どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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「……って事が……その、あったんだ」
「ふーん……なるほどね」

鬼騎がジュージューッと何かを炒めてる音を聞こえる中、シルク君が姉上との事を話してくれた。

どうやら、シルク君が姉上に聞きたい事があったから呼んだみたいだね。

シルク君、中々やるね……大胆な1歩を踏み出したね。
どこどのヘタレ脳筋とは大違いだよ。

で、シルク君が話した内容の話に戻るけど、シルク君は「お前はナハトなのか?」って聞いたみたいだね。

くふふ、凄い事を聞くね……これを聞くって事は、昔姉上に会ってたって事に気付いたんだね?

でも、姉上は……「違う」と答えた。
それを聞き終わった僕は……。

「……ちっ」

舌打ちした。
姉上……なに嘘ついてるんだよ。
シルク君がそこまで気付いたんなら、もうそんな嘘つかなくて良いじゃん。

「え? なんで今舌打ちしたんだ?」
「別に? なんでもないよ」
「そっそうか」

……まったく、どんだけ自分に自信がないんだよ。
もっと、自信を持てば良いのに。

「なんだ、偉く不機嫌だな……お前らしくもない」
「煩い、黙ってフライパン振ってなよ」

フライパンを器用に振るう 鬼騎、真剣な目でフライパンの中で炒めてる物を見つめて話してきた。

不機嫌なの聞かなくても分かってるよね? 鬼騎だって姉上の事情は知ってる。
知ってる事を聞いてこないでよ、余計に不機嫌になるじゃないか。

……まぁ、鬼騎は遠回しに「不機嫌にならないで、落ち着け」って言ったんだと思うんだけどね。

それは分かってるんだけど、あいつに心配されるのはなんかムカつく……。

「ねぇ、脳筋」
「なんじゃシスコン」

ムカついたから、からかってやる。
あ、これは八つ当たりじゃないよ? 僕が楽しいからやってるんだからね。

「メェにはいつ告白するの」

ガタンっ!
僕がそう言った瞬間、鬼騎が身体を震わせてフライパンを強くコンロに打ち付けてしまう。
くふふふ、分かりやすく反応しちゃって……面白いなぁ。

「おま、ばっ……おま……」

くふふ、凄い動揺してる。
こんなの笑わずにはいられないね。

「おっおい、ラキュ!」

僕が笑ってると、少し慌てた顔でシルク君が止めに来た。
ん? なんだろ……様子が可笑しいね。
何かあったのかな?
……まぁ、今は気にしなくて良いかな。

「赤い顔を更に赤くしてないでさ……告白しなって、好きなんでしょ?」
「うぇ……!?」

くふふ、変な声でたね。
まぁ分かりやすく動揺しちゃって……ほんと、からかいがいがあるなぁ。

「このまま告白しないと、メェが可愛そうじゃない?」

向こうも鬼騎の事が好きだからね。
可愛そうなのは本当だ、さっさと告白してくっついてほしい。

じゃないと、見ていてもどかしいんだよ。

と、僕が喋っていると、コンロの火を止めて、「ふしゅぅぅ……」って息を吐く鬼騎、え? なに? 僕の方見てきたけど……もしかして怒ったかな? からかい過ぎちゃった? くふふ、だとしたらごめんね。

「おい」

ドスの聞いた声で話しかけてくる。
あぁ、怒ってるね……一旦からかうのは止めて話を聞こうかな。

と言うか、今のシルク君、完全に空気だよね……ごめんね放置して。

「貴様、俺が告白する勇気が無いと思って、そんな事いっとんのか?」
「……違うの?」

告白する勇気があるなら、さっさと言ってる筈だよね。
急に冷静になったと思ったら何を言ってるんだろう。

「俺を舐めんなよ? 勇気100%になりゃ、告白出来るんじゃ!」

バンッ!
力強く、カウンターを叩きながら言い放って来た所悪いけど……。

「と言う事は、今は告白する勇気がないんだね?」
「んなっ! ちっちがう!」
「じゃぁ、今告白してきてよ」
「うぇ……そっそいつぁ……その……」

やっぱりか、告白する勇気なんて鬼騎には無かったんだね。
僕の思った通りだよ。

「なっなぁ、ラキュ……」
「ん? どうしたの、シルク君」

呆れてため息をついていたら、僕の肩をポンポン叩きながら話し掛けてきた。

なんか、ぎこちない顔してるけど……何かあった? さっきからずっとそんな顔してない?

「もっもう良いんじゃないか? メェの気持ちの問題もあると思うし……そんなに急かさなくても……良いんじゃないか?」

はぁ……。
甘いねシルク君、どうやら君は事の大きさを分かって無いらしいね。

「あのね? このヘタレはメェの事を好きのまま何年も告白せずじまいなんだよ? 幾ら何でも遅すぎだと思わない?」
「いや、そっそうだが……」

分かってくれるなら、何も言わないで欲しいなぁ。

……ん? なんか俯いてぶつぶつ言ってるね。

「何か言った?」
「いや、何も言ってない……」
「そう」

……変なの。
今日のシルク君は何か可笑しい気がする。

「らっラキュ! おっ俺は……そっその、お前に言われんでも、やっやってやるからなぁ!」
「そか……だったら早くするんだね」

大胆宣言してくれて、とっても面白いけど、同時に心配でもあるね。
大丈夫かな?

「……アヤネの方も急かしてるとは限らないかも……だっ大丈夫だよな? うっうん、大丈夫な筈だ」
「……シルク君、なに言ってるの?」
「っ! なっなんでもないぞ!」

???
変な事言ったから突っ込んでみたけど、慌てて否定したね。
首を傾げた僕は「変なの……」と思いながら両肘をついた。

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