どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

224

「めぎゃぁぁぁっ、こんなの着れないですよぉぉっ」

ドッタンバッタンと騒がしく走って逃げるメェ。
え? なんで逃げてるかですか? そうせだるを得ない状況になってるからですよ!

「あらあら、ダメですよ? ここは狭いんです。転けて私の服に傷でも付けたら今日の夕飯は羊鍋になりますよ?」
「ひぃぃぃっ! 恐ろしいですぅぅっ」

にこにこしながら言ってるですからヴァームの言ってる事は冗談じゃないです。
本気で言ってるです! 転んだりしちゃダメです! それで衣装ダンスに当たって倒れて、服に傷でも付けたらメェに明日はねぇです!

でも捕まらない様に逃げないといけないです。
もし捕まったら……今ヴァームが手にしてる、極端に布地が少ない服を着る羽目になるです。

それは絶対にさけるですよ!

て言うか……この白衣、ぶかぶか過ぎて走り難いです! うぅっ、こんな事なら他の服を買っとくだったです。

服なんて白衣と下に着る服があれば良いですぅ、なんて思った頃のメェに説教したい気分です。

「メェちゃん、逃げちゃダメ」
「わわっ、あっアヤネ!」

くっ、アヤネが飛び出て来たです! 
まっ前にはアヤネ、後ろにはヴァーム……くっ、挟まれたです!

メェは、目を瞑ってバッ! と振り返りヴァームを見る。

「ヴぁっヴァーム!」
「はい? なんでしょう」

こうなったら思い付く限りの言葉で止める様に説得するです。
なぁに、メェの話術に掛かればチョロいですよ。

「こんな事して良いんです? 犯人探しはどうなったですか? メェ達にそれを話した筈ですよ?」

にひひ、どうです? この完璧に的を得た話題は……ヴァームはこれを聞いて正気に戻る筈です。

と、思ってにやにやしてると、ヴァームは目を見開いた後、微笑みながらこう言ってきたです。

「あぁ、その事でしたらアヤネさんに諭されて一旦止めにしました」
「…………へ?」

やっ止めにした? あれだけ怖い顔して犯人探しを命令させたのに……一旦止める? なっなんでそうなったです?

「あらあら、私が何故こんな事を言ったか分からない顔をしてますね」

いや、そりゃまぁそうです。
だって、あれだけ言ってたですからね……十中八九、アヤネがなんか言ったからだと思うですが……何を言われたですか?

「ふふふ、では説明しましょう」

びしっ。
人差し指を立てるヴァーム、そして説明を始めたです。

「あの時、アヤネさんに言われたんです。犯人探しより、大切な事が出来たからそれをすべだと」

……なっなるほど、あの時、耳打ちしてた会話はそれですか。

そんな事言ったんですね……だからヴァームは、むっとしたんですね。

「私は頭に来たんです。ですから一発殴ってやろうかと思った時です。アヤネさんが言ったんです」
「……なっなんて言ったんです?」

物騒な事を口走ってるのをスルーして恐る恐る聞いてみる。
と言うかこれ、メェの作戦詰んでないです? 全く、犯人探しの事なんて今は考えてないですよね?

……きっきっと大丈夫です! 今に犯人探しの方が大事だってなって追い掛け回すのを止めてくれるですよっ……たぶん!
ビクビクしながら色々考えてたらヴァームが続けて言ってきたです。

「犯人探しより大切な事はメェと鬼騎をくっつけさせる事、それをすれば皆はそれを見て幸せになる……と言ったんです」
「うっうん、それで?」

みっ皆が幸せ……と言うのは良く分からないですが続きを聞くです。

「私は、なるほどっと思いました。それは当然です。2人が付き合うと、弄ったりからかっ……ごほんっ! 祝福出来るからです」
「え、今本音が出てたですよね? からかうつもりですか!?」

にやにやするヴァーム、メェに「まぁまぁ、まだ続きがあるんです。聞いてください」と言ってメェを悟してきたです。

なんか、読めてきたですよ? なぜヴァームがアヤネに協力したのか……。

「えと、それとですね……何より告白の手伝いと言うのが面白くて仕方ありません。特に大切な場面で恥じらうお方の告白の手伝いだと尚更です!」
「それ、ただのお節介です!」

ふぅぅっ、と威嚇しながらいってやったですが、ヴァームは……。

「あら、心外ですね……お二人が向き合えば良いのになぁとはちゃんと思ってますよ?」
「それ建前なのはメェは分かってるですよ」
「ふふふふ、メェは察しが良いですね」

くっ……満面の笑みで言い切りやがったです。
この偽乳ドラゴン、全く悪びれる様子なんてねぇです!

「でですね……私はアヤネさんに協力する事にしたんです。ですよね、アヤネさん」
「ん、その通り……」

アヤネの声がメェの真後ろで聞こえたです。
その瞬間、メェはアヤネに羽交い締めされたです。

「えと……ヴァーム? ほっ本当に犯人探しは後回しで良いですか?」
「私とアヤネ、そしてメェさんが探さなくても他の人が探してくれてます……何の問題もありませんよ?」

羽交い締めされてバタバタするメェにゆっくり近付くヴァーム……。
やけに布地が少ない服を見せ付けながら確実にこっちに来るです。
あっあぁぁっ、こうなったら喋りまくって抵抗するですよ!

「いっいや、もっ問題はあるですよ! 余計なお節介で告白の手伝いをすんなです!」

にひひ、どうだ、ハッキリ言ってやったです。
こう言えばヴァームもアヤネもお節介は要らないなと思ってくるです。

「あら……そうですか? ではその告白はいつするんです?」
「……え?」

あっ、えと……そっその返しは予想して無かったです。
どっどうしよう、どう答えたら良いです?
答え方によっては問答無用で強制服脱がしが決行されるです……良く考えて答えるです。

という訳で、暫く黙ってよーく考えたです、そのメェの答えは……。

「いっいつかするですよ! メェはやる女ですからねっ、にひひひひ」

これです! どうです? これならヴァームとアヤネは納得。

「はい、それは絶対無いですね」
「メェちゃん、それは無い」

すると思ったのに、何故かキッパリと言われたです。

ひっ酷く無いです? 同じに酷い事言ってきたですよ?

「ではメェ……」
「めぇ?」

突然呼ばれてきょとんとするメェ、ヴァームは笑顔のままです。

「取り合えず、服脱がしますね」


これを聞いた約3秒後、メェは大きな悲鳴をあげたです。
メェがどうなったかは……ご想像に任せるですよ。

「どうやら魔王は俺と結婚したいらしい」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く