どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

242

……ぴよっ、ぴよぴよっ。

小鳥の囀りが聞こえる。
ふかふかのベットに眠る俺は、窓を確認する。
少し朝日が指している、今は何時だ? ……なんだ5時か。

早く起きすぎてしまった。
身体をもどもど動かして、隣を見てみる。

ロアがいる……。
寝るときにいたからな、いるのは当たり前だ。
どうやらまだ寝ているな、気持ち良さそうに寝息をたててる。
まぁロアは朝が弱いからな、いつも通りの朝だ。

眠むた目を擦りながら、反対側も見てみる。
昨夜、アヤネがここに飛び込んで来たからな……当然、隣にはアヤネがいる。

はぁ……季節は変われど、朝の目覚めの状況は変わらないか、そう思いながら向いてみた。

……?

「いな……い?」

寝起きゆえに掠れた声で呟く。
言った通り、そこにアヤネはいなかった。
うぅ……可笑しいな、いつもならいるのに。

あぁ、ダメだ……眠たい、今日は寒いから余計に眠たさを感じる。
アヤネの事は気になるが、寝よう……そう思い、再び目を閉じた。

と、その時だ。
もどもどと何かが動いた、いや……その何かと言うのは、ロア以外にいないか。

ごろんっと寝返りをうってロアを見てみると……。

「んー……しりゅくぅ」

寝言を言いつつ、俺に抱き付いてきた。
どきっ……胸が高鳴った、毎度の事ながら、俺を抱き枕の様に抱き付いてくるロア。

あぁ……ほんと、変わらないなぁ。
俺はロアの顔を見てみる、俺の気も知らないでぐっすり眠りやがって。

ふぅ……ため息をついた俺は、無意識に目線を下に向けてしまう。
…………谷間が見えた、ロアの柔らかな2つの膨らみが谷を作ってる。

とても柔らかそうだ。
そんな思いが出た瞬間、ぺちっと自分の頭を叩く。

ダメだ、ダメだ。
朝からなんて事を考えてるんだ……ここはロアを引き剥がして冷静になりたい所だが、俺が非力ゆえに引き剥がせないのは重々承知している。

ならばする事はただ1つ、目を瞑る。
そして寝る、これに尽きるだろう……。

って、俺……随分慣れたな。
いつもなら、ぎゃぁぎゃぁ叫んでたのに……。
まぁ、慣れを感じたのは今に始まった事じゃないからな……気にしても仕方ないか。

と言うか、そう言う事を考える気力は今の俺には無い。
何故ならロアの性で自分を抑えるのに必死だからだ。
お陰で目が覚めてしまった。

そりゃ、寝起きに抱き着かれでもされたら目なんて直ぐに冴える。
だが、今は寝ないといけない。

何故かって? 自分を抑える目的なのもあるが、ロアが目を覚ました時、知らない振りをする為だ。

もしこの状態でロアが起きよう物なら「……ん? しりゅくぅ……いつのまにわらわに抱き付いたのじゃ?」とか言うに違いない。

抱き付いて来たのはお前だ! と言うのもありだろうが、俺が寝ていて、ロアが自分から抱き付いたのを自覚させた方が良い。

その方が突っ込まなくてすむからな、突っ込むのにも気力がいる。
ここでの生活で大切な事は、気力を保つこと、気力の節約はここでの生活には必須なんだ。

という訳で寝よう。
目を瞑って暗示を掛けよう。
眠くなぁる、眠くなぁる、眠くなぁる……。

うん、ダメだ。
こんなんで眠れる訳がない。
だったら羊を数える? いやいやいや、前みたいにメェが現れたら嫌だ。

あっ、そう言えば鬼騎はどうなったんだろう? ラキュに散々告白する様に言われてたが……したのか?

まぁ、それはないか。
言われて直ぐに告白出来るんなら、長い間告白せず仕舞いと言う事は有り得ないよな。

……って、ダメだ。
今は他の事を考えるより、眠る事を考えろ。
いやまて、寝なくても良い、目を閉じてれば良いんじゃないか?

それでロアが俺が寝ていると勘違いしてくれれば、俺的には助かる。
よし、そうしよう。

そう考えた俺は、目を瞑る。
……えと、あれだな。
目は瞑ったが、寝息は当たるし、ロアの温もりを感じるし、むっ胸がダイレクトに当たってるから……ちょっとした事で目を開けてしまいそうだな。

まぁ、そうならないように気を付けるか。

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