桃太郎になっちゃた?

青キング

バスルーム

 グループステージを突破し決勝戦への道を切り開いた俺達は待合室で時間を潰していた。
 「ほんとに何もしなくて済んだわ」
 待合室とは言っても宿泊施設の一部屋だ、左隅には一人用ベットが二台横に並んでいる。
 「まさかほんとに勝ってしまうとは勇姿を見せてもらったぞ」
 右隅には一畳分くらいの大きさしか程度しかないテーブルが一台ぽつりと用意されていた。
 入り口の横に俺の背丈くらいの収納ロッカーが一台あるだけだ。
 「ここってでっかいバスルームあるんでしょ。萌一緒に行きましょうよ」
 「まぁ行ってもいいが」               
 猿吉は少しはにかんで答える。
 それを聞いたとたん犬川は猿吉の腕を掴み待合室を退出する。
 俺は待合室に一人残されてしまった。かといって決勝戦までは時間がたんまり余っている。
 ベットに大の字になって寝転がる。
 未だに犬川が突然微笑んだり爆笑したりする理由がわからない。気になって仕方ない。
 犬川は確かに美少女だがその前に一人の人間だ。何か悩みごとでもあるのではないだろうか?
 部屋のドアがノックされる。誰だ?
 ベットから起き上がりドアを開ける。
 「なんなりとお申し付けなさいませ」
 「何ですか一体?」
 執事服を着た男性は俺よりも背が顔一個分高く襲われたら抵抗できないだろう。
 「この度、志乃チームの召し使いをやらせていただきますブラックと申します」
 「この大会の間ってこと?」
 「その通りでございます」
 来てもらったけど頼むことなんて何もないしな。
 「バスルームに行きたいならば私が待合室の警護をいたしますよ」
 警護か、少し誇張してるけど風呂に入りたいし頼んでみるか。
 「じゃあお願いします」
 俺は深々と頭を下げる。
 ブラックさんも一礼して俺を見送る。
 バスルームへ向かう。男湯と女湯が分かれているため懸念なく優雅に入ることができる。
 脱衣室前には一人のおばあさんがカウンターで来る人全員の持ち物チェックを行っていると言う。それがとても厳しく金品はもちろん、尖ったものなども取り締まられる。
 俺はついにチェックされたまずはこのITスキャンから抜けなければならない。ここはなんなく抜けることができた。
 おばあさんのところまで来てしまった。おばあさんは俺を横目に睨み付ける。うう怖い。
 「あんた勝ち進んだやつだね」
 「は、はいそうですけど」
 ものすごい圧力を感じるぞ。
 「頑張りなよ」
 「ありがとうございます」
 少々頭を下げながら脱衣室に立ち入る。
 どうやら先客は居ないようだ。孤独を味わうのもなかなか深みがある。
 俺は脱衣してガラス戸をスライドして、おお湯気が顔を覆う。
どうやら高温、中温、低温の三つの湯船があるらしい。もちろん俺は中温。
 どっぷりと浸かる。ああ、気持ちいい。
 心身ともに邪悪を洗い流し俺は決勝に向けて意気込むのだった。

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