異世界リベンジャー

チョーカー

繋がれる世界

 瞬時に複数の可能性を思い浮かべ、瞬時に弾き飛ばす。
 現象として輪廻転生を同じ効果。
 魔人特有のインスピレーションを発揮し、普段なら使う事のない魔法の理論を意図的に使用していく。
 テレビや本、学校の授業、マンガの知識。ついには、すれ違っただけ人が話していた雑談。
 かつての生活の中で、聞き流していた情報を掘り下げて新理論の構築。
 超ひも理論から11次元。測定不可能と言われる極小の7次元。
 コペンハーゲン解釈からシュレーディンガーの猫とエヴェレットの多世界解釈。
 平常時なら、まるで理解できない方程式の渦。
 徹底的に計算し――――計算し尽して――――全て忘れた。

 「到達したかい?」
 火野烈弥の声で正気を取り戻す。俺は頷いた。
 深いため息を一つ。無理やり心を落ち着かせる。興奮を鎮めさせる。
 そうして、落ち着いた所で、俺は自分の考えを告げた。

 「俺たちは、既に次元の移動を経験済みだったのか。つまりはここ。この異世界こそが別次元の世界。そんな俺たちが、さらなる多次元の世界。パラレルワールドの存在を否定できるはずがない」
 「そうだ。俺たち、全ての魔人は、移動を経験している。論理仕立ての計算式ではなく、経験則からの逆算によって―――――」
 「つまり、存在してるんだな?パラレルワールドに移動できる魔人が?」
 話を遮った俺の言葉に火野烈弥は、表情も変えずに頷き、肯定した。

 輪廻転生。
 ようするに生まれ変わりの事だが……
 もしも、ゲームのセーブデータのようにやり直しができるなら?
 それが自分ではなくても、自分の分身が世界を繋いで、繋ぎ続けてくれるとしたら?
 それもまた、輪廻転生と言えるのではないか?

 しかし、それでも――――
 なんて馬鹿馬鹿しい話だ。
 この世界は、異世界を舞台にしたファンタジーではなく、サイエンス・フィクションだったのか?

 パラレルワールド。

 それは平行世界。そして、可能性の世界。
 もしも、あの時、こうしてたらどうなっていたか?
 無限の可能性の中で、無限の選択肢の中で、無限に発生される世界の分岐点。
 そして、それは、物語を作るクリエイターに重宝される都合のいい設定
 ……ではない。少なくとも、それだけではない。
 そう、パラレルワールドとは、決して架空の世界というわけではない。
 最もSFに使われる題材と言う時点で科学的根拠が必要不可欠なわけなのだが……
 兎にも角にも、パラレルワールドを移動する理論自体は研究されている。

 「さて、それでどんな奴なんだ?そのパラレルワールドを移動する奴は?」
 「魔王だな」
 「……はぁ!?」
 「ラスボスだよ、ラスボス。魔王本人が、ソイツだよ」
 「……」

 思わず黙り籠ってしまった。
 倒せるのか?そんな奴?

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