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異世界リベンジャー

チョーカー

機械仕掛けのモンスター

 黒いダンゴムシが、開いていく。
 徐々に開かれていく隙間から大量の水蒸気が漏れる。
 それほどの冷却機能が必要なほどの熱量を内部に搭載しているのか?
 大量の水蒸気が濃い霧のように、中の物を隠している。

 そして、聞こえてくる甲高い音。

 それは―――起動音

 そして、地面を揺らすほどの重低音。

 それは――――駆動音

 そして、ソイツは姿を現した。

 それを見た俺は呆気に取られて口走る。

 「……ロボット?いやパワードスーツ?」

 そう。
 それは、この世界では、今だ見ぬ存在だったモンスター。
 ただし、鋼で錬成された怪物だ。

 コクピットは、まるで重機の操縦席。
 二足歩行だが腕は3本。1本は左肩から生えている。
 一方、右肩には大きな筒が装着されている。
 おそらくは、あれがモナルの胸を貫いた不可視の攻撃を行うのだろう。
 背中は大きく、後方に広がっている。おそらく、背中のパーツが筒から発射される攻撃に必要なエネルギーを作っているのだろう。

 『対魔人型起動兵器試作品シェル コンディションオールグリーン』

 シェルではない女性の声がスピーカーか、何かで響き渡る。
 それをきっかけにパワードスーツが動き始める。

 「やぁ、本当に待たせた。待たせた」

 今度はスピーカ―を通じての声ではない。
 シェルの肉声が聞こえてくる。場所はコクピットの部分。
 どうやら、シェル本人が搭乗しているみたいだが、コクピットは黒いガラスで覆われていて、その姿までは確認できない。

 俺は落ち着くためにため息を一つ。そして――――

 「流石に、それはオーバーテクノロジーってやつじゃないか?」

 わざと、おどけて見せる。
 返事はシェルの笑い声。それから―――

 「いやいや、ユズルくん。君も知っているはずだよ。私たちの研究は常に―――そう、常に魔人の打倒が目的であり、いかに少量の魔力で最大の効果を発揮する物に限られているかを……君たちの言葉に修正するならば、魔力のコスパ追求と言った所だよね?」

 俺は「チッ」と舌打ちをした。
 確かにそうだ。
 火野烈弥に使われた装置。それは魔力の増幅装置。
 1人の魔人が所有する魔力を一気に吸い上げ、万人の兵士を魔力的に強化する装置だった。
 そして、それは魔人1人犠牲にして戦争に勝つためだけの装置。
 確かに、確かに……人1人の犠牲で戦争に勝利する、最良のコスパと言える。
 ……胸糞悪い事にだ。

 シェルは言葉を続ける。

 「さて、それでは研究成果の発表といこう。私程度の極小の魔力で、人間を魔人クラスに引き上げる機会。先の大戦の結果、すでに時代遅れになってしまったが……生憎、ユズルくんを殺せる手持ちの品は、これしか残っていなかったので」

 そう言うと、筒の部分が動く。真っ直ぐ狙いを定められたそれから不可視の攻撃が襲い掛かってくる。



 

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