桃太郎になっちゃた?

青キング

集落の一人娘

 俺は行く宛もない、そんなことも分からず飛び出て来てしまった。
 とにかくまっすぐ歩いてみる。そうすると何かあるかもしれない、というかないと困る。
 歩いているとついに人を発見。俺は道を尋ねた。
 「あのこの辺で一番近い村はどこでしょうか?」
 その人は口ごもる。そして口を開けた。
 「ここをまっすぐ行けばわしの住んでいる村がある。着いてきな」
 俺は言われた通り着いていくとそこにはひとつの集落があった。
 「家にきな」
 何かまた嫌な予感が。
 「これでも食べてゆっくり話そうや」
 白いご飯に味噌汁、焼き魚などと言った和食が豪華に出された。
 思ったよりか安心できる。
 「それにしても珍しいね若いもんは」
 そんなに珍しいのか? 限界集落か。
 「うちの村にも一人若いのがおるがな」
 いるんかい!
 「見てみるかい惚れるよ」
 そんな簡単に惚れるわけないだろ。
 「見たいだろ、あんたも」
 「惚れるとまで言うならば見せてもらおう」
 なんだこの口調?
 おじいさんと俺は家を出た。
 「おーい、佐藤さん。一緒に行かねぇか」
 「おいてくなよー」
 そして俺とおじいさん一行は集落の真ん中にある小屋へ向かった。
 「起きてるかね~」
 「うるさいわねー。朝から何の用?」
 「この村に若いものが」
 「その人をここに呼んできて話したいことあるから」
 俺はその女性の部屋に強制的に入れられる。
 「あんたたちは出てって大事な話だから」
 「すいません。今すぐ出ます」
 尻にしかれてるな。
 女性は顔を見せようとはしない。なぜだろうか?
 「あのー、大事な話とは?」
 女性はついに体を起こして顔を見せた。
 確かに惚れそうだ。すごく整ってる。
 「話って言うのは簡単なことだから」
 「なんでしょうか?」
 ここまでかわいいとつい緊張してしまう。 
 「私をこの集落から出して」
 意外な内容に俺は困った。

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