どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
325
「おぉ、部屋がハロウィン仕様になってる」
1歩部屋の中に入った瞬間、それに気付いた。
いつものアンティーク家具に満ちた空間には、外にあったジャックオーランタン (小型の)が置いてある。
ぽぅ……と、薄暗い部屋を灯す蝋燭もハロウィンらしいと言えばらしい……のか?
しかし、部屋の主であるクータンの姿が見えない、もしかしたら隠れてるのかも知れないな、こう言う賑わうイベントとか苦手そうだ。
と、それよりもだ。
部屋に入った瞬間、ふわっ……と優しい甘い香りが鼻の奥へと入ってくるんだ。
外でもその匂いはしたが中に入ると……凄いなぁ。
もう、あの中央のテーブルに置いてあるお菓子、飛び付いて食べたいくらいだ。
「失礼ですが、お先にたべますよ。今無性に糖分取りたいんです。ふひひっ、ふふふふ……」
ぜっさん壊れ中のヴァームは我慢せずに、よろよろ動きながらテーブルに近づいていく。
……ゾンビになりきってる俺が言うのもなんだが、ヴァームの方がよっぽどゾンビらしいよ。
よろよろと歩くヴァーム、すると何故か止まってしまった。
バタンッ!
「……え」
うっうそ、倒れた……だと。
「ヴぁっヴァーム!?」
「むぅちゃん!」
「あっあわわ、たっ大変ですわぁっ!」
「わぁ、倒れましたねぇ」
なんの脈拍もなく前のめりにパタリと倒れた。
皆驚いて声を上げた……シズハさん、一応心配してるんだよな? 声のあげ方かゆるすぎるぞ!
いっいや、そんな事は良いんだ!
びっビビった……急に倒れたんだからな。
あっあれか? もしかしなくてもこれ、疲労困憊で限界が来て倒れたんだよな。
「ヴぁっヴァーム、大丈夫かえ!」
駆け出すロアを筆頭に俺達もヴァームの所へ掛けていく。
「……ふふ、いけませんねぇ。たおれてしまいました」
ふふふ、と半笑いのまま語るヴァーム、うつ伏せのまま良く喋れるもんだ。
「しっかりせい! ヴァーム!」
「あぁ、ゆっゆらさ……ないで……」
「あ、すっすまぬ」
おっおぉ。
本当に限界らしいな、この体制のまま微動だにしないぞ。
「どうしよ」
ぽつりとアヤネが呟いたあと、皆は顔を見合わせながら困り果てる。
えと、取り合えず何処かに運んだ方が良いだろうな、ずっとここに置いておく訳にはいかないし。
「あ、私の事は、どうぞお気になさらずに、大丈夫ですから」
「いや、大丈夫に見えないぞ」
大丈夫ならその体制から動いてくれ。
と言うかその体制でスラスラ喋れてるのが恐い!
「ふふっふふふ、たかだか徹夜しただけなのに、こんなになってしまうなんて……」
「あまり喋んない方が良いですよぉ」
「師匠、ご心配無く……。後数秒で立ち上がります……ぐぅぅ」
あ、寝た。
立ち上がるとか言って寝た。
ぐかぁ……ってイビキかい寝始めた。
「ねっ寝たのぅ」
「うん、寝たね」
「寝ましたねぇ」
「寝ましたわね」
まぁ、徹夜を続ければこうなるだろうけど……急に寝たな。
ビックリしたぞ、一瞬意識を失ったのかと思った。
「えと、とっ取り合えず……あたし、ヴァームを城に運びますわ」
すると、ぷにょんっと手をうつラム。
そうだな、そうした方が良いだろう。
「あ、俺も手伝うよ」
「む、ならばわらわも同行しよう」
「私も手伝う」
「いえ、一人で大丈夫ですわ。皆様はお祭りを楽しんで下さいまし」
いや、それだと物凄く悪い。
ロアもそう思ったのか「いや、しかし」と声をあげた、そのときだ……。
「じゃぁ、年長さんの私が手伝いますよぉ」
突然シズハさんの一声、相変わらず緩い喋り方だが、目は真剣だ、本気で言ってるみたいだ。
「シズハさん……でしたわよね? いえ、大丈夫ですわよ?」
「でも、一人じゃ大変ですよぉ? それにぃ……」
ちらっと俺の方を見てくるシズハさん。
その視線に、ん? と小首を傾げる、そしたら何事もなかったかの様にラムの方を見て話を続けた。
え、何? 今の視線……。
「……分かりましたわ。ではお願いしますわ」
「はぁい、どどぉんと任せてくださぁい」
まっまぁ、良いか。
これでヴァームを運ぶのが2人になったからな……うん。
「では早速運びましょう、そっち持って下さいまし」
「はぁい」
「では行きますわよ、せーの……よっ」
ふたりがかりでヴァームを持ち上げる。
「では皆様、ちょっと行ってきますわ。あ……ロア様、あたしの事はお構い無く頑張って下さいまし!」
そしてラムとシズハさんはそのまま部屋を出ていってしまった。
「あやつ、わらわを……」
「どうした?」
「なんでもないのじゃ」
さて、残されたわけだが……どうしよう。
このままハロウィンを楽しんで良いものか悩む所だ……ちらりとアヤネを見てみると、うん……こっちもそわそわしてる。
俺とおんなじ事考えてるみたいだ。
と、こんな感じで悩んでいた時だ。
ロアが、がしっ! と腕に抱き付いてきた。
「シルク……ここはラムとシズハに感謝して楽しむのじゃ!」
「え、楽しむって……うぉっ!」
ぐいっと引っ張られた。
えっ……ちょっ、こっ転ける! 
「あ、待って」
それを見てアヤネは追い掛けてくる、こんな感じで慌ただしく俺達は目的だったお菓子も食べずに部屋を出ていった……。
1歩部屋の中に入った瞬間、それに気付いた。
いつものアンティーク家具に満ちた空間には、外にあったジャックオーランタン (小型の)が置いてある。
ぽぅ……と、薄暗い部屋を灯す蝋燭もハロウィンらしいと言えばらしい……のか?
しかし、部屋の主であるクータンの姿が見えない、もしかしたら隠れてるのかも知れないな、こう言う賑わうイベントとか苦手そうだ。
と、それよりもだ。
部屋に入った瞬間、ふわっ……と優しい甘い香りが鼻の奥へと入ってくるんだ。
外でもその匂いはしたが中に入ると……凄いなぁ。
もう、あの中央のテーブルに置いてあるお菓子、飛び付いて食べたいくらいだ。
「失礼ですが、お先にたべますよ。今無性に糖分取りたいんです。ふひひっ、ふふふふ……」
ぜっさん壊れ中のヴァームは我慢せずに、よろよろ動きながらテーブルに近づいていく。
……ゾンビになりきってる俺が言うのもなんだが、ヴァームの方がよっぽどゾンビらしいよ。
よろよろと歩くヴァーム、すると何故か止まってしまった。
バタンッ!
「……え」
うっうそ、倒れた……だと。
「ヴぁっヴァーム!?」
「むぅちゃん!」
「あっあわわ、たっ大変ですわぁっ!」
「わぁ、倒れましたねぇ」
なんの脈拍もなく前のめりにパタリと倒れた。
皆驚いて声を上げた……シズハさん、一応心配してるんだよな? 声のあげ方かゆるすぎるぞ!
いっいや、そんな事は良いんだ!
びっビビった……急に倒れたんだからな。
あっあれか? もしかしなくてもこれ、疲労困憊で限界が来て倒れたんだよな。
「ヴぁっヴァーム、大丈夫かえ!」
駆け出すロアを筆頭に俺達もヴァームの所へ掛けていく。
「……ふふ、いけませんねぇ。たおれてしまいました」
ふふふ、と半笑いのまま語るヴァーム、うつ伏せのまま良く喋れるもんだ。
「しっかりせい! ヴァーム!」
「あぁ、ゆっゆらさ……ないで……」
「あ、すっすまぬ」
おっおぉ。
本当に限界らしいな、この体制のまま微動だにしないぞ。
「どうしよ」
ぽつりとアヤネが呟いたあと、皆は顔を見合わせながら困り果てる。
えと、取り合えず何処かに運んだ方が良いだろうな、ずっとここに置いておく訳にはいかないし。
「あ、私の事は、どうぞお気になさらずに、大丈夫ですから」
「いや、大丈夫に見えないぞ」
大丈夫ならその体制から動いてくれ。
と言うかその体制でスラスラ喋れてるのが恐い!
「ふふっふふふ、たかだか徹夜しただけなのに、こんなになってしまうなんて……」
「あまり喋んない方が良いですよぉ」
「師匠、ご心配無く……。後数秒で立ち上がります……ぐぅぅ」
あ、寝た。
立ち上がるとか言って寝た。
ぐかぁ……ってイビキかい寝始めた。
「ねっ寝たのぅ」
「うん、寝たね」
「寝ましたねぇ」
「寝ましたわね」
まぁ、徹夜を続ければこうなるだろうけど……急に寝たな。
ビックリしたぞ、一瞬意識を失ったのかと思った。
「えと、とっ取り合えず……あたし、ヴァームを城に運びますわ」
すると、ぷにょんっと手をうつラム。
そうだな、そうした方が良いだろう。
「あ、俺も手伝うよ」
「む、ならばわらわも同行しよう」
「私も手伝う」
「いえ、一人で大丈夫ですわ。皆様はお祭りを楽しんで下さいまし」
いや、それだと物凄く悪い。
ロアもそう思ったのか「いや、しかし」と声をあげた、そのときだ……。
「じゃぁ、年長さんの私が手伝いますよぉ」
突然シズハさんの一声、相変わらず緩い喋り方だが、目は真剣だ、本気で言ってるみたいだ。
「シズハさん……でしたわよね? いえ、大丈夫ですわよ?」
「でも、一人じゃ大変ですよぉ? それにぃ……」
ちらっと俺の方を見てくるシズハさん。
その視線に、ん? と小首を傾げる、そしたら何事もなかったかの様にラムの方を見て話を続けた。
え、何? 今の視線……。
「……分かりましたわ。ではお願いしますわ」
「はぁい、どどぉんと任せてくださぁい」
まっまぁ、良いか。
これでヴァームを運ぶのが2人になったからな……うん。
「では早速運びましょう、そっち持って下さいまし」
「はぁい」
「では行きますわよ、せーの……よっ」
ふたりがかりでヴァームを持ち上げる。
「では皆様、ちょっと行ってきますわ。あ……ロア様、あたしの事はお構い無く頑張って下さいまし!」
そしてラムとシズハさんはそのまま部屋を出ていってしまった。
「あやつ、わらわを……」
「どうした?」
「なんでもないのじゃ」
さて、残されたわけだが……どうしよう。
このままハロウィンを楽しんで良いものか悩む所だ……ちらりとアヤネを見てみると、うん……こっちもそわそわしてる。
俺とおんなじ事考えてるみたいだ。
と、こんな感じで悩んでいた時だ。
ロアが、がしっ! と腕に抱き付いてきた。
「シルク……ここはラムとシズハに感謝して楽しむのじゃ!」
「え、楽しむって……うぉっ!」
ぐいっと引っ張られた。
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