どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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「あっあの、アヤネちゃん…」

詳しく話を聞いた方が良い、そう思ったから聞いてみよう。そう思って切り出してみた。

「でっ出口を教える前にね、きっ聞きたい事が…あるの」
「…」

私が話してる最中、じぃぃっと凝視される。
えぇぇ、なっなんでそんなに見てくるの? みっ見ないでよ…恥ずかしいよ。
そんな恥ずかしさに耐えながら。

「なっなんで、いっ家に…かっかえり…たいの?」

なんとか聞いてみた。
そしたら、ぷいっと横を向いちゃった。
えっえぇ? なっなんで横向くのぉぉ、あっあたい変な事聞いちゃった? おっ怒っちゃったの?

「言いたくない」

いっ言いたくない…ですか。
やけに低いトーンで言ってきたよ。
こっこれ、本当に何かあったんじゃないのかな? たっ例えば誰かと喧嘩したとか……そんな感じの事が起きたのかも知れない。

「そっそう……ですか」

こう言うのって、本人が言うまで聞かない方が良いよね? よっよし、その話に触れないようにしよう。
ぎゅっと手を握って決めた、その時……アヤネちゃんが私の方を見た。

「出口教えて」

あ、そうでした。
それを聞きたいんだったね、でも……おっ教えて良いのかな? なんでか知らないけど、教えちゃダメな気がする。
もっと話を聞きたいんだけど…言いたくないって言われたし、どっどうしよう。

「え、えと…」
「早く教えて」

困ってると、ずずいっとアヤネちゃんが前のめりになって迫ってきた。
わわっ、びっビクッリした…そっそんなに迫ってこないでよ。

「早く」

わっわわわっ、更に寄ってきた。
あっ、テーブルに膝つけてる、やっやめて…そのテーブルお気に入りだから、きっ傷がつくと嫌だ。

「アヤネちゃん、ひっ膝、テーブルに、のっ乗せない…で」
「あ、ごめん」

あたいが注意すると、アヤネちゃんは膝を退けてくれた。
そして、ソファーに座る。

「…出口」

そして、あたいを見詰めながら呟いた。
どうしても聞きたいみたい、ここまで来ると、なんで帰りたいのか聞きたくなってきちゃった。

きっ聞こうかな? でっでも、言いたくないって言ったから言わないよね。
だから余計に聞きたくなっちゃう。

「どっどうしても、家に帰りたい理由……言いたくないの?」

だから聞いちゃった。
わっ悪いなぁって思ってるよ? でっでも、気になったんだもん。

「うん、絶対言わない」

でもダメだった。
つんっとした態度を取るアヤネちゃんは、また横を向いた。
……頑なに言わない、断固として言わないぞ! と言う意思を感じますね。
これで分かりました、確実に大きな理由がありますね? 直感だけどそう思いました。

だからあたいは、無意識にこんな事を口にしました。

「なっなにか…あったんですね」

そうすると、アヤネちゃんは驚いた様にあたいを見て目を見開く。
図星…だね、本当に何かあったんだ。

「あっあたいには、かっ関係無いかも…だけど、よっ良かったら…話してくれません…か?」

うぅぅっ、あたいは何言ってるんだろ。
本当に無関係だよ、そんな相手に言っても何の解決にもならないのに。
自己嫌悪しながらアヤネちゃんの返答を待つ、数秒間沈黙が続いて「あ、やっぱり喋らないのかな?」そう思った時、アヤネちゃんの目から突然、じわっと涙が溢れ零れ落ちました。
その涙は頬を伝い、床に零れ落ちました。

……え、え? え!? なっななっ泣いた!? 泣かせちゃった? わっわわっ、どっどうしよ、どうしようぅっ!! 慌てたあたいはどうにかしようと考えてると。

「うぁぁぁぁぁぁぁぁっ、うぐっ、うぅぅぅっ、ぁぁぁぁぁぁっ」

涙が零れ落ちたのを皮切りに泣き叫んじゃいました。
普段の物静かさとはかけ離れた声の大きさ、そして叫び……感情の全てを吐き出す様にボロボロと涙をこぼして泣き叫んでます。

あっあぁぁ……どっどうしよ、あっあたいの性だ、あたいが無理に話を聞かなきゃこんな事にはならなかったのに。

そんな風に更に自己嫌悪に陥るあたい、そうしてる間にもわんわん泣き叫ぶアヤネちゃん……止める者がいないからどうしようも出来ない、だっ誰か……たっ助けてくださぁぁいっ。

心の奥底で叫んだのですが、当然誰も来ません。
なので……暫くこの状態が続くのでした。

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