どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
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「ねぇ、なんで被り物をしたくないの? 被り物を被れないってどういう事? あと……今、あの被り物何処にあるのさ」
前置きは抜きにして、聞きたい事を全部聞いてみた。
クーは「ぁぅ」と声を漏らして暫く黙ったけど、話してくれた。
「そっそれは……にっ、逃げるのは、やっ止めようって……思ったから、だよ」
「逃げるのを止める……ねぇ」
なるほど、クーはずぅぅっと他人に顔を合わせるのが苦手で被り物をしてたけど、もうそれは止めたって事か。
がんばっるんだね、クー。
「かっ、被れない理由は……もう、あの被り物は無くなったから……」
「えっ!? 無くなった?」
「ひゃっ!?」
「あ、ごめん」
凄い事言ってきたから思わず大きな声が出ちゃった。
いやだって、無くなったって言うからさ……。
あの目立つ被り物が無くなった、無くすのが難しい位主張の激しい物なのに……。
と言うか、いつも被ってたのに無くしたんだ。
不思議だね。
「えっえと、無くなったって事は何処にあるのか分からないの? 心当たりがあるなら、探すの手伝うよ?」
「あ、いや……だっ、だいじょぶ」
え、だいじょぶなの? ほんとに? さっきまでひぃひぃ言ってたのに?
「もっ、もう……探しようが、なっ……ないから!」
「探しようが、ない?」
僕の言葉に激しく首を縦に振るう。
いやいや、探しようが無いって、どういう事さ。
そんな、直ぐに無くなる物じゃあるまいし……。
「……た、食べちゃい、ましたから」
「……え、ごめん。いま、何て言ったの?」
くははは、さっき色々あって疲れたのかな? 耳を疑う事が聞こえて来たよ。
だから聞き返すと、クーは僕の手首をそっと掴んで下に下ろし、まっすぐ見つめて言った。
「たべ、ました」
「……聞き間違いじゃなかった」
あぁ、えと……なんて返そう。
予想外すぎて返事に困るね、そっかぁ……食べちゃったんだぁ。
それは探しても見付からないねぇ……。
「えと、取り敢えず……なんで食べた! って言っておくよ」
「うぅぅ」
いや、うぅぅ……じゃなくてさ。
良く食べたね、なんで食べたの? て言うか良く食べようと思ったね!
「だっ、だって……普通に隠すと……また甘えて、かっかぶっ、かぶっちゃう……から」
「あ、そうなんだ」
まぁ、うん……理由は教えてくれたね。
だからって、普通食べちゃうかなぁ……。
「そっ……そんな顔、しないで……」
「いや、こんな顔もするよ」
理由が理由なんだもん。
「ラキュ君も……食べたのに」
……はい?
 
「ちょっと待って、え? また変な事いった?」
「へっ、変じゃ……無い、です」
おっ、ムッとなったね。
そうだよね、クーは続けて変な事は言わないよね。
「ちゃんと、した……事なの。ラキュ君も……カボチャの被り物、食べたよ」
うん、前言撤回……言ってた。
僕は頭を、ぐぐっと抑えながらため息を吐いた後、言ってやった。
「いつ? ねぇ、いつ食べさせたの!」
もう強い口調で言った。
だって、凄く大事な事だもん。
そんな僕にビクッ! となりながらクーは、答えてくれる。
「今朝……」
「今朝!?」
え、今朝って……朝食しか考えられないね。
うん、そうだ、絶対そうだ、そうに違いない。
「因みに、シチューに……いっ入れまし……た」
「だろうね、入れれものはそれくらいしかなかったもんね」
そっか、あれ……クーの被り物だったんだ。
食べちゃったんだね、あれを。
くはははは……クーってば、凄い事してくれるね。
「ラキュ……君?」
「くはははは……」
もうあれだね、笑うしかないね。
……いや、笑ってる場合じゃないね。
「クー……なんで、僕に食べさせたの?」
「っ!?」
睨みながら言ってみる。
ちょっぴり怒ってる、色々言いたい事があるけど、まずこれは聞いておきたい。
「えっ、えと……意外と、その……おっ、おっきくて……ひとりじゃ、食べきれない……から」
「だから、僕に食べさせたの? まさか……朝食に誘ったのってそれが目的?」
………頷いた、その後に「それも……ある」って小声で言った。
「あっ、安心……して。ちゃんと、熱湯で茹でたし……その前に、きっ……きちんと、あっ、洗っ……た」
「いや、そう言う問題じゃないよね?」
「ひぅっ!?」
低い声で突っ込んでやる。
きゅっと目を瞑ってクーは怯えた。
あぁ……もぅ、なんだろ……言いたかった事沢山あったのに、全部消えちゃった。
「はぁぁぁ……」
「っ! だっだい、じょうぶ? なにか……変、だった?」
「……ねぇ。それを聞くって事はさ、自分では変だと思ってないの?」
「?」
うわっ、きょとんとした。
変だと思ってないんだ。
そう察した僕は、呆れた顔をして、その場にペタンと座る。
「クーが、バカみたいな行動するなんて……初めてだね」
そして、苦笑いしてそう言った。
クーは「ふぇ!?」と声を上げてキョドキョドする。
あぁぁぁ……ここにシルク君がいれば、全部とは言わないけど、ある程度は突っ込んでくれるんだろうなぁ。
そう思って、僕は「くはははは」と乾いた笑い声を出した。
前置きは抜きにして、聞きたい事を全部聞いてみた。
クーは「ぁぅ」と声を漏らして暫く黙ったけど、話してくれた。
「そっそれは……にっ、逃げるのは、やっ止めようって……思ったから、だよ」
「逃げるのを止める……ねぇ」
なるほど、クーはずぅぅっと他人に顔を合わせるのが苦手で被り物をしてたけど、もうそれは止めたって事か。
がんばっるんだね、クー。
「かっ、被れない理由は……もう、あの被り物は無くなったから……」
「えっ!? 無くなった?」
「ひゃっ!?」
「あ、ごめん」
凄い事言ってきたから思わず大きな声が出ちゃった。
いやだって、無くなったって言うからさ……。
あの目立つ被り物が無くなった、無くすのが難しい位主張の激しい物なのに……。
と言うか、いつも被ってたのに無くしたんだ。
不思議だね。
「えっえと、無くなったって事は何処にあるのか分からないの? 心当たりがあるなら、探すの手伝うよ?」
「あ、いや……だっ、だいじょぶ」
え、だいじょぶなの? ほんとに? さっきまでひぃひぃ言ってたのに?
「もっ、もう……探しようが、なっ……ないから!」
「探しようが、ない?」
僕の言葉に激しく首を縦に振るう。
いやいや、探しようが無いって、どういう事さ。
そんな、直ぐに無くなる物じゃあるまいし……。
「……た、食べちゃい、ましたから」
「……え、ごめん。いま、何て言ったの?」
くははは、さっき色々あって疲れたのかな? 耳を疑う事が聞こえて来たよ。
だから聞き返すと、クーは僕の手首をそっと掴んで下に下ろし、まっすぐ見つめて言った。
「たべ、ました」
「……聞き間違いじゃなかった」
あぁ、えと……なんて返そう。
予想外すぎて返事に困るね、そっかぁ……食べちゃったんだぁ。
それは探しても見付からないねぇ……。
「えと、取り敢えず……なんで食べた! って言っておくよ」
「うぅぅ」
いや、うぅぅ……じゃなくてさ。
良く食べたね、なんで食べたの? て言うか良く食べようと思ったね!
「だっ、だって……普通に隠すと……また甘えて、かっかぶっ、かぶっちゃう……から」
「あ、そうなんだ」
まぁ、うん……理由は教えてくれたね。
だからって、普通食べちゃうかなぁ……。
「そっ……そんな顔、しないで……」
「いや、こんな顔もするよ」
理由が理由なんだもん。
「ラキュ君も……食べたのに」
……はい?
 
「ちょっと待って、え? また変な事いった?」
「へっ、変じゃ……無い、です」
おっ、ムッとなったね。
そうだよね、クーは続けて変な事は言わないよね。
「ちゃんと、した……事なの。ラキュ君も……カボチャの被り物、食べたよ」
うん、前言撤回……言ってた。
僕は頭を、ぐぐっと抑えながらため息を吐いた後、言ってやった。
「いつ? ねぇ、いつ食べさせたの!」
もう強い口調で言った。
だって、凄く大事な事だもん。
そんな僕にビクッ! となりながらクーは、答えてくれる。
「今朝……」
「今朝!?」
え、今朝って……朝食しか考えられないね。
うん、そうだ、絶対そうだ、そうに違いない。
「因みに、シチューに……いっ入れまし……た」
「だろうね、入れれものはそれくらいしかなかったもんね」
そっか、あれ……クーの被り物だったんだ。
食べちゃったんだね、あれを。
くはははは……クーってば、凄い事してくれるね。
「ラキュ……君?」
「くはははは……」
もうあれだね、笑うしかないね。
……いや、笑ってる場合じゃないね。
「クー……なんで、僕に食べさせたの?」
「っ!?」
睨みながら言ってみる。
ちょっぴり怒ってる、色々言いたい事があるけど、まずこれは聞いておきたい。
「えっ、えと……意外と、その……おっ、おっきくて……ひとりじゃ、食べきれない……から」
「だから、僕に食べさせたの? まさか……朝食に誘ったのってそれが目的?」
………頷いた、その後に「それも……ある」って小声で言った。
「あっ、安心……して。ちゃんと、熱湯で茹でたし……その前に、きっ……きちんと、あっ、洗っ……た」
「いや、そう言う問題じゃないよね?」
「ひぅっ!?」
低い声で突っ込んでやる。
きゅっと目を瞑ってクーは怯えた。
あぁ……もぅ、なんだろ……言いたかった事沢山あったのに、全部消えちゃった。
「はぁぁぁ……」
「っ! だっだい、じょうぶ? なにか……変、だった?」
「……ねぇ。それを聞くって事はさ、自分では変だと思ってないの?」
「?」
うわっ、きょとんとした。
変だと思ってないんだ。
そう察した僕は、呆れた顔をして、その場にペタンと座る。
「クーが、バカみたいな行動するなんて……初めてだね」
そして、苦笑いしてそう言った。
クーは「ふぇ!?」と声を上げてキョドキョドする。
あぁぁぁ……ここにシルク君がいれば、全部とは言わないけど、ある程度は突っ込んでくれるんだろうなぁ。
そう思って、僕は「くはははは」と乾いた笑い声を出した。
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