異世界リベンジャー

チョーカー

無力さを噛みしめて

 視線は天井。場所は自室。
 俺は横になったまま、深いため息をついた。漠然とした不安感が体を包んでいる。
 火野烈弥は死んだ。
 例の機械によって、瞬時に魔力が枯渇したのが原因だろう。
 もしも、それが……火野烈弥ではなく、俺だったら?
 俺は死んでいたのだろうか?
 そして、それは最初から想定内の出来事だったのだろうか?
 嗚呼、ダメだ。
 結局、俺は人間を信じる事が出来ていない。疑心暗鬼に囚われている。
 火野烈弥が死の直前に語った内容。その全てが事実とは限らない。 
 それに、俺は火野烈弥の死因を強制的な魔力の酷使によるものだと決めつけている。
 再び大きなため息をつく。

 「でも、結局は……終わった事なんだよな」

 火野烈弥との会話。啖呵を切ってみたものの……。
 俺のやるべき事は、もう終わっている。
 『魔王』軍との戦いは完全勝利と言ってもいい。
 撤退した『魔王』軍は部隊の再編制を行っているが、もうナシオン軍の勝利は動かない。
 俺は、最初の予定通り、元の世界へ帰還する。
 『魔王』が持つ魔法。平行世界への移動によって、『魔王』は別世界で進軍を再開するだろう。
 けれども、それを俺がどうこうする方法もなければ、必要性もない。
 それは、その世界の俺にでも期待してもらいたい。……もしも、その世界に俺が存在してたらの話だ。
 俺のやるべき事はない。できる事がない。
 無責任かもしれない。戦後の世界を想像すると、おそらく『魔人』達が虐げられる事になるだろう。
 それに対して、俺は何ができる?
 せいぜい、王女であるモナルに『魔人』達の処遇を頼む事ぐらいだろうか?
 この世界に残って、『魔人』達の地位を向上させる?……いや、そんな馬鹿な。
 俺に取って元の世界に戻る事が最優先なんだ。そんな選択肢はあり得ない。
 いや、この世界にいる、全ての『魔人』を連れて元の世界に戻れば……いや、それは無理だ。
 無理と言うより、意味がない。
 この世界のシステムには『魔人』達が組み込まれている。
 それゆえの反乱だった。仮に俺が、『魔人』たちを元の世界に戻しても、この世界の人間達は『魔人』達を召喚し続けるだろう。
 結局、俺程度の人間には、できる事がなかったのだ。

 「勝ち逃げも勝利なのかなぁ」

 もはや、何度目かのため息が天井へ吸い込まれていた。

(嗚呼、今の自分にできる事は、自分の無力さを噛みしめるだけなのか)

 そんな時だった。
 ドアからノックの音が聞こえた。
 在住を知らせる返事をすると、ドアが開く。
 やってきた人物は――――クルスだった。

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