どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

356

わらわは、ラキュにシルクが見付かった事伝えに言った。
そして城に戻ってきた。

「ふぅん……何も喋らないんだ」
「そう、何も喋らんのじゃよ」

わらわの部屋で話し合う、勿論話題はシルクについてじゃ。
因みに、鬼騎とメェは別の部屋におる。
シルクとアヤネの様子が変じゃった事を伝えたら心配しておったよ。

「……」
「なんじゃ、難しい顔して」

椅子に深く腰掛け唸るラキュ、何やら考えておる様じゃな。
それが気になったのか、静かに立っていたヴァームが口を開く。

「話に割り込んで申し訳無いのですが……よろしいですか?」
「ん、なんじゃ?」

今、大事な話をしてると言うのに……話すなら手短に話すのじゃぞ。

「この状況で言うべき事では無いと思うのですが……ハロウィンはどうしたのです?」

ん、あぁ……その事か。
ほんとうに今、言う事ではないの。
じゃが、一応答えてやるか。

「その点に関しては問題ない。ラキュ達を連れてくる時に、祭りの中止を宣言しておいたのじゃ」

わざわざ中央広場によって宣言したんじゃぞ? 言わんと地上暮らしの等、ずぅっと地下ではいかいするじゃろうからなぁ……きちんと言っておいた。
今頃はちらほらと地下に戻ってる頃じゃろう。

はぁ……お陰で少し遠回りになってしもうたわ。

「そうですか、申し訳ありません……お話を中断してしまって」
「うむ、構わん。では……続けて話すぞ」

その話はおいといて、本題を話すとするか。

「シルクに何があったんじゃろうなぁ」
「それが分かれば苦労しないんだけどね」

うむ、まさにラキュの言う通りなんじゃよな。
なにせ何んにも言わんからなぁ、すっごく困るのじゃ。

「これだと、アヤネも何も言わなさそうじゃな」
「そうだね」

わらわを無視して走り去っていったアヤネ。
今は何処にいるのか知らんが、戻ってきて聞いたとしてもシルクと同様、黙りを決め込むじゃろうなぁ。
そんな気がするのじゃ……。

ギシッーー
わらわは椅子を揺らして上を向く。

「うぁぁぁ、気になって気になって仕方無い」
「だよね、僕もそうだよ」

はぁ……。
ため息をついたラキュは、コツコツとテーブルを叩き出す。

あぁあ、なぁんでこんなモヤモヤした気持ちにならねばならないんじゃ? わらわはシルクとイチャイチャしたかったと言うのに……全く出来ておらんじゃないか。

ハロウィンでも、いろぉんな計画があったと言うに実行できんかった。 
ぅぅぅぅ、ハロウィンでシルクとの距離をつめる計画は完全に失敗じゃな。

そう認識すると、なぁんかイライラしてくるのじゃ。
くっそぅ……やはりあの時のクータンの家での出来事が悔やまれるぅ。

あと、アヤネがシルクを連れ出しさえしなければ……って、過ぎた事を嘆いても仕方無いか。

と言うか、こうやってうだうだ考えるのはわらわはらしくないのぅ。
ここは1つ、わらわはらしく行こうではないか。

「えぇいっ! とりあえずあれじゃ! しつこくシルクに問い質してみるのじゃ!」
「くふふふ、思い悩んだ顔してると思ったら、いきなり強引な事を言ったね」

あいっかわらず憎まれ口を叩くのぅ。
そのニヤニヤした顔を止めんか、うっとおしい。

「でもさ、それでこそ姉上だよ」
「ふんっ、自分でもそう思っとるよ」

わざわざ口に出さんでもよいわ。
さて……そう決めたのなら即行動するかの。

パンっーー
テーブルを叩き立ち上がるわらわ。
すると、ヴァームが扉の前に移動し扉を開けてくれる。

「どうぞお気を付けて、何があったか聞けることを願います」
「うむ、任せておけ。持ち前のしつこさで色々きいてやるのじゃ!」

だてにシルクを困らせてはいない。
根負けを狙ってききまくってみるのじゃ、では……いくかの。

という訳で、わらわは部屋を出ていく。



スタスタスターー
と歩いては見たものの、シルクが何処にいるのか分からない。
じゃから例のごとく匂いで探してみる、うむ……こっちじゃな。

それを辿ると……ある部屋に辿り着いた。

取り合えずノックする。
コンッコンッコンッーー
……応答は無し。

「シルク、いるかの? いやいるんじゃろ?」

……返事も無し。
まさか、本当におらんのか? いやいやいや、匂いはここを示してる。
いないと言う事は無いじゃろう。

「アヤネと何かあったのかえ? 理由を話して貰えぬか?」

……ダメじゃな。
まぁったく返事が返ってこん。
うぅぅ、モヤモヤするのぅ。
じゃが、ここで諦める訳にもいかんから話し掛け続ける。

わらわのしつこさを舐めてはいかん。
しかし、シルクは出てくる事は無かった。

それは数日経っても同じ事じゃった。
更に、アヤネも帰ってこんかった……いつもなら疎ましく思う奴じゃが、何故帰ってこん? と心配になった。

ある日、わらわはシルクのいる部屋の前に行く。

鬼騎が作った料理が前に置かれてる。
中身は綺麗に空っぽ、いつの間にか食べたみたいじゃな。
ふむ……安心した、一応食べれる見たいじゃな。
それに、ヴァームに頼んで用意したメイド服も消えておる。
こんな服着れるか! と文句言って出てくるだろうと思ったが……そうはならんかった。
じゃが、無くなっている所を見ると、きとんと着てるらしい。

安堵するわらわだが、完全には安堵出来んかった。
部屋に閉じ籠るシルク……数日間、わらわはシルクと話が出来ておらん、心配だけが募っていく。
シルクよ……なんで何も話してくれんのじゃ?

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