異世界リベンジャー
そして死闘にて
俺は、炎の弾丸を作る。指1本に弾丸1つ分。
今の俺の魔力では、これが精いっぱい。死に至るほどの威力はでない。
だが、それでいい。俺はクルスを殺すつもりなんてない。
何とか無事に制圧できればいい。むしろ、そっちの方が難易度が高めではあるが……
そして、弾丸を放つ。 しかし――――クルスは回避も防御も行わず微動だにすらしない。
「避けない!なぜ!?」
俺は思わず、驚きの声を上げる。
しかし、その疑問は、次の瞬間に解決した。
5つの弾丸は、クルスに着弾した瞬間に形状が瓦解し、崩れ落ちた。
「対魔法防御用を仕込んでいやがるのか!」
その時が来る。 天井に張り付く俺に重力が仕事を開始する。
クルスが放つ対空技。 放たれれば、見てからの回避は不能。
そして、それは――――
放たれた。
跳躍……というよりも、それは飛翔。
高速で飛来するそれは、肉眼で捉えるのが不可能な領域に侵入する。
それに対して俺は――――
「ち、畜生、畜生があぁ!」
左手で右腕を掴む。魔力による回復力も全自動超回復も低下しているが、神経や血管は繋ぎ合っている。
それを俺は―――――
無理やり引きちぎった。
塞ぎかけた血管が、再び―――そして無理矢理に―――開かれ、勢いより飛び出した鮮血によって空間を赤の液体で染め上げる。
俺とクルスの間合い。そこに存在していなかった障害物が、突如として現れる。
言ってしまえば、ただの目つぶし……
しかし、肉眼で捉える事すら困難なレベルで飛ぶクルスにしてみれば、極僅かな障害物ですら―――
確かな障害になる。
事実、俺の鮮血を顔面に浴びたクルスの剣先は、俺の体に達する事はなかった。
大きくぶれた一撃は、俺の背後にある天井に着弾した。
城を大きく揺さぶる振動。
天井にできた巨大なクレーター。
部屋は紅で染められている。
空間には、新たな鮮血が舞い上がり、落下している。
これが2人の人間の闘争によるものだと、誰が信じるだろうか?
――――いや、ちがうのか。 これは魔人と、それを退治しようとする人間の戦いか?
おそらく、それは正しい。
だから、クルスは、もう俺に言葉をかけてこない。
修羅のように、悪鬼羅刹のように、俺を殺しにきている。
けれども――――だからと言って――――
割り切れるほど、俺たちは――――
「なぁ、どうしてだよ?どうして俺たちは戦っているんだ?……答えてくれよ」
俺はクルスに対して言葉を投げかける。
独り言と同じようなものだ。決して帰ってくるはずのない言葉だと理解した――――
「なぁ、ユズル。私はお前の事が……たぶん好きだ」
「――――ッッッ!?」
帰ってこない。決してコミュニケーションが不可能だと思っていた。
そのクルスからの返答に俺は、心底驚いた。
「私には、これまでなかった、よくわからない感情だった。もちろん異性として好きだ。敬愛し、憧れ、人として魅かれている。しかし――――」
「なら、なんで俺たちは――――」
「私は女である前に国家の剣である事を選択した。それだけだ!」
クルスの目に燈るのは殺意の炎。 黒い意志が瞳に揺れている。
次にクルスが取った構えは――――
彼女の剣技において最強の一撃。
かつて、俺に放たれたソレとは違い。
真剣で――――
聖剣で――――
魔人を殺す事に特化しているであろう剣で――――
俺に向けられている。
今の俺の魔力では、これが精いっぱい。死に至るほどの威力はでない。
だが、それでいい。俺はクルスを殺すつもりなんてない。
何とか無事に制圧できればいい。むしろ、そっちの方が難易度が高めではあるが……
そして、弾丸を放つ。 しかし――――クルスは回避も防御も行わず微動だにすらしない。
「避けない!なぜ!?」
俺は思わず、驚きの声を上げる。
しかし、その疑問は、次の瞬間に解決した。
5つの弾丸は、クルスに着弾した瞬間に形状が瓦解し、崩れ落ちた。
「対魔法防御用を仕込んでいやがるのか!」
その時が来る。 天井に張り付く俺に重力が仕事を開始する。
クルスが放つ対空技。 放たれれば、見てからの回避は不能。
そして、それは――――
放たれた。
跳躍……というよりも、それは飛翔。
高速で飛来するそれは、肉眼で捉えるのが不可能な領域に侵入する。
それに対して俺は――――
「ち、畜生、畜生があぁ!」
左手で右腕を掴む。魔力による回復力も全自動超回復も低下しているが、神経や血管は繋ぎ合っている。
それを俺は―――――
無理やり引きちぎった。
塞ぎかけた血管が、再び―――そして無理矢理に―――開かれ、勢いより飛び出した鮮血によって空間を赤の液体で染め上げる。
俺とクルスの間合い。そこに存在していなかった障害物が、突如として現れる。
言ってしまえば、ただの目つぶし……
しかし、肉眼で捉える事すら困難なレベルで飛ぶクルスにしてみれば、極僅かな障害物ですら―――
確かな障害になる。
事実、俺の鮮血を顔面に浴びたクルスの剣先は、俺の体に達する事はなかった。
大きくぶれた一撃は、俺の背後にある天井に着弾した。
城を大きく揺さぶる振動。
天井にできた巨大なクレーター。
部屋は紅で染められている。
空間には、新たな鮮血が舞い上がり、落下している。
これが2人の人間の闘争によるものだと、誰が信じるだろうか?
――――いや、ちがうのか。 これは魔人と、それを退治しようとする人間の戦いか?
おそらく、それは正しい。
だから、クルスは、もう俺に言葉をかけてこない。
修羅のように、悪鬼羅刹のように、俺を殺しにきている。
けれども――――だからと言って――――
割り切れるほど、俺たちは――――
「なぁ、どうしてだよ?どうして俺たちは戦っているんだ?……答えてくれよ」
俺はクルスに対して言葉を投げかける。
独り言と同じようなものだ。決して帰ってくるはずのない言葉だと理解した――――
「なぁ、ユズル。私はお前の事が……たぶん好きだ」
「――――ッッッ!?」
帰ってこない。決してコミュニケーションが不可能だと思っていた。
そのクルスからの返答に俺は、心底驚いた。
「私には、これまでなかった、よくわからない感情だった。もちろん異性として好きだ。敬愛し、憧れ、人として魅かれている。しかし――――」
「なら、なんで俺たちは――――」
「私は女である前に国家の剣である事を選択した。それだけだ!」
クルスの目に燈るのは殺意の炎。 黒い意志が瞳に揺れている。
次にクルスが取った構えは――――
彼女の剣技において最強の一撃。
かつて、俺に放たれたソレとは違い。
真剣で――――
聖剣で――――
魔人を殺す事に特化しているであろう剣で――――
俺に向けられている。
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