どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

3

「……んっ」

何だろう…柔らかい感触が全身を包んでる、ふかふかして気持ちいいな…徐々に意識を取り戻しつつある俺は感覚を取り戻して行く。

「ふぁぁっ……って、何処だここはぁっ!」

眠たい目を擦りながら大あくびする俺、暫くして今起きている現状に驚く! 見知らぬ部屋のベットの上で寝ているではないか!

「って言うか、なんだよこのベット! 物凄くふっかふか!」

こんなの一般人が買おうとしたら金が幾らあっても足りないレベルだ! しかもベッドだけじゃない……この部屋もだ。

「おっ俺の家は何時からこんな風になったんだ?」

豪華な家具が沢山ある……床には赤い絨毯が敷いてある、此処からちらっと見えるのはバルコニーか? 可笑しい……俺の家に2階は無かった筈だ、だからバルコニーなんて必要無いんだ、あったら可笑しいんだ! ってそんな事言ってる場合か! この状況を把握しないといけないって時に!……ん?

「…………っ!」

隣にロアがいた、ビックリした…じぃーと俺を真っ直ぐ見つめている、さっきの反応全部見られてた……しかもにやにやと笑いながらだ。

「可愛らしい反応じゃのぅ」
「うるさい、黙ってくれ……」

ベッドに横になりぺたぺたと俺の身体をやらしく触るのをやめろ!

「離れてくれ!」
「断る!」

ぐっ……満面の笑みで断られた…むっ胸が俺の身体に当たってるんだよ……わざとじゃないよな? くそっ、頭が痛くなって来た。

「くっくっくっ…シルクは昔から変わっておらんのぅ」
「……は? なに言ってるんだ」
「ん? あぁ…ただの一人言じゃ、気にしないでくれ」

……よっ良くわからない奴だな、それより今は俺の側から離れる様なんとかしないとな…いや無理かな……1度断られたんだ、絶対に折れないだろう…そう分かってしまうのが辛い…ならばせめて今のこの状況を知ろうじゃないか。

「そっそうか…あっ聞いてもいいか? 此処は何処だ?」

これだけは聞いて置かないといけない、何故かって? 驚き過ぎて頭がどうにかなりそうだからだ! 大丈夫そうに見えてかなり焦ってるんだぞ!

「話しを変えて来たか…まぁ良いか
ふふふ…聞いて驚くでないぞ?」

何かを企んでる笑み…くそぅ、やっぱりそうだよな…俺を拐った時点で何か企みがあるよな、こいつは何を企んでるんだ? わざわざ幼女に変身して俺に近寄った理由は何だ? 色々な考えを脳裏に巡らせていた時だ、魔王が口を開く。

「此処はわらわの城、魔王城じゃ!」

ぎゅーっと、俺を抱き締め思い通りの事を話しやがるロア、まっ魔王城か……よっ予想の斜め上を行ったな、と言うか魔王城って、突然現れたあれの事だよな? そうか…俺は今、魔王城にいるのか…全く笑えねぇ!

「驚きのあまり声も出ないか……あっそれともわらわの美貌に興奮しておるのかかえ? 素っ気ない表情じゃが心では、うひょーっとか思ってるのでは無いのかの?」
「……それはない! 俺は別の事で驚いてるんだ」

俺の今の状況が信じられない……なんなんだよ一体! 俺を魔王城に連れて来た理由ってなんだ? 全く分からない。

「むぅ……先程からわらわの方を向かぬのぅ、さてはこの状況が夢だと思ってるのかえ?」
「そっちを向かないのは恥ずかしいからだよ! 女に抱き付かれれば誰だってそうなるだろ!」

と、鋭い突っ込みを入れる……さっきからどきどきが止まらない、これは夢だと願いたい……だけどロアの胸の柔らかい感触が本能的に気付かせてくれるんだ、これは夢じゃ無いってな!ふざけんなばかやろぅ。

「では、これが夢では無い事を証明してやるのじゃ」
「いや、夢じゃないって事は分かってるから証明しなくても……おっおい、何をする」

なっなんだ? 急に顔を持たれたぞ? と言うか指長くて細いな……しかも、柔らかいって、いたたたっ! ごっ強引にロアの方向を向かされる。

「見れば見る程、可愛いのぅ」
「可愛いって言うな! あと、うっとりした目線で俺を見るな!」

そんな俺の言う事を聞かずにロアは体重を掛け俺の上に移動する、ちっ近い……しっしかも、むにゅーっと胸の感触がダイレクトに伝わる! やっやめろっ、身体が熱くなるだろう、しかし…あっ甘い香りがする……て俺は何を考えてるんだ!

「リンゴの様に真っ赤にしおって……では、そろそろ」

ぐぐっと俺の両肩に力が伝わる……おっ起き上がれないっ、なっ何でロアは少し頬を赤く染めて俺の顔に近づいてくるんだ? ん? 口元が笑ってる? なっ何でだ? そう思った時だ……。

「おい、何を……むっ!?」

柔らかな感触が俺の唇を覆った……何をされたか一瞬分からなかった、それは熱く甘くとろけそうな程に甘美な出来事……俺はロアにキスをされたのだ。

「んっ……ふふ、驚いておるな、初めて表情を見せたのぅ」

ロアの言う通り、俺は驚きの表情を露にしていた、普段は感情を表に出さないで無表情を通しているんだが、こんな事を経験したんだ、驚く顔が出ない方が可笑しい。

「いっいきなり何をする!」
「何ってキスじゃよ?」

んう? と首を傾げ疑問の表情のロア、こっこいつ何したのか分かってるのか?

「きっキスは、軽々しくやる物じゃないだろ……」
「何を言うかと思えば…」

やれやれと、手を拡げ呆れ返るロア、何だ? 俺は何か変な事を言ったのか? って、キスは初めてなのに何ロアの心配をしてるんだ? 此処は怒って良い所なのに……。

「シルクの家で言ったであろう……わらわはそなたに婚約したからのぅ、だからキスくらいするぞ?」
「いや、その理屈は可笑しいって……は?」

こっ婚約だって? そんな事言ったか? 良く思いだそう、大切そうな事だからな、そしたら直ぐに思い当たる言葉が思い浮かんでくる。

『シルク・ハーベスト、わらわの夫になってくれないか?』

突如思い出すロアの言葉……わらわの夫になってくれないか? か、ん? わらわの…夫に…なって………くれないか!? いっいっ言ってたぁぁぁぁぁ!! 確かに言ってたけど……。

「あれって本気だったのか! 冗談じゃなくて?」
「失敬なっ、冗談でそんな事は言わぬ!」
「まっまじかよ……って、そうじゃなくて!」

ああぁぁっ! 何だこれ何だこれ! もう訳が分からないぞっ、もうなんか……突っ込み所が多過ぎて頭が回らない!

「まぁ、わらわが人間界に来たのはシルクと結婚したいからじゃし、ぶっちゃけ世界等征服とか物語の魔王みたいな事はしたくないしの、何だか面倒くさいし」
「おい、これ以上驚かす事を言うのはやめろ! 本当にどうにかなりそうだ……あっ後、いい加減降りろ!」

何だよ……世界征服が面倒くさくて俺と結婚しに来たって? 婚活かよ!? 何だよそれ! それでも魔王かっ! もっと魔王らしい事をしろ! ん? 魔王らしい事って何だ?いやそんな事より俺にどうしろって言うんだ!

「んー? 先程より顔が真っ赤じゃぞ? ほほぅ、もしやわらわに興奮しておるのかえ? 嬉しいのぅ」

妖艶な笑みをするなっ! こんな状況でどきっとしたくないんだっ!

「良いから降りろ!」
「降りて欲しくばわらわと結婚をして欲しい! シルクの事が大好きじゃっ、今すぐにでも夜の運動会をしたい位にのぅ!」
「こんな体制と状況で良く告白出来たな! 俺の意思を尊重しろっ! 後、夜の運動会って何だ!」

俺は突っ込んだ、突っ込んで突っ込んで突っ込みまくった……今思い付く限りの突っ込みをロアに言ってやった、勿論、アイツは「ふふふふ」と笑うだけで何の効果も無かった……そんな中で俺は自分の中で考えをまとめた。

・魔王ロアは幼女になれる
・魔王ロアは世界征服はしない
・褐色肌の紅眼、柔らかい巨乳で色気がある。
・着てる服がエロい
・見た目人間
・俺の初キス奪った奴

そして最後にかなり重要な事がある、どうやら魔王は、俺と結婚したいらしい……。

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