異世界リベンジャー

チョーカー

洗脳の正体?

 そう、この世界における戦争。

 魔人対人間 
『魔王』軍 対 ナシオン軍

 魔人たちが反旗を翻したのは、勝手に召喚され、無理やり魔力を搾り取られていたからだ。
 そして、それを俺は知っていた。
 なのに、なぜ?なぜ俺は人間の味方をしている。
 それが、それこそが、火野烈弥がいう洗脳なのか?
 しかし―――――

 「仮にだ、仮に俺が洗脳されているとしよう。それはいつ、どのような方法か?」
 そんな俺の質問に火野烈弥は「ん?あぁ、なるほど」と1人で納得したような感じで話す。
 「お前さんは、こう考えているわけだ。自分を洗脳するほどの強烈な魔法が持続してかけられているなら、俺が気がつかないはずがない……と?」

 俺は無言で頷く。
 火野烈弥が喋った内容は、俺の疑問そのままだ。
 だが、火野烈弥から発せられた言葉は予想外のものだった。 

「アンタは勘違いしてるよ。洗脳なんて凄い事は魔法じゃないとできない。そう考えてる。
 だが、それは勘違いだ。魔法が日常生活に浸透しすぎて――――
 あまりにも、魔法を自由自在に扱えるから、起きる勘違いだ」

 「……何を言っている?」
 俺には火野烈弥の言葉が、何を示しているのか見当もつかなかった。
 そして、彼の言葉は、こう続いた。
 「元々、洗脳って言葉は俺たちのいた世界の言葉だろ?魔法なんて神秘的で超常的なものが存在しない世界で存在していた言葉だ。つまり、人を洗脳するのに魔法なんて必要ない」
 「魔法は、必要ない……」

 俺は思い返していた。
 この世界に―――― 異世界に来たばかりの事を―――――

 鳥小屋のような牢獄。 毒入りの食事。 地獄のような日々。
 わけのわからない状態で1人の少女が現れる。
 不安と混乱が入り混じれた状態の俺は、少女に――――クルスに恫喝された。
 そして、追い詰められた俺は、脱出を決意して実行した。
 脱出した結果、俺は別の少女に出会った。
 この国の王女であるモナルだった。
 そこで俺は……哀願され……
 全てを聞かされても……なお………
 この国を――――モナルを救おうを誓ったのだ―――――
 そう誓ったのだ。だが、もしもそれが……計算されていた事なら?
 計画通りの出来事だったら?
 飴と鞭。
 クルスという強烈な鞭で、俺の精神は剥がれ落ちていた。
 極限状態と言ってもいい。
 追い詰められ、脱出した時に出会ったモナルは飴だった。
 この世界に来てから、初めての安らぎ。元の世界に帰る事も出来るという安心感。 
 この時、俺は洗脳されていたのか?

 

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