「最近、鬼族の横暴が迷惑で」
 「例えば?」
 「この街のいくつか店が占領されたとか舟が攻撃されたとかほんと自分勝手というか迷惑」
 母は一つ溜め息を溢す。前まではこんなことなかったのに。
 「大丈夫だよお母さん。私達が横暴な鬼族をなんとかしてあげるから」
 「私達?」
 しまった!つい志乃達の存在も入れてしまった。
 「お母さんかくかくしかじかで」
 お母さんは頷きながら話を聞いてくれた。
 「その志乃さんとやらが鬼族の退治を目指していると言うことですか」
 だから四人で鬼ヶ島に出撃しようと。
 「いい仲間を持ちましたね」
 「え?」
 母は微笑みながらそう言うと立ち上がり奥の部屋へ入っていった。
 「これを持っていきなさい」
 母から手渡されたのは一つの水晶。
 「これときびだんご作ってあげるからまだ時間あるわよね」
 母は台所でテキパキと水際立った手際できびだんごを作り上げていく。
 「はい、持っていきなさい」
 「この水晶はどう使えば?」
 「絶体絶命の時に一度しか使えないから、よーく考えて使うこと」
 多分すごく大きな威力の魔法なのだろう。
 時間は瞬く間に過ぎていく。
 「もう時間が来ちゃった」
 母は残念そうに肩を落とす。がすぐに開き直り。
 「いってらっしゃい」
 その一言を聞くだけで勇気が湧いてくる。そんな感じかした。
 「いってきます」
 私も一言で返すと実家を後にした。
               
 まだかなキジミエルさん。
 宮殿の散策を終えて集合場所の中央広場でキジミエルさんを待ち続ける俺達は三人。
 「誰か近づいてきた」
 ショートカットの青髪に俺とさほど変わらない背丈おそらくキジミエルさんだろう。
 「皆さんずいぶん早かったですね?」
 「キジミエルさん少し時間に遅れてますよ」
 キジミエルさんはそんなはずは、と言わんばかりに中央の時計台を伺う。
 「ほんとですね。なんと言う失態を」
 「でも五分ですよ」
  「時間は関係ありはゃせん」
 噛んでしまったらしい。両手で口を押さえて照れるキジミエルさんがとてもかわいい。
 「さっさと行きましょう!」
 少し不機嫌に言い放つ犬川に隣で立ち寝している猿吉と目の前でふふ、と笑いを溢すキジミエルさん。
 「港に舟がありますのでまずは港に向かいますか」
 「なんであんたに誘導されるのよ」
 犬川の機嫌が直らぬまま、俺達四人は港に向かって歩き出した。

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