どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
57
「くふふふ、シルクの肌はすべすべじゃのぅ…」
「そいつはどうも……」
あれからまだ抱き付かれている俺……しかも場所はテラスのまま移動していない、ロアにとってスキンシップする場所は何処でも良いらしい、俺が迷惑だと思っているのは気付いていないらしい。
だがもう長い事抱き付かれてる、いい加減立ちっぱなしも疲れるから離れる様に言おう。
「で、何時まで抱き付いてる気だ?」
「そうじゃの…あと1時間したら流石に離れるのじゃ」
はは……1時間か、本当に無茶苦茶言うなこいつは、これを本気で言っているから質が悪い。
「冗談は良いからさっさと離れろ」
「失敬な!これは、冗談ではないのじゃ」
大きな目を少しつり上げ意気揚々と言ってくる、ほらな? やっぱり本気で言ってる……まぁ分かってたさ、だが俺にはこれから用事がある、無理を承知で言ってみようか……これから「あいつ」に会いに行くからな。
「ん、奴に会いに行くのかえ?」
「あぁ、駄目か?」
ロアが一頻り抱き付いた後俺はロアにある事を聞いて見た、やっと離れるロアは腕を考えて考える仕草を見せる。
「別に構わんが…ふむ、どうすべきじゃろぅ」
ロアが苦悩している……何かあったみたいだな、そりゃ1週間自分な嫌いな猫と一緒にいたんだ、何も起きない方が可笑しいか。
「何かあったのか?」
「んー……まぁお主なら大丈夫じゃろう」
何か引っ掛かる言い回しだな……ロアは指を鳴らす、すると黒い渦が俺の右側に現れた。
「会いに行っても良いが今の奴は何をするか分からん、それでも行くんじゃな?」
「……あぁ」
あぁ…今のあいつがどんな心境なのか分かった。
「ならばその渦の中へ入るのじゃ、あやつの部屋に通っておるぞ」
「ありがとな」
兎に角会いに行こう、そして会話する前に色々と気を付けなきゃいけない様だ、軽くため息をついた後黒い渦へと足を進める。
「あっシルクよ……」
「なんだ?」
するとロアが呼び止めた。
「弟をよろしくの」
「……分かった」
弟によろしくか……心配してるんだな、だったら突っ込ませてもらうが……幾らなんでも追い込み過ぎだろ! と、内心思うも言った所でいつもの様にはぐらかされてしまうので黙っておいた、そして俺は黒い渦の中に足を踏み入れる、この視界が歪む感じ……慣れる気がしない。
辺りが真っ暗になり俺の身体に浮遊感が襲う、数秒後にはあいつ……ラキュの部屋に着く、さぁどうなってるかな? 頼むから無事でいてくれよ。
「……着いた」
何度見ても慣れないな……この部屋、で、ラキュは何処だ? 無事だと良いんだが……あっ! いた!
「トマト……トマトだけが僕を癒してくれる、あははははは……」
無事じゃなかった……色々とやばかった、部屋の隅っこでしゃがみこんで病んでる、しかも1人で喋ってる……いや手に何か持ってるな…何を持っているんだ? 目を凝らして良く見るとそれが何か分かった、あれはトマトだ、トマトを持って部屋の隅でうずくまっている、まさかとは思うがトマトと会話してるのか?
「……ふふっそう言ってくれると嬉しいよ、ありがとうリコ」
話し掛けてただと!? もうなんか色々とヤバイ奴じゃないか! 超話し掛けたくないんだが……しかもトマトに名前付けてんのか? いや……そんな事は今はどうでも良い! 怖いけどラキュに話し掛けないと!
「ラキュ!」
「っ誰だ!……なんだ、シルク君か」
俺の声に反応したラキュは身体をびくつかせ俺の方を向く、かなり窶れてる、大分重症みたいだ……。
「ビックリさせないでよ…」
「いや、こっちのセリフだ」
深いため息をつきつつ俺はラキュの方へ歩いていく。
「痩せたな……」
「ははっ…ずっと此処に引きこもってたからね」
成る程……そりゃそうなるだろう、ラキュはあの地獄の1週間の間、大嫌いな猫と一緒にいたからな……。
「でも大丈夫だよ、僕にはトマトがあるから……」
「そっそうか……」
トマトがあるから大丈夫……か、ならラキュがトマトを失ったらどうなるんだろう……きっと立ち直れないくらい落ち込むんだろうな。
「で?何でシルク君が此処にいるんだい?」
「ロアに連れてきて貰ったんだよ」
そう俺が言った時だ、「そう……」と呟き衣服を手で払い立ち上がる。
「僕に何か様?」
タキシードの襟を正し答えるラキュ、その仕草……格好いい。
「相談したい事があるんだ」
ラキュにそう言われたので早速用件を言ってみる、小首を傾げるラキュは俺を通り過ぎ、また俺の方に振り替えって口を開く。
「取り敢えず座って聞くよその表情だと相当悩んでそうだしね……」
そう言ってトマト型のソファーに座る、顔に出てたのか?それ位悩んでたんだな。
「どうしたの?」
「あっいや……何でもない」
俺は早足でソファーに向かい座る、此処に座るのは2度目……本当に座り心地が良い。
「さて…話す前に1杯どうだい?」
足を組みつつ何時もの様に魔法でグラスを取り出す、中身はもちろんトマトジュース。
「頂くよ」
トマトジュースが入ったグラスを受け取りそれを口に含む、やっぱり濃いな……美味しいんだけどな。
「じゃ、僕も……」
そう言ってラキュはまたトマトジュース入りのグラスを取り出した、不味い……ラキュがトマトジュースを飲んだら長く待たされそうだ。
「なぁラキュ……ロアが俺を好きな理由ってなんなんだ?」
だからいきなり質問してみた、一瞬にして周りが静かになった気がした、ラキュはグラスをテーブルに置いて頭を掻き沈黙するラキュ、時計の音だけが響いて緊張感が増していく。
「成る程、僕に聞きたいのはその事か……弟である僕なら理由を知ってると思ったんだね?」
「あぁ……」
確かにその通りだ……こんなに思ってる事を当てられると、心がどきっとしてしまう……ん? なんだ? ラキュの眉がピクピク動いている、怒っている様に見える……気のせいだよな?
「良いよ、じゃぁ少しだけ話をしようか」
少しだけ笑うとラキュの赤い瞳がきらりと輝る……ラキュは何と答える? その答えで俺は次にすべき行動を見付ける、いや見つけて見せる!
「そいつはどうも……」
あれからまだ抱き付かれている俺……しかも場所はテラスのまま移動していない、ロアにとってスキンシップする場所は何処でも良いらしい、俺が迷惑だと思っているのは気付いていないらしい。
だがもう長い事抱き付かれてる、いい加減立ちっぱなしも疲れるから離れる様に言おう。
「で、何時まで抱き付いてる気だ?」
「そうじゃの…あと1時間したら流石に離れるのじゃ」
はは……1時間か、本当に無茶苦茶言うなこいつは、これを本気で言っているから質が悪い。
「冗談は良いからさっさと離れろ」
「失敬な!これは、冗談ではないのじゃ」
大きな目を少しつり上げ意気揚々と言ってくる、ほらな? やっぱり本気で言ってる……まぁ分かってたさ、だが俺にはこれから用事がある、無理を承知で言ってみようか……これから「あいつ」に会いに行くからな。
「ん、奴に会いに行くのかえ?」
「あぁ、駄目か?」
ロアが一頻り抱き付いた後俺はロアにある事を聞いて見た、やっと離れるロアは腕を考えて考える仕草を見せる。
「別に構わんが…ふむ、どうすべきじゃろぅ」
ロアが苦悩している……何かあったみたいだな、そりゃ1週間自分な嫌いな猫と一緒にいたんだ、何も起きない方が可笑しいか。
「何かあったのか?」
「んー……まぁお主なら大丈夫じゃろう」
何か引っ掛かる言い回しだな……ロアは指を鳴らす、すると黒い渦が俺の右側に現れた。
「会いに行っても良いが今の奴は何をするか分からん、それでも行くんじゃな?」
「……あぁ」
あぁ…今のあいつがどんな心境なのか分かった。
「ならばその渦の中へ入るのじゃ、あやつの部屋に通っておるぞ」
「ありがとな」
兎に角会いに行こう、そして会話する前に色々と気を付けなきゃいけない様だ、軽くため息をついた後黒い渦へと足を進める。
「あっシルクよ……」
「なんだ?」
するとロアが呼び止めた。
「弟をよろしくの」
「……分かった」
弟によろしくか……心配してるんだな、だったら突っ込ませてもらうが……幾らなんでも追い込み過ぎだろ! と、内心思うも言った所でいつもの様にはぐらかされてしまうので黙っておいた、そして俺は黒い渦の中に足を踏み入れる、この視界が歪む感じ……慣れる気がしない。
辺りが真っ暗になり俺の身体に浮遊感が襲う、数秒後にはあいつ……ラキュの部屋に着く、さぁどうなってるかな? 頼むから無事でいてくれよ。
「……着いた」
何度見ても慣れないな……この部屋、で、ラキュは何処だ? 無事だと良いんだが……あっ! いた!
「トマト……トマトだけが僕を癒してくれる、あははははは……」
無事じゃなかった……色々とやばかった、部屋の隅っこでしゃがみこんで病んでる、しかも1人で喋ってる……いや手に何か持ってるな…何を持っているんだ? 目を凝らして良く見るとそれが何か分かった、あれはトマトだ、トマトを持って部屋の隅でうずくまっている、まさかとは思うがトマトと会話してるのか?
「……ふふっそう言ってくれると嬉しいよ、ありがとうリコ」
話し掛けてただと!? もうなんか色々とヤバイ奴じゃないか! 超話し掛けたくないんだが……しかもトマトに名前付けてんのか? いや……そんな事は今はどうでも良い! 怖いけどラキュに話し掛けないと!
「ラキュ!」
「っ誰だ!……なんだ、シルク君か」
俺の声に反応したラキュは身体をびくつかせ俺の方を向く、かなり窶れてる、大分重症みたいだ……。
「ビックリさせないでよ…」
「いや、こっちのセリフだ」
深いため息をつきつつ俺はラキュの方へ歩いていく。
「痩せたな……」
「ははっ…ずっと此処に引きこもってたからね」
成る程……そりゃそうなるだろう、ラキュはあの地獄の1週間の間、大嫌いな猫と一緒にいたからな……。
「でも大丈夫だよ、僕にはトマトがあるから……」
「そっそうか……」
トマトがあるから大丈夫……か、ならラキュがトマトを失ったらどうなるんだろう……きっと立ち直れないくらい落ち込むんだろうな。
「で?何でシルク君が此処にいるんだい?」
「ロアに連れてきて貰ったんだよ」
そう俺が言った時だ、「そう……」と呟き衣服を手で払い立ち上がる。
「僕に何か様?」
タキシードの襟を正し答えるラキュ、その仕草……格好いい。
「相談したい事があるんだ」
ラキュにそう言われたので早速用件を言ってみる、小首を傾げるラキュは俺を通り過ぎ、また俺の方に振り替えって口を開く。
「取り敢えず座って聞くよその表情だと相当悩んでそうだしね……」
そう言ってトマト型のソファーに座る、顔に出てたのか?それ位悩んでたんだな。
「どうしたの?」
「あっいや……何でもない」
俺は早足でソファーに向かい座る、此処に座るのは2度目……本当に座り心地が良い。
「さて…話す前に1杯どうだい?」
足を組みつつ何時もの様に魔法でグラスを取り出す、中身はもちろんトマトジュース。
「頂くよ」
トマトジュースが入ったグラスを受け取りそれを口に含む、やっぱり濃いな……美味しいんだけどな。
「じゃ、僕も……」
そう言ってラキュはまたトマトジュース入りのグラスを取り出した、不味い……ラキュがトマトジュースを飲んだら長く待たされそうだ。
「なぁラキュ……ロアが俺を好きな理由ってなんなんだ?」
だからいきなり質問してみた、一瞬にして周りが静かになった気がした、ラキュはグラスをテーブルに置いて頭を掻き沈黙するラキュ、時計の音だけが響いて緊張感が増していく。
「成る程、僕に聞きたいのはその事か……弟である僕なら理由を知ってると思ったんだね?」
「あぁ……」
確かにその通りだ……こんなに思ってる事を当てられると、心がどきっとしてしまう……ん? なんだ? ラキュの眉がピクピク動いている、怒っている様に見える……気のせいだよな?
「良いよ、じゃぁ少しだけ話をしようか」
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