どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

310

時刻は23時、皆さんがお風呂に入っている時間、部屋に混もっていたら、こんな時間になりました。

皆さんは恐らく寝てらっしるでしょう。 
ですが、私ことヴァームは寝ていません。
あ、そう言えばお風呂にも入ってませんね……ですが、今はそれよりも優先すべき事があるんですっ、お風呂なんて後ですよ後!

私は今まさにシズハさんから頂いた情報を元に衣装を作ってますからね。

ダダダダダダダッ…………!!
昔から愛用してるミシンを使う私は、じぃっと布を凝視します。
混めるのです、私の想いを……この布に! 見極めるのです、1㎜のズレも無いように!

そうすれば、衣装に魂が宿って着る人が幸せになります。

「くっ、いけません……少し眠いですね」

眠たさを自分の頭をバシバシ叩く事で耐えてミシンを操る、あぁ……見えます、出来た服を見て驚くシルク様とラキュ様の姿が。

「期待には……応えないといけません」

高まる気持ちを力に、 私は布を払います。
でも……あれですね、流石に少しだけ疲れて来ました。

まぁ私はドラゴンですから、この程度の疲れなんて有って無いような物なんですが……物作りと言うのは疲れが一番の大敵です。

疲れが動きを鈍くして、作品のクオリティを下げてしまいます、なので一旦休憩しましょうか。

「ふぅ」

一旦ミシンを止めて、椅子にもたれかかり大きく伸びをします。
くぅぅぅっ、あぁぁ……身体がほぐれました。

のびが終わったら、手をだらぁんとして、ぼぉっとします、これが私の脱力の仕方です。

「静かになりましたね」

まぁそう感じるのは当たり前ですね、さっきまでミシンを使ってましたしね。

「ふふ、まさか他種族の服を作るなんて思ってもみませんでした」

シズハさん、いえシズハ師匠の提案は目から鱗でした。
元々魔界にはハロウィンなんて物ありませんでしたからね……ハロウィンは仮装する物と言われても、どんな衣装にすれば良いか分からないんです。

そこにシズハ師匠の助言、本当に助かりました、あの人には感謝しないといけませんね。
そう思いながら、作りかけの服を手に持ってみました。

「少し露出が過ぎますかね……いえ、ここはこのままでいきたいですねぇ。でも……」

ぶつぶつぶつ……。
手で口を押さえながら服を凝視、まだ途中なんですが……少し気に入らない所がありますねぇ。

気が付いたら私は作業を再開してました。
また私の部屋に、ダダダダダダダ……ッ!! と言うミシンの音が響きます、休憩なんてしてる暇なかったですね。

「完璧な物にしたいですからね、妥協はしませんよ」

服作りは私の好きな事、コスプレさせるのは私の好きな事……好きな事は極めたいのです。
ですので頑張るんです、諦めるなんて事、私の辞書にはありません。

それに……ロア様には言ってませんが、今回のハロウィンには私個人が為し遂げたい事があるのです。
それは、この夏の日の屈辱……と言うのでしょうか?

あの日、あの時……私はシルク様とラキュ様にコスプレさせる事が出来ませんでした。
 
悔しかった、あの場で暴れて世界に終焉をもたらそうかと思ったくらい悔しかったです。
でも耐えましたよ、耐えてあげたしたよ……。

あの後、どれだけリヴァイに慰められた事か……今になっても思い出しますよ。
くっ、思い出すとムカムカしときましたねぇ。

「あの時の事があるから、私は尚更頑張らないといけません」

あの時、着せられなかった際どいビキニ2着の為にも……やらねばならないんです!

「ふふっふふふふ……最高傑作を作りますよ。私の持てる力を全て、全て注ぎましょう。私の想いも込めて……」

布を動かす、糸を補充する、確認する……それを何度か繰り返し、服は完成に近付いていく。

私の想いのこもった服が出来るんです、眠気がありますけど頑張るんですよ私! 最後まで気を抜いちゃいけませんっ。

今決めました……朝までには完成させましょう、この気持ちがあれば余裕で出来るでしょうね。

取り合えず、今決めた通り、服は朝までに完成させてシルク様とラキュ様の所へ出来た服を持っていきましょう。

そして服を剥いで出来た服を着させるんです。
きっと泣いて喜んでくれるでしょう、泣かない場合は……泣かせましょうか。

ふふっふふふふふふ、シルク様、ラキュ様……私はあの時の事、ものすごぉく根に持ってますからね。

ですのでシルク様、ラキュ様、目が覚めた時を楽しみにしておいて下さいね……。

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