どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

76

「あぁ完璧なるアフロですぅ……」

ロアが厨房に行って料理を作ってる間、俺とヴァームとメェは3人で料理が出来上がるのを待っていた。

「メェ……因果応報と言う奴ですよ、しっかり反省しなさい」
「ぐめぇ……」

鬼騎の部屋に飾られた鏡で自分の髪を見て嘆くメェ……白いアフロになってしまっている、あれはメェが作った薬『アフーロナールα』と言う薬の効果らしい、因みにあのアフロは暫く経つと戻るらしいが正確な時間は分からないらしい……自分が実験台になったと言う訳だ。

「ざまぁみろ」
「めぇぇ……しぃ君の視線が氷の様に冷たいですぅ」

当たり前だ、俺はお前にとんでもない事をしてくれたからな……その報いを少しでも受けるが良いさ。

「あぅぅ……アホ毛が消失したですぅ」
「それは御愁傷様ですね……」

ヴァームも冷たい口調で言う、メェはそれに涙目だ……だが俺は厳しく当たらせて貰うぞ……此処で甘やかしたらメェの為にならないからな。

「あら?」
「どうしたヴァーム?」

そんな事を考えていると何かに反応するヴァーム……廊下に出る扉を見ている。

「誰かここに来るようですね」

なに? 言われて気付いたが大きな足音が聞こえる、段々此方にやってくるのが分かる。

「この大きくて力強い足音は……きぃ君です!」

先程涙ぐんでいたのに、ぱぁっと笑顔になる、そっそう言うの……分かるんだ、本当に鬼騎が来るのか? 俺はその扉をじっと見つめる……本当に鬼騎が来るのか? そう思っていたら力強く扉が開かれその人は入ってきた。

「すまんっ色々あって寝過ごしてしまった! 今料理を……っ!?」

本当だ……本当に鬼騎が入ってきた。

「ふふふ……お早う御座います鬼騎さん」
「おっおぅ……」

鬼騎は部屋に入ってこの状況に驚いている、何故ヴァームとメェが此処に居る?と言った感じか?

「きぃくぅんっ!」
「めっメェさっさん!?」

驚いた後、鬼騎は更に驚いた……そりゃ人が急に飛び付いて来たら驚くだろ、メェは鬼騎に抱き付いた後、すりすりと胸に顔を擦り付ける……鬼騎は「あっ! おっ? えっ!?」と困惑している。

「なっななんでアフロなんですかい?」

急に抱き付かれた事よりもメェの髪型が気になったらしい……そこじゃないだろ! と突っ込んでやりたい所だが今は黙っておこう。

「めぇぇっ……そっそれはぁ」
「私が説明します」

メェの代わりにヴァームがしっかりと説明してくれる。


「成る程な、メェさんの薬でそんな事になったんか……で、報いを受けてアフロになったと」

暫く説明を聞いて納得する鬼騎、メェの髪型を見た後つんっと突っつく。

「ぅめぇ……メェの完璧な髪型が爆発した見たいになったですぅ」
「そっそれはぁ……それでかっかかっ可愛ぃでございますですよ」

ヴァームとは普通に話せるのにメェと話す時は変な敬語になる、本当に変な奴だ……。

「ほっ本当ですかぁ!」
「ほっ本当でございますです!」

さっきから嘆いていたのにぱぁっと輝かしい笑顔になるメェ……。

「鬼騎さん……この駄目医師は盛大な悪戯をしたんです、ここはガツンと怒って下さい」
「悪戯じゃないですっ人体実験ですよ!」

余計質が悪いじゃないか! と、俺が言おうとした時だ……鬼騎が遮る様に喋りだす。

「そう言えば……そんな事を言っておったな」

ヴァームはメェを強く睨み付ける……びくっと身体をびくつかせ鬼騎の胸に顔を埋める。

「メェさん……」
「はぃ……」

大きく息を吐いた後、メェの頭をコツンっと小突く……。

「こらっ!」

鬼騎はその一言をメェに強く言った……え? きつく叱れって言われてあれだけか? と俺は困惑する……するとヴァームが俺に近付いてきて肩をぽんっと叩いて来る。

「生易しく感じると思いますけどメェにとってはあれが良く聞くんです」
「そっそうなのか?」

ふむ……叱り方も人それぞれで堪える人もそれぞれと言う訳か。

「ひぅぅ……」

あぁ……メェが泣いてしまった、あっ降りた……そして部屋の隅っこに走って行った。

「メェさん……きちんとシルクに謝ったんですかい?」
「ごめんなさいです」

そう言われて隅っこにうずくまったまま謝ってくる、おぉ……大分堪えているみたいだ。

「しぃ坊すまんかったな、メェは悪い奴じゃ無いんだがやり過ぎる所があるんだ」
「そっその様だな……」

あれはやり過ぎるってレベルじゃないと思うがな……鬼騎は俺と話した後、「さて……そろそろ言うか」と呟く。

「しぃ坊何か縮んどらんか?」
「それについては触れないでくれ」

薬でこうなったんだ……俺は望んでいない遠くを見て話す俺に続けて鬼騎は話をする。

「せっ性別も変わっとらんか?」
「それについても触れないでくれ……頼む」

男が女になった事なんて俺が初めてだろうな。

「そっそか……分かった」

鬼騎は頭を掻いて横を向く……おいヴァーム、横で笑ってるんじゃない、俺はこの状態からさっさと抜け出したいんだ!

「なら飯にするか……そしたら今の気分が晴れるんじゃないか?」
「あっ……それなんだが」

そうだ、鬼騎は知らないんだった、言わないと……。

「それには及びませんよ……今、ロア様が作っていますから」
「なにロア譲が?」

そう、今正に料理を作っている最中だ、今はそれを待っていると言う状況だ。

「だったらわしも手伝いに」
「鬼騎さん、ロア様1人でやらせてあげてください」

にっこり微笑むヴァーム、それを見た鬼騎は何かを察したのか腕を組んで「ならそうするとするか」と言って俺と同じく椅子に座る。

「さて、わし等の魔王様は何をこさえるのやら楽しみだな」
「そうだな」

鬼騎の言う通りだ……ロアは一体何を作っているんだ? それを期待しながら待つとしよう。

「では待ってる間私は記ささんの服を用意しますね……それだと色々と不便ですし」
「あぁそうだな……ならその服は普通のにしてくれ」

その言葉を聞いて「ふふっ」と笑って出ていった、これまともじゃないのが来るな……もう裸の方がマシなんじゃないか? いやこの身体で裸は色々と不味いし絶対に嫌だ……此処は素直に受け入れるとするか。
たった3日間の我慢だ……耐えるんだ俺! そんな事を思っているとヴァームは既に部屋を出ていた、部屋に居るのは俺と鬼騎とメェだけになってしまった……このメンバーでいるのは2回目だな、そんな事を思った時だ、食堂への扉が開かれる。

「朝食が出来たのじゃ……ってヴァームがおらん、代わりに鬼騎がいるのじゃ……まぁ良いか」

朝食が出来たのかロアが俺達を呼びに来た。

「さぁ、此方へ来るのじゃ!そしてわらわの料理をたっぷり堪能すると良いのじゃ」
「あぁ……そうさせて貰うよ」

俺はそう言って立ち上がり楽しみにしながら食堂へ入って行った。
さぁ、ロアはどんな朝食を作ってくれたんだ?

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