どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
486
足が痛い……。
ジンジンと鼓動するかのような痛さで俺は目覚めた。
昨日思いっきり走りすぎたかな?
「ここは、ロアの部屋……か」
えと……あの後、沢山走ったのは覚えている、だけどその間の記憶はまるでない。
そうか……知らない内にここに来ていたのか。
そう思って隣を見てみると……ロアが幸せそうに眠っていた、いつの間にか部屋に来てたらしい、全く気が付かなかった。
そんなロアを起こさない様にベットから降りて、テラスへと出ていく。
「……寒い」
ぶるっと身震いするが、暫くここにいよう。
なんか、そう言う気分だ。
そんな事を思いながら、昨日の事を思い返す。
『ハナトという言うのはわらわが作った偽名、昔一緒に約束を交わして別れたのはわらわじゃった』このロアの言葉が頭の中で響いた。
あぁぁぁ……どういう事だよ、意味がわからない!
訳のわからなさにイライラして、ガリガリと頭を掻きむしる。
混乱だ、もう大混乱だよ! なんなんだよ昨日の話しは! あれ、あれは……つまり、どういう事、だ?
「えと、ナハトがロアだった……んだよな? だから、昔会ってた娘はナハトって言ってたけど、実はロアだった」
……うん、なんとなくまとめる為に自分で言ってみたが、全く信じられない。
なのに、さっきから心臓がバクバク騒がしく脈打ってる。
くっ、朝から動揺させてくれるなぁ……。
がくっと下を向いて手すりに手を掛ける。
その瞬間、ひゅぅぅ……と風が吹いた。
寒い、暫くここに居たかったが流石に入ろう……ここに居たら風邪を引く。
だから、手で身体を擦りながら中に入った。
「あぁぁ……寒かった、あ」
「あら」
そしたら、ヴァームがいた。
俺がテラスに行ってる間に入ってきたんだな、ちょっと驚いた。
「おはようございます。シルク様」
「あっあぁ。おはよう」
丁寧に挨拶してくるヴァーム、だが俺は雑な挨拶をしてしまった。
昨夜の事があってまともに顔が見れない、あのあと走って部屋に戻ったけど……バレてないよな?
「あら? 何か顔色が悪いですね」
「え」
っ、ちっ近付いてきたぁ! 思わず、ズザッ! と後ろに下がるが、構わずヴァームは近付いてくる。
そして、ペタッと俺の頬を触った。
つっ冷たい……って、こら! どさくさに紛れてむにむにするな。
「……ふむ。大丈夫の様ですね」
「べっ別に、俺はどこも悪くないよ」
「そうですか。いつもと様子が違いますので風邪かと思いました」
え、そんなの見ただけで分かるのか? っ! これ、もしかして昨夜の事、気付いてないか? 俺が聞き耳を立ててたのを知ってるんじゃないのか?
絶対そうだ、これって完全に探りを入れてるよな。
「あら? 急に表情が固まりしたが……大丈夫ですか?」
「っ! 大丈夫……だ」
まずい、まずいまずい、顔に出てた。
落ち着け、落ち着くんだ俺、まだバレてない……落ち着けばバレない、クールになるんだ。
一旦、ふぅぅ……と大きく呼吸する。
それを見てヴァームは小首を傾げた、あぁ……そりゃ不思議に思うよな、急にこんな大きく呼吸をすればな。
なにもないぞ、気にしないでくれ……心の中で念じながら笑った。
「シルク様……今日、変ですよ?」
「へっ変!?」
って、うぉぃ!! めちゃくちゃ怪しまれてる! 堂々と変とか言われたぞ。
「え、そんなに変に見えるか?」
「はい。私に眼を合わせたがりませんし……それに」
「っ、そっそれに?」
「小刻みに震えています」
「えぇっ!!」
嘘だろ! そんな筈はないっ、直ぐ様視線を下にしたその時。
「嘘です」
「うっ……嘘?」
さらりと言ってきた。
……のっ乗せられてしまったな。
「見事に引っ掛かりましたね」
「え、あ……」
やっやらかした。
完全にやらかした!
見事にヴァームのかまかけに引っ掛かった!
「直ぐ様足元を見ましたねぇ……足なんて震えてないのに、何かやましい事があるのですか?」
ひたっひたっ……不気味に笑って俺の肩に手を乗せるヴァーム。
そのまま、耳元に顔を近付けて……こう囁いてきた。
「お漏らしでもしましたか?」
「してないわぁぁっ!!」
腹の底から声を出して、ヴァームを突飛ばした。
少しふらついたヴァームは「あらあら、外れですか」と言いながらクスクス笑ってる。
このっ、なんて事を言うんだよ! 違うから! 漏らしてないから!
「ふふふ。朝から元気ですね……それでこそシルク様です」
「ヴァっヴァームも朝から相変わらずだな」
ほんっとやってくれるよ。
内心ドキドキしてたんだからな? 昨夜の事、言われるんじゃないか? とか思ったんだからな。
でも、そうじゃなかった……はぁぁ、良かったぁぁ。
この様子だとバレてないっぽい。
ヴァームに悟られない様に安心する。
だがその後にふと思う……昨夜のあの話しは、本当の事なのか? と。
「シルク様。起きたのなら着替えて食事に向かってください、私はロア様を起こしますので……」
「え、あっあぁ……。分かった」
そんな事に悩んでると、そう言って来たから言うとおりにする。
場所を移動しよう、ここで色々考えたら駄目だ。
だって俺は直ぐに顔に出る、そしたら勘の良いヴァームにまた色々と聞かれる。
多分、次そんな事があったら……俺は上手く誤魔化せない。
つまりバレるのは必須だ。
だから考えるのは止めだ、そうだな……食事が済んだら改めて考えようか。
ジンジンと鼓動するかのような痛さで俺は目覚めた。
昨日思いっきり走りすぎたかな?
「ここは、ロアの部屋……か」
えと……あの後、沢山走ったのは覚えている、だけどその間の記憶はまるでない。
そうか……知らない内にここに来ていたのか。
そう思って隣を見てみると……ロアが幸せそうに眠っていた、いつの間にか部屋に来てたらしい、全く気が付かなかった。
そんなロアを起こさない様にベットから降りて、テラスへと出ていく。
「……寒い」
ぶるっと身震いするが、暫くここにいよう。
なんか、そう言う気分だ。
そんな事を思いながら、昨日の事を思い返す。
『ハナトという言うのはわらわが作った偽名、昔一緒に約束を交わして別れたのはわらわじゃった』このロアの言葉が頭の中で響いた。
あぁぁぁ……どういう事だよ、意味がわからない!
訳のわからなさにイライラして、ガリガリと頭を掻きむしる。
混乱だ、もう大混乱だよ! なんなんだよ昨日の話しは! あれ、あれは……つまり、どういう事、だ?
「えと、ナハトがロアだった……んだよな? だから、昔会ってた娘はナハトって言ってたけど、実はロアだった」
……うん、なんとなくまとめる為に自分で言ってみたが、全く信じられない。
なのに、さっきから心臓がバクバク騒がしく脈打ってる。
くっ、朝から動揺させてくれるなぁ……。
がくっと下を向いて手すりに手を掛ける。
その瞬間、ひゅぅぅ……と風が吹いた。
寒い、暫くここに居たかったが流石に入ろう……ここに居たら風邪を引く。
だから、手で身体を擦りながら中に入った。
「あぁぁ……寒かった、あ」
「あら」
そしたら、ヴァームがいた。
俺がテラスに行ってる間に入ってきたんだな、ちょっと驚いた。
「おはようございます。シルク様」
「あっあぁ。おはよう」
丁寧に挨拶してくるヴァーム、だが俺は雑な挨拶をしてしまった。
昨夜の事があってまともに顔が見れない、あのあと走って部屋に戻ったけど……バレてないよな?
「あら? 何か顔色が悪いですね」
「え」
っ、ちっ近付いてきたぁ! 思わず、ズザッ! と後ろに下がるが、構わずヴァームは近付いてくる。
そして、ペタッと俺の頬を触った。
つっ冷たい……って、こら! どさくさに紛れてむにむにするな。
「……ふむ。大丈夫の様ですね」
「べっ別に、俺はどこも悪くないよ」
「そうですか。いつもと様子が違いますので風邪かと思いました」
え、そんなの見ただけで分かるのか? っ! これ、もしかして昨夜の事、気付いてないか? 俺が聞き耳を立ててたのを知ってるんじゃないのか?
絶対そうだ、これって完全に探りを入れてるよな。
「あら? 急に表情が固まりしたが……大丈夫ですか?」
「っ! 大丈夫……だ」
まずい、まずいまずい、顔に出てた。
落ち着け、落ち着くんだ俺、まだバレてない……落ち着けばバレない、クールになるんだ。
一旦、ふぅぅ……と大きく呼吸する。
それを見てヴァームは小首を傾げた、あぁ……そりゃ不思議に思うよな、急にこんな大きく呼吸をすればな。
なにもないぞ、気にしないでくれ……心の中で念じながら笑った。
「シルク様……今日、変ですよ?」
「へっ変!?」
って、うぉぃ!! めちゃくちゃ怪しまれてる! 堂々と変とか言われたぞ。
「え、そんなに変に見えるか?」
「はい。私に眼を合わせたがりませんし……それに」
「っ、そっそれに?」
「小刻みに震えています」
「えぇっ!!」
嘘だろ! そんな筈はないっ、直ぐ様視線を下にしたその時。
「嘘です」
「うっ……嘘?」
さらりと言ってきた。
……のっ乗せられてしまったな。
「見事に引っ掛かりましたね」
「え、あ……」
やっやらかした。
完全にやらかした!
見事にヴァームのかまかけに引っ掛かった!
「直ぐ様足元を見ましたねぇ……足なんて震えてないのに、何かやましい事があるのですか?」
ひたっひたっ……不気味に笑って俺の肩に手を乗せるヴァーム。
そのまま、耳元に顔を近付けて……こう囁いてきた。
「お漏らしでもしましたか?」
「してないわぁぁっ!!」
腹の底から声を出して、ヴァームを突飛ばした。
少しふらついたヴァームは「あらあら、外れですか」と言いながらクスクス笑ってる。
このっ、なんて事を言うんだよ! 違うから! 漏らしてないから!
「ふふふ。朝から元気ですね……それでこそシルク様です」
「ヴァっヴァームも朝から相変わらずだな」
ほんっとやってくれるよ。
内心ドキドキしてたんだからな? 昨夜の事、言われるんじゃないか? とか思ったんだからな。
でも、そうじゃなかった……はぁぁ、良かったぁぁ。
この様子だとバレてないっぽい。
ヴァームに悟られない様に安心する。
だがその後にふと思う……昨夜のあの話しは、本当の事なのか? と。
「シルク様。起きたのなら着替えて食事に向かってください、私はロア様を起こしますので……」
「え、あっあぁ……。分かった」
そんな事に悩んでると、そう言って来たから言うとおりにする。
場所を移動しよう、ここで色々考えたら駄目だ。
だって俺は直ぐに顔に出る、そしたら勘の良いヴァームにまた色々と聞かれる。
多分、次そんな事があったら……俺は上手く誤魔化せない。
つまりバレるのは必須だ。
だから考えるのは止めだ、そうだな……食事が済んだら改めて考えようか。
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