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異世界リベンジャー

チョーカー

みどり 森林での防戦


  「はぁ・・・はぁ・・・・・・クッ!?」

 気の根に足を取られ、大きくバランスを崩す。
 植物の根を下ろし、硬化している地面と激突しそうになるも寸前で、持ちこたえた。
 道なき道を走り続けた代償か? 疲労に疲労を重ねた体は、反応が鈍い。
 あれから、荻原みどりは姿を見せなかった―――いや、最初から彼女は俺の死角から攻撃を加えてきたので、俺が彼女の姿を視認した事はないのだけれども……
 そして、それは継続している。今だ、なお、彼女は姿を見せないまま、俺に攻撃を加えてくる。
 油断をしていると―――

 投石と植物操作のコンビネーション。

 俺は上と下。
 上からは岩の落下攻撃。
 下からは植物の根が爬虫類のような動きで俺を束縛しようと襲ってくる。
 俺は疲労が溜まった体を強引に動かせる。剣を振るって根を切り裂き、岩は落下位置を予測し、素早く駆けて距離を取る。
 これの繰り返しで、もう何度目になるか、分からなくなった上下同時に襲い掛かってくる攻撃をやり過ごす。
 明らかな防戦一方。ジリ貧。

 「ちっ徹底してやがる」

 俺は悪態をもらす。
 俺に攻撃を続けれるという事は、荻原みどりは、俺につかず離れずの距離をキープしているはず・・・・・・
 それでも姿は見えない。そして、その理由もわかっている。

 俺に、植物や大地を操る魔法を目視させると、俺にも、その魔法が使用可能となってしまう。
 この植物と大地、自然に溢れたフィールドで、植物や大地の魔法をぶつけ合う。
 ごちゃごちゃと視界が開けていない場所での魔法の打ち合い。そうなれば、相手の魔法を正しく認識して、向かい撃つという選択肢は選びにくい。
 互いに優先させるのは攻撃を重視した魔法。魔法の乱戦状態だ。
 そうなれば、予期せぬ事故が起こりやすくなる。
 それを避けるため、安全に確実に勝つために、荻原みどりは姿を見せずに戦っているのだ。

 いや、それ以上に警戒しているのは―――

 『比類なき神々しい瞬間』

 死のギリギリまで追い込む事によって使用可能となる魔法。 
 あらゆる魔法の前提条件を自身の魔力のみで代用し、本来なら不可能なはずの魔法まで使用する俺の……

 俺だけのオリジナル。

 発動すれば、荻原みどりのホームグランドである、この『プラント』の大地も植物も大規模なコントロールが可能になる……はず。

 しかし、どうだろう?
 荻原みどりの攻撃は、植物の特徴、習性を把握し、利用してくる。
 最初のつる植物もそうだし、毒植物、寄生植物。
 さらには―――

 がさ・・・がさ・・・・・・

 草木をかき分ける音。
 荻原みどりか?
 視線を音の方向に持って行き、眼に飛び込んできた存在に、思わず舌を鳴らす。 
 緑色の影。
 サイズは人間と同等が、少し小さい。ゆらゆらと左右に揺れながら近づいてくる。
 その正体は――― 

 「しょ、食虫植物かよ」

 そう巨大な食虫植物だ。
 上部には二枚重ねの葉。その周囲にある、牙のような鋭い棘が肉食動物の咢を連想させる。
 一瞥しただけで、それと分かる特徴的なフォルムがユッサユッサと体を揺らしている。  
 そう、体を揺らして歩いている。
 どんなイカサマを使っているのか?自立歩行で、俺に向かってきている。
 反射的に、俺は掌に魔法を練り、炎を手に燈す。
 そのまま、放射する時間すら省略し、拳を食虫植物へねじ込んだ。
 大きく、仰け反った食虫植物。そのまま、体全体が炎に包まれ、焼き落ちていく。

 「やったか?……いや、1輪だけじゃないな」

 森の中、周辺全てが緑一色で、溶け込んではいるが……
 ワラワラと植物が動き出す。
 正確な数は把握できない。しかし、10や20どころの数では……
 それは不意だった。意識の外。視界に異物を捕える。
 緑に染まった世界だから、辛うじて認識できた姿。
 それは人。
 おそらくは荻原みどり。
 食虫植物に紛れて、一瞬のみ姿が見えた。そして、姿を消す。

 「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 俺は口から雄たけびを掃き出し、食虫植物へ向かい駆け出していた。




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