異世界リベンジャー
VS オルド
 兵士たちの怒声が飛び交う戦場。
 
 「敵は……どこから仕掛けている!数は何人だ!」
「1人発見!囲め!囲む!囲む!」
「衛生兵!衛生兵はどこだ!」
「死にたくない。死にたくない。死にたくない。だから死ね!」
「逃げるな。陣形を整えろ。敵に後ろを見せる奴は俺が切り殺す!」
 
戦場には混乱と混沌。
兵士の怒鳴り声が響き、死の恐怖を感染させていく。
一体、何人の人間を殺しただろうか?もはや感覚がマヒしていく。
――――いや、マヒしているのは感覚ではなく心か?
俺は、機械のように精密に、確実に、人の命を奪っている。
嗚呼、ダメだ。人を殺すのに必要なモノは感情だ。
もっと、怒りを、悲しみを、狂気を、憎しみを持って殺さなければならない。
俺が放つ感情は、殺される人間から受ける感情と同質の物でなくてはならない。
惰性で人を殺すなら、それは俺でなくてもいいのだから……
そんな事を考えていたせいか、異変に気づくのが遅れた。
戦場に巻き起こる音が消失していたのだ。
静寂が戦場が包まれていた。
「……来たか」
近づいてくる存在に気づき、俺は呟いた。
警戒心を強める。
戦場で1対1を期待するのは馬鹿だ。
警戒すべきは伏兵。 配置されている気配は今の所は……ナシか。
「そう心配するな。兵は引かせた」
既に敵影は、声が届く位置にいた。
相も変わらず、声がデカい。
ナシオンの騎士団長 オルド
そしてクルスの父親。
「……騎士を束ねるべき総大将が一騎打ち?本気か?」
「正気を疑うのは、こっちの方だ」
「……確かに」
俺は小さく笑う。
「娘はどうだった?」
「―――――ッ!?」
オルドの不意打ちに、言葉がでなかった。
そんな俺の様子に対してオルドは「……」と無言を貫く。
いつまでも、俺の言葉を待つつもりなのだろう。
それを受けて、俺は言葉を模索する。
「強かった。……しかし、死にました。俺のために……と言うより国家に忠誠を誓って、国家の剣として死にました」
「……うむ、そうか」
オルドは素っ気ない言葉を返す。
「クルスも、わしも所詮は、騎士。国家の剣であり自由意志は許されぬ。しかし、強き者に倒されるなら本懐よ。それはわしも然り」
「……」
許された。娘を殺された事を……あっさりと……
クルスを含む、その価値観。生死観……
俺は……許されておいて……殺しておいて……酷く不快だった。
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