異世界リベンジャー

チョーカー

人は死ねるのか?

 モナル…… そしてクルス。
 彼女達は、俺を騙していたのか?
 ――――いや、現在も騙し続けているのだろうか?
 故意に?無意識に? 
 そうか。これは毒だ。
 一度、芽生えた疑惑は物色できない。
 それを思い浮かべた時点で俺は――――既に彼女達を疑っている。
 まるで棘のある茨に心を縛られ、考えれば考えるほど―――― 疑えば疑うほど―――――
 小さな痛みのような違和感が、傷を残す。

 「……いや、おかしい」
 気がつくと言葉に出して呟いていた。
 おかしい。何かがおかしいはずなんだ。
 しかし、それのどこがおかしいのか? 考えがまとまらない。言葉に変換できない。
 「あぁ、わかるぜ」
 不意の声で俺は正気に戻される。 声の主は火野烈弥だった。
 当たり前だ。この空間には俺と火野烈弥しかいないのだから。
 最も、魔法を介しての会話だから、正式には声ではないのだが……いや、そんな事よりも!

 「アンタが抱いてる違和感の正体。俺にはわかるぜ」
 「それは?なんだ?俺が持ってる違和感ってのは……」

 嗚呼、俺は馬鹿だ。俺の心情を、俺自身ではなく他人の口からひも解こうとしている。
 そして、火野烈弥は言葉にした。

 「アンタの疑問はシンプルだ。分かりやすい。つまりは―――

 『それだけの目的で人間は死ねるのか?』

 ……ってことだろ?」

 「……」

 確かに。俺が抱いていた疑問は当たり前の疑問だった。
 どんなに崇高な願いも、信念を持っていても―――
 死ねばそれまでだ。全てお終い。
 死は停止だ。生前の出来事は無関係に変わる。
 ひょっとしたら、霊魂とか魂とかあって、ついでに天国なんてものがあるかもしれない。
 ついでに地獄も。
 しかし、この世に関与は許されない。
 崇高な願いも、清い信念も、全てが無となる。
 仮に、俺が本当に洗脳されてたとしよう。
 確かに、死は衝撃的だ。俺の心情に多大なインパクトを残すのは間違いない。
 現に彼女の死は、俺を揺さぶっている。
 だが、しかし、その目的のために死ぬ事はできるのだろうか?
 彼女は俺のために死んだのだ。そう、荻原みどりは俺のために死んだ。

 「聞かせろよ。なぜ、荻原みどりは死んだ?」
 「安心しろ。もちろん、聞かせてやるよ」

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