どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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シルクを洗うと決めたわらわ、早々に風呂場にやってきた。
脱衣場につくやいなや、スポポォンッとシルクの服を脱がす。
わらわも脱いだ、しかし下着だけは残しておいた、今回は一緒に風呂に浸かろうとは思っておらんのでな。

「よぉしシルクよ。そこに座れ」
「……あぁ」

やけに素直に座るのぅ。
いつもなら裸にされた時点で叫ぶと言うのに……それに、わらわの下着姿を見てなんも言わぬ。
ここぞとばかりに決めてきた黒の下着と言うのに……少しは反応せんか!

「では頭から洗うぞ」
「自分で洗える」
「やかましい、シルクはじっとしておれ」
「……あぁ」

こくりとシルクが頷いた後、お湯をかぶせる。
バッシャァァァっーー
お湯がシルクの肌を伝う、さて髪も濡れたし早速洗うとするかの。

という訳で、髪用石鹸を駆使し髪を洗う。

ゴシゴシっグシグシッカリカリっーー

しっかり髪の根本まで洗うように髪を洗っていく。
アワアワしてきおった……お陰でシルクがアフロヘアー見たいになってきた。

「痒いところはないかえ?」
「……特にない」
「そうか」

素っ気なく答えた後、シルクはだまぁって洗髪を受け入れる。
……大分髪が傷んでおる、シルクの本来の髪に戻すために、頑張って洗い続けた。
シルクの髪は長いからのぅ……洗うのはちと骨がおれるのじゃ。

そう思いつつ洗って何分か経 った。

「よし、これくらいで良いじゃろう」

そう思い、またお湯を掛けた。

ダパァァッーー
流れ落ちる泡、するとシルクの髪は見違える様に綺麗になった。
うむうむ、この艶、美しい黒髪、これでこそシルクじゃ。

「よぉしっ、次は身体じゃな」

ペチンッーー
とシルクの背中を叩く、そしたら「痛い」とテンション低めに言ってきた。

「ほれ、スポンジじゃ。前は自分で洗うんじゃぞ」

本来なら前も洗いたい所じゃが、今は我慢! 私情にかまけてる場合ではないからな。
さっさと綺麗にしてしまおう。

「……あぁ」

シルクは、わらわから泡のついたスポンジを受け取り、ゆっくりと洗っていく。

うぉぉ……動きがノロノロじゃぁ。
じゃが、わらわは手早く行かしてもらうぞ!

ゴシゴシゴシ――
スポンジに泡を付けてシルクの背中を綺麗に洗っていく。
いつもより念入りに、気持ちを込めて強く洗ってやろう。

「……いたい」
「我慢せい」

ふむ、ここに連れて来る時もそうじゃったが反応が薄いのぅ。
だが、この状況には驚いてる様じゃ、しかし……いつもの元気は無い。

「背中をまるな、シャキッとせんか」
「……あぁ」

ペチッ――とシルクの背を叩くと、ゆっくりと姿勢を正す。
動きもノロノロ、やはり思い悩んでる事の方が大きすぎてリアクションが取れんようじゃな。

「ほれ、流すぞ。前の方しっかりと洗えたかえ?」
「……あぁ」

さっきから、それしか言わんな。
まぁ、返事してくれるだけマシじゃな。

……さて、身体は綺麗に洗えた、次は。

「風呂につかれ」
「……」
「聞こえなかったのかえ? はようせんか」

シルクを起き上がらせ、背中を押す。
この為にヴァームに頼んで沸かしてもらったんじゃ、入って貰わんと困る。

「風呂に入ってなかった分、しっかり入るのじゃぞ」
「……あぁ」

ちゃぷんっ……。
風呂に浸からせた後、わらわは出口の方へ歩いていく。
わらわにはやる事があるのでな、ここで一旦お別れじゃ。
……おっと、言わないといけない事があった。

「わらわは出ていくが、きっちり浸かるのじゃぞ? あっ……逆上せる前に出るのじゃぞ? 後、きちんと身体を拭け、その後は真っ直ぐ食堂に来ること、よいな?」
「……あぁ」

振り替えってそう言うと、ぼへぇ……としながら答えた。
ほっ本当に分かっているのかえ? しっ心配じゃから、やる事やってからまた此処に戻ってこよう。

そう思って、風呂場から出た。
そして、脱衣場で服を着てから廊下に出る。

「さぁて、さっぱりした後は飯じゃ! とびっきり旨い物を作るとするかのっ」

腕捲りし、ちと興奮気味に食堂へと向かう。
……シルクよ、きとんと元気になって貰うからな。

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