異世界リベンジャー
改めての宣戦布告
全ての時が止まったようだった。
誰も動けない―――否。動くことが許されない。
ここはナシオンの王室。そこに敵の御大将が、自ら入り込んでいる。
それも誰にも気づかれずにだ。
この男が本気で――― そう、本気で国のトップを殺そうとしたら―――
誰が一体、止めれるというのか?
『王女モナル……いや、モナル・ク・パープスト。まずは初めまして』
言葉をかけられたモナルは、動揺の見せるも、それは一瞬の事だった。
「初めまして『魔王』さま。ようこそいらっしゃいました。まずは、ご足労、誠にありがとうございます。 ここに来られたという事は我々と話し合う余地があるという事でしょうか?」
彼女は悲しいほどに王女だった。剣を帯びた大敵を前に、王であり続けた。
しかし、彼女の目前にいる人物も――また――『王』であった。
『いや、我々が話し合う余地はない。人間と魔人が交じり合う事はない。
自ら、この地に来た理由は、改めての宣戦布告だよ。
君と私の競い合い。互いに用いる人命を奪い合い、最後まで屈さない方が勝ち。
そんなシンプルな戦いを正々堂々と楽しもう。そう誘いにきた―――動くな!』
奇襲。『魔王』に向け、一太刀を浴びせようとしていた全員の動きが制止する。
俺を含めて、全ての人間が、武器を使用しようとしていたが、
『魔王』の言葉―――ただの一喝で場を制してしまった。
『私が―――いや、俺が本気になれば、何時だって何処だって俺は現れる。
世界中、どこにでも存在し、同時にどこにも存在しない。
そんな俺が、お前らと同じ領域に下がってやろうと、お前らのルールで戦おうと妥協している。
そんな、チャンスを―――そんな希望を―――
個人の意志で、自ら砕こうと言うのならば来るが良い』
もう誰も動けない。
個人の判断が、多くの命を奪う。それが事実であるという事を理解させられたのだ。
そう、この場で動ける人間がいるならば―――
その資格を有しているのは―――
彼女だけだった。
「戦争は回避できないという事ですか?」
『応』
「私たちは、理解し合えないと?」
『互いの持ってる物の全てを奪い去り、上から首根っこを押さえて屈服させるしかない』
「それ以外の選択肢はないのでしょか?」
『いや、あった。その無限の選択肢を狭めたのは、貴様らと知れ』
「では―――」
『―――そうだな』
『魔王』はモナルに背を向けた。話は済んだと言わんばかりに……
しかし、『魔王』は歩みを止める。何か忘れていた事を思い出したように見える。
その視線は―――
俺に向けられた。
『そうだ。そうだ。忘れるところだった。
ここに足を運んだ理由だが、俺は―――いや、私は君が我らの仲間になってほしいと渇望しているのが事実だ。事実だが―――
ひとつ、疑問がある』
「・・・ぎ、疑問?」
プレッシャー。
『魔王』から放たれた巨大な圧力から、俺の思考や動きが制限される。
『うん、えっと、なんだったけ?あーそうそう。あれだ。あの比類なき神々しい瞬間ってやつ。
あれってさぁ、全ての前提条件を無視して儀式的な魔法が使用可能になるんだろ?
―――じゃあさぁ……
君って元の世界に自由に行ったり帰ったりできるって事だよね?なんで帰らないの?』
「え?」
俺には、なぜか、その考えが頭から抜け落ちていた。
確かに―――確かに帰るための儀式に時間がかかる。
自由に帰れない。だから、俺はここにいる。
その前提条件が覆っている。それなら、それならば、俺はどうする?
誰も動けない―――否。動くことが許されない。
ここはナシオンの王室。そこに敵の御大将が、自ら入り込んでいる。
それも誰にも気づかれずにだ。
この男が本気で――― そう、本気で国のトップを殺そうとしたら―――
誰が一体、止めれるというのか?
『王女モナル……いや、モナル・ク・パープスト。まずは初めまして』
言葉をかけられたモナルは、動揺の見せるも、それは一瞬の事だった。
「初めまして『魔王』さま。ようこそいらっしゃいました。まずは、ご足労、誠にありがとうございます。 ここに来られたという事は我々と話し合う余地があるという事でしょうか?」
彼女は悲しいほどに王女だった。剣を帯びた大敵を前に、王であり続けた。
しかし、彼女の目前にいる人物も――また――『王』であった。
『いや、我々が話し合う余地はない。人間と魔人が交じり合う事はない。
自ら、この地に来た理由は、改めての宣戦布告だよ。
君と私の競い合い。互いに用いる人命を奪い合い、最後まで屈さない方が勝ち。
そんなシンプルな戦いを正々堂々と楽しもう。そう誘いにきた―――動くな!』
奇襲。『魔王』に向け、一太刀を浴びせようとしていた全員の動きが制止する。
俺を含めて、全ての人間が、武器を使用しようとしていたが、
『魔王』の言葉―――ただの一喝で場を制してしまった。
『私が―――いや、俺が本気になれば、何時だって何処だって俺は現れる。
世界中、どこにでも存在し、同時にどこにも存在しない。
そんな俺が、お前らと同じ領域に下がってやろうと、お前らのルールで戦おうと妥協している。
そんな、チャンスを―――そんな希望を―――
個人の意志で、自ら砕こうと言うのならば来るが良い』
もう誰も動けない。
個人の判断が、多くの命を奪う。それが事実であるという事を理解させられたのだ。
そう、この場で動ける人間がいるならば―――
その資格を有しているのは―――
彼女だけだった。
「戦争は回避できないという事ですか?」
『応』
「私たちは、理解し合えないと?」
『互いの持ってる物の全てを奪い去り、上から首根っこを押さえて屈服させるしかない』
「それ以外の選択肢はないのでしょか?」
『いや、あった。その無限の選択肢を狭めたのは、貴様らと知れ』
「では―――」
『―――そうだな』
『魔王』はモナルに背を向けた。話は済んだと言わんばかりに……
しかし、『魔王』は歩みを止める。何か忘れていた事を思い出したように見える。
その視線は―――
俺に向けられた。
『そうだ。そうだ。忘れるところだった。
ここに足を運んだ理由だが、俺は―――いや、私は君が我らの仲間になってほしいと渇望しているのが事実だ。事実だが―――
ひとつ、疑問がある』
「・・・ぎ、疑問?」
プレッシャー。
『魔王』から放たれた巨大な圧力から、俺の思考や動きが制限される。
『うん、えっと、なんだったけ?あーそうそう。あれだ。あの比類なき神々しい瞬間ってやつ。
あれってさぁ、全ての前提条件を無視して儀式的な魔法が使用可能になるんだろ?
―――じゃあさぁ……
君って元の世界に自由に行ったり帰ったりできるって事だよね?なんで帰らないの?』
「え?」
俺には、なぜか、その考えが頭から抜け落ちていた。
確かに―――確かに帰るための儀式に時間がかかる。
自由に帰れない。だから、俺はここにいる。
その前提条件が覆っている。それなら、それならば、俺はどうする?
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