どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
348
シルクとアヤネが告白した後、別の場所ではこんな事が起きていた。
◇
「うぁぁぁ、脚が痺れるぅ、じんじんするぅぅ」
「姉上……そろそろ自力で歩いたら? 重いんどけど」
「馬鹿者! 重いわけなかろうっ」
ここは城下街地下、今姉上を背負って魔物が沢山歩いてる大通りを歩いてる所だよ。
あ、なんで背負ってるか説明すると……さっき、クータンの家から出て来たのを見付けたんだよ。
そしたら、生まれたての小鹿みたく歩いてるから心配して駆け寄ったら、にゅるんっと僕に巻き付いて背中に乗ってきたんだ。
どうやら正座のし過ぎで脚が痺れたから背負って欲しいみたいなんだ。
と、こんな理由があるんだ、迷惑な話だと思わない? 
「まったく。シルク君とは一緒に歩いてないし、正座で脚は痺れるし……ハロウィン開催した意味あるの?」
その事で一言文句言いに来た結果がこれだよ、バカらしくなるよね。
「やっやかましい!」
「あぁ、煩いなぁ……耳元で大きな声出さないでよ」
ぐぬぬぬぬ……。
って、悔しそうにする姉上、で……背中でぶつぶつ言ってる。
「あっアヤネが悪いんじゃ、あの時アヤネが邪魔しなければ今頃……」
あぁ、なるほど。
アヤネに邪魔されて一緒に居なかったわけか。
はぁ……ほんとなにやってんだか。
「しっかりしなよ、姉上」
「しっしかりしろじゃと! それが姉に対する口の聞き方か!」
「アヤネを言い訳にする姉上に言われたくないよ」
「ぐっ! ぐぬぬぬぬ……くぅぅぅ」
あ、落ち込んだ。
正論をいっちゃったみたいだね。
「じゃっじゃが! わらわは真っ当な言い訳があるのじゃ!」
「言い訳に真っ当とかないでしょ?」
なに胸はって言ってんのさ、むにって柔らかいのが当たってるから止めてよね。
「やかましいっ、魔王が有りと言えば有りじゃ!」
「横暴だね……」
「ふんっ、なんとでも言うがよい」
はぁ……失敗したから必死に言い訳したいんだね。
仕方ない、聞いてあげよう、聞くだけ聞いて「それが?」って言ってあげよう。
「で、その真っ当な言い訳ってなんなのさ」
「くふふ、よくぞ聞いた! その言い訳とは!」
「あ、無駄に溜めるのとか良いから。さっさと言ってくれるかな?」
「…………ちっ、ノリの悪い弟じゃな」
ノリが悪くて結構だよ、と言うか……僕、怒ってるんだからね? 怒鳴りたいの我慢してるんだからね? 分かってる?
「では、ノリの悪い弟の為にさっさと言ってやろう」
すっかり根に持ってる。
後ろで睨まれてるの、ハッキリと分かるよ。
「クータンの家で、ちょこっと暴れたら本人に説教くらったんじゃ……」
あ……。
それ、ちらっとシルク君とアヤネに聞いたね。
それが心配になって来たんだけど……しっかり説教されてたんだ。
「あの説教……恐ろしかったのじゃ。クータンは静かな魔物じゃ、しかしな? 独特な威圧感と言うか……その……あのカボチャの被り物に、じぃ……と見つめられたら恐くなって、黙って説教受けてしまったのじゃ。いやぁ……魔物は見掛けによらぬな、くはははははは」
「笑い事じゃないよね?」
「…………ぅぅ」
まったく、家の中で暴れれば誰だって怒る位当たり前なのに……。
「はぁ……」
「なっなんじゃ、ハッキリとため息つきおって!」
「ため息も付きたくなるよ。って、いた! ちょっ……叩かないでくれる? 手離すよ?」
「ふんっ、手を離した所で脚でガッチリ掴むから落ちぬ! 残念だったな弟よ!」
……なに威張ってんだか。
ほんっと、たまにバカになるんだから、僕の姉上は。
「それは良いけどさ。僕に背負われてる場合なの?」
「ん? いや……それは仕方ないじゃろ。わらわ、今脚が痺れて歩けんのじゃぞ?」
いや、そう言う事じゃないよ。
まさか、気付いてないの? 今の状況に……。
「あのね姉上」
「んあ?」
「今、シルク君はアヤネと一緒にいるよね?」
「まぁ……そうじゃな」
「さっき、シルク君とアヤネを見た時……様子とかどうだった?」
「ん、それは……っ!!」
あ、ようやく気付いたね。
「いっ今、シルクとアヤネは何処にいる!」
明らかに焦った感じで話してくる。
その声に周りの魔物たちは驚いてる、気にしないで歩いてて良いよ……。
「知らないよ?」
「しっ知らないじゃと!?」
……。
黙っちゃった、でも……震えてるね。
ん? あ……なんか「まずいまずいまずいまずいまずい……」って呟いてる。
ずぅぅっと「まずい」を連呼してる。
と、その時だ!
バッシィィンッ!
「っ! いったぁぁぁぁっ!! なっなにすんのさバカ!」
「走れラキュっ!」
「はぁ!? なにさいきなり!」
叩いておいて謝らないの? これ、流石に怒って良いよね? 
よしっ、怒鳴り散らしてやる! と思った時……。
「シルクをアヤネと一緒にしてはいかんのじゃ! だから走れ! わらわは今走れんっ、だから走るのじゃラキュ!」
「いや、姉上……」
「うるさいっ、文句は後で聞く!」
あぁ……これ、何言っても無駄みたいだね。
仕方ない、ようやく危ない事態に気付いたみたいだし、協力してあげようかな。
そう考えたと同時に、足に力を加え……思い切り地面を蹴った。
取り合えず走り回ろう、そうすれば見付けられるよね?
「うぉぉぅっ、ふっ振り落とされる……だっだが良いぞ! そのまま走れ! ペガサスの様に!」
……急に振り落としたくなったけど、我慢しよう。
と、ここで脳裏にある不安が過る。
……アヤネ、まさかシルクに告白とかしてないよね?
っ、急に焦ってきた……胸騒ぎが凄い、これは急いで2人を見付けた方が良いかもしれないね。
そんな不安を抱えながら、背中で「行け行け」煩い姉上の声に耐えながら猛スピードで走った。
◇
「うぁぁぁ、脚が痺れるぅ、じんじんするぅぅ」
「姉上……そろそろ自力で歩いたら? 重いんどけど」
「馬鹿者! 重いわけなかろうっ」
ここは城下街地下、今姉上を背負って魔物が沢山歩いてる大通りを歩いてる所だよ。
あ、なんで背負ってるか説明すると……さっき、クータンの家から出て来たのを見付けたんだよ。
そしたら、生まれたての小鹿みたく歩いてるから心配して駆け寄ったら、にゅるんっと僕に巻き付いて背中に乗ってきたんだ。
どうやら正座のし過ぎで脚が痺れたから背負って欲しいみたいなんだ。
と、こんな理由があるんだ、迷惑な話だと思わない? 
「まったく。シルク君とは一緒に歩いてないし、正座で脚は痺れるし……ハロウィン開催した意味あるの?」
その事で一言文句言いに来た結果がこれだよ、バカらしくなるよね。
「やっやかましい!」
「あぁ、煩いなぁ……耳元で大きな声出さないでよ」
ぐぬぬぬぬ……。
って、悔しそうにする姉上、で……背中でぶつぶつ言ってる。
「あっアヤネが悪いんじゃ、あの時アヤネが邪魔しなければ今頃……」
あぁ、なるほど。
アヤネに邪魔されて一緒に居なかったわけか。
はぁ……ほんとなにやってんだか。
「しっかりしなよ、姉上」
「しっしかりしろじゃと! それが姉に対する口の聞き方か!」
「アヤネを言い訳にする姉上に言われたくないよ」
「ぐっ! ぐぬぬぬぬ……くぅぅぅ」
あ、落ち込んだ。
正論をいっちゃったみたいだね。
「じゃっじゃが! わらわは真っ当な言い訳があるのじゃ!」
「言い訳に真っ当とかないでしょ?」
なに胸はって言ってんのさ、むにって柔らかいのが当たってるから止めてよね。
「やかましいっ、魔王が有りと言えば有りじゃ!」
「横暴だね……」
「ふんっ、なんとでも言うがよい」
はぁ……失敗したから必死に言い訳したいんだね。
仕方ない、聞いてあげよう、聞くだけ聞いて「それが?」って言ってあげよう。
「で、その真っ当な言い訳ってなんなのさ」
「くふふ、よくぞ聞いた! その言い訳とは!」
「あ、無駄に溜めるのとか良いから。さっさと言ってくれるかな?」
「…………ちっ、ノリの悪い弟じゃな」
ノリが悪くて結構だよ、と言うか……僕、怒ってるんだからね? 怒鳴りたいの我慢してるんだからね? 分かってる?
「では、ノリの悪い弟の為にさっさと言ってやろう」
すっかり根に持ってる。
後ろで睨まれてるの、ハッキリと分かるよ。
「クータンの家で、ちょこっと暴れたら本人に説教くらったんじゃ……」
あ……。
それ、ちらっとシルク君とアヤネに聞いたね。
それが心配になって来たんだけど……しっかり説教されてたんだ。
「あの説教……恐ろしかったのじゃ。クータンは静かな魔物じゃ、しかしな? 独特な威圧感と言うか……その……あのカボチャの被り物に、じぃ……と見つめられたら恐くなって、黙って説教受けてしまったのじゃ。いやぁ……魔物は見掛けによらぬな、くはははははは」
「笑い事じゃないよね?」
「…………ぅぅ」
まったく、家の中で暴れれば誰だって怒る位当たり前なのに……。
「はぁ……」
「なっなんじゃ、ハッキリとため息つきおって!」
「ため息も付きたくなるよ。って、いた! ちょっ……叩かないでくれる? 手離すよ?」
「ふんっ、手を離した所で脚でガッチリ掴むから落ちぬ! 残念だったな弟よ!」
……なに威張ってんだか。
ほんっと、たまにバカになるんだから、僕の姉上は。
「それは良いけどさ。僕に背負われてる場合なの?」
「ん? いや……それは仕方ないじゃろ。わらわ、今脚が痺れて歩けんのじゃぞ?」
いや、そう言う事じゃないよ。
まさか、気付いてないの? 今の状況に……。
「あのね姉上」
「んあ?」
「今、シルク君はアヤネと一緒にいるよね?」
「まぁ……そうじゃな」
「さっき、シルク君とアヤネを見た時……様子とかどうだった?」
「ん、それは……っ!!」
あ、ようやく気付いたね。
「いっ今、シルクとアヤネは何処にいる!」
明らかに焦った感じで話してくる。
その声に周りの魔物たちは驚いてる、気にしないで歩いてて良いよ……。
「知らないよ?」
「しっ知らないじゃと!?」
……。
黙っちゃった、でも……震えてるね。
ん? あ……なんか「まずいまずいまずいまずいまずい……」って呟いてる。
ずぅぅっと「まずい」を連呼してる。
と、その時だ!
バッシィィンッ!
「っ! いったぁぁぁぁっ!! なっなにすんのさバカ!」
「走れラキュっ!」
「はぁ!? なにさいきなり!」
叩いておいて謝らないの? これ、流石に怒って良いよね? 
よしっ、怒鳴り散らしてやる! と思った時……。
「シルクをアヤネと一緒にしてはいかんのじゃ! だから走れ! わらわは今走れんっ、だから走るのじゃラキュ!」
「いや、姉上……」
「うるさいっ、文句は後で聞く!」
あぁ……これ、何言っても無駄みたいだね。
仕方ない、ようやく危ない事態に気付いたみたいだし、協力してあげようかな。
そう考えたと同時に、足に力を加え……思い切り地面を蹴った。
取り合えず走り回ろう、そうすれば見付けられるよね?
「うぉぉぅっ、ふっ振り落とされる……だっだが良いぞ! そのまま走れ! ペガサスの様に!」
……急に振り落としたくなったけど、我慢しよう。
と、ここで脳裏にある不安が過る。
……アヤネ、まさかシルクに告白とかしてないよね?
っ、急に焦ってきた……胸騒ぎが凄い、これは急いで2人を見付けた方が良いかもしれないね。
そんな不安を抱えながら、背中で「行け行け」煩い姉上の声に耐えながら猛スピードで走った。
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