どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
22
「ぐっ…身体がべとべとする」
「此処は湿地ですから…仕様がないですの、あたしも身体が汚れて嫌になりますわ」
「いや身体がべとべとって……お前は元から……いや何でもない」
夜……枯れ木が生えるじめじめとした場所、湿地に俺とラムがいた、何故急にこんな所に来たのか? それは少し時間を遡る。
「おっおい! いいっ! かげんっにっ! はなっ! れっろぉぉ!」
途切れ途切れに話す俺、それを無視するラムは城下町を出てずりずりと平原を歩いていた、俺はと言うと大きくなったラムの中にすっぽりと入っている、顔を出してるから息は出来る。
ぐっ……全身くすぐられてる感じがして変な感じがする。
「シルクさん、離れたら逃げるのでしょう?」
「…にっ逃げないから離れろ」
「今、目線を反らしましたね? 絶対に逃げきですわ! よって答えはのーですの!」
「あんまりだろ!」
何時も通り俺に拒否権等無かった……悲しいがこうなったら成すがままに連れていかれるしかないのだ、と言うかこいつは何処に俺を連れてく気だ? そう思った時だ、急にラムがまん丸く膨らみ始めた……物語で良く見るスライムの大きい版っと言った所か……色々と姿が変えられるんだな……とか呑気に思ってる場合じゃないな。
「……何をする気だ?」
俺はラムに問う、するとシンプルにこう答えて来た。
「跳びます」
「は? いっいや……意味が分からないんだが?」
「ですから目的地まで跳びますの」
目的地まで跳ぶだと? こいつは一体何を言っている……って! なっなんだこの身体の震えはっ! こっこれは俺が震えてるんじゃない……ラムが震えてるんだ! まん丸くなったラムが身体を震えさせる、心なしか俺の身体にまとわりつく液体がよりピッタリとくっついて来た気がする、もしかして……凝縮してるのか?
「スライム属に伝わる移動手段っ、液体凝縮じゃんぴんぐぅっですの!」
「よし、名前で大体想像がついた! 今すぐやめろ! いや、止めてください!」
「うふふ…もうっどうにもっ止められませんわっ!」
身体が締め付けられる、と言っても痛くは無いんだが……と言うかさっきからもがいてるが離れる気配がしない、早く離れないと恐ろしい事が起きると言うのに……。
「ぐぬぬ……くそっ! 離れられない!」
俺がジタバタしている間に『その時』はやって来た。
「あっ……あっ……あぁぁっ!」
「らっラム? 何だその色っぽい声は……まっまさか!」
「とっとんじゃいますわ……」
「ごっ誤解を招く言葉は止めろ! それ冗談だよな? そうだと言ってくれ!」
恐怖を体現する時はもう目の前、逃れる術は勿論無い俺は突如これまでの思い出が脳裏に過った、楽しかった思い出や辛かった思い出全てを……。
「あっあたし……」
「くっ苦しいなら止めろ! 今すぐ城にかえ……」
「とんじゃいますのぉぉぉぉ!」
「ろぉぉぉぉぉぉっ!?」
びゅばぁぁぁぁぁっーー
と言う音共に勢い良く水がラムの身体から噴射される、向きは下向き……俺とラムはジェット噴射よろしく上へと打ち上げられた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
情けなく恐怖の絶叫を上げる俺。
「あぁぁんっ、身体がじんじん痺れますのぉぉ!」
艶っぽく叫ぶドM……茜色の空に水柱が空高く出来上がり、水飛沫は茜色とマッチし、幻想的な風景を描いていた、あぁ、なんて美しいんだろう……。
「あっああっあぁぁぁぁぁ!!」
心の中では余裕そうに見えるだろ? だが腹の底から恐怖を声に出している、簡単に言えば超怖いんだ。
物凄いスピードで空高く打ち上げられた俺、まだスピードが衰える事なく跳んでいる、と言うかこれ……跳ぶレベルを越えてるだろ!!
「さぁっ、次はこっちですのっ!」
びゅるんっーー
ラムはそんな音を立てて元の人間の姿になる、何時ものドレス姿だ……俺を腕に乗せる、いわゆるお姫様抱っこだ。
そしたらなんか、むにょむにょーーとした感触がした、それが何なのか? 今の俺はそんな事を考えている余裕は無い! と言うかさっき「次はこっちですのっ」って言ったよな? ……っ! まさか!
「そぉれっもう一発ですのぉ」
ばしゅんっーー
再びラムが水を噴射した、その勢いで、俺の身体ががくんっと揺れる。
「…………」
この時俺は気を失っていたらこんな体験をすれば普通の人間は絶対にこうなる、で……気付いたら湿地にいた、眼が覚めたらラムが俺を膝?枕で寝かせてくれてたと言う訳だ。
眼が覚めたら身体がべとべとで心はくたくた、こう言う事は2度と体験したく無いと思ったが……きっと帰りも同じ事をするんだろうな……。
と言う訳で今に至る……。
「で? 何を探してるんだ?」
雲に覆われた湿地の夜、暗くて何も見えないので、ラムが背負っていたリュックサックの中から『勝手に火が出るカンテラ君』と言う魔界でポピュラーであるカンテラを取りだし、それを灯りにしている。
ネーミングはもう少し何とかならなかったのか? と思いつつカンテラに火を付けるとビックリした、通常のカンテラのり3倍明るかったからだ……これは凄いな、一家に1台欲しい物だな。
「先ずは洞窟ですの! そこにある魔界の鉱石を入手しますわ!」
ビックリしているとラムが行き先を説明してくれる、成る程……洞窟に行って魔界の鉱石を探すんだな……ん? ちょっと待てそれはおかしくないか?
「おい、此処は人間界だろ? 魔界の鉱石なんて無いだろ」
前に山に行った時はヘッグが魔界の木を植えたから魔界の木が生えた、だが魔界の鉱石なんて多人がどうこう出来る物じゃ無いだろ……疑問を浮かべていると何故かラムが胸を張る。
「それは、あたし達が人間界に来た影響で様々な地に魔力が流れてしまいましたの、その影響がこの湿地にも来ていますの」
「なっ成る程……それで?」
「その魔力が人間界の石や木に染み渡って魔界の鉱石や魔界の木が出来るのですわ!」
うーん、良く分かった様な分からない様な……。
「まぁ大体分かったが……何で誇らしげなんだ?」
「うふふ……ただのノリですわ」
「そっそうか……」
まぁ良く分からんノリだが……今はその洞窟とやらを探そうか。
「ではシルクさんっ、行きますわよ!」
ラムが俺の前を進む、あいつは液体だから、すぅーっと進んでいく。
「おっおい、待てよ!」
雨で濡れた泥々の地を早足で進みラムを追い掛ける、こんな所に迷ったら間違いなく風邪をひいてしまうな、不本意だがラムから離れない様にしよう……ん? なんか変なのがある、一旦立ち止まって"それ"を見てみる。
「なんだこの茸?」
紫と黒色の縞模様の茸、明らかに猛毒持ってます! と言う様な茸だな、俺はしゃがんでそのキノコを触ろうと思ったが止めておく。
「触らない方が良いよな……」
茸には触るだけで害のある毒茸があると聞いた事がある、これもそうかも知れない……触らぬ茸に祟り無しって奴だ、だから俺は先に進もうと1歩足を進めたその時だ……。
ぼふんっーー
「なっ……っ! ぶはっ! げほっげほっ!」
急にキノコから煙が吹き出た! こっこれは胞子か? なんだか知らないが思いっきり吸い込んでむせてしまった、うぇ……変な臭いがする。
「シルクさぁん、何してますの?」
そんな事をしているとラムが呼んできた、気付けばラムは遠くに行っている。
「なっ何でもない! 少し待ってくれ!」
俺は気にも止めずにラムを追い掛ける、謎の茸の胞子を吸い込んだが大丈夫だよな? 俺の脳裏にそんな事が思い浮かんだが、きっと大丈夫だろう……そう決め付けラムの後ろを付いて行く、さぁこんな所さっさと用事を済ませて帰るか。
帰ったらぐっすり寝たいないや、その前に食事と風呂だな…何も食べてないから腹が減った、それに雨で体温が下がっているから風呂で暖めなくちゃな……。
「って、大分この状況に毒されつつあるよな、俺って……」
周りの奴等が強すぎて逃げると言うのを諦めてる俺、それにヴァームや鬼騎、ラムに言われたあの言葉、今逃げるのはいけない……そう感じてしまっている、帰ったらそこら辺の事を考えるとしよう、そう思いながら俺は足を進めるのであった。
「此処は湿地ですから…仕様がないですの、あたしも身体が汚れて嫌になりますわ」
「いや身体がべとべとって……お前は元から……いや何でもない」
夜……枯れ木が生えるじめじめとした場所、湿地に俺とラムがいた、何故急にこんな所に来たのか? それは少し時間を遡る。
「おっおい! いいっ! かげんっにっ! はなっ! れっろぉぉ!」
途切れ途切れに話す俺、それを無視するラムは城下町を出てずりずりと平原を歩いていた、俺はと言うと大きくなったラムの中にすっぽりと入っている、顔を出してるから息は出来る。
ぐっ……全身くすぐられてる感じがして変な感じがする。
「シルクさん、離れたら逃げるのでしょう?」
「…にっ逃げないから離れろ」
「今、目線を反らしましたね? 絶対に逃げきですわ! よって答えはのーですの!」
「あんまりだろ!」
何時も通り俺に拒否権等無かった……悲しいがこうなったら成すがままに連れていかれるしかないのだ、と言うかこいつは何処に俺を連れてく気だ? そう思った時だ、急にラムがまん丸く膨らみ始めた……物語で良く見るスライムの大きい版っと言った所か……色々と姿が変えられるんだな……とか呑気に思ってる場合じゃないな。
「……何をする気だ?」
俺はラムに問う、するとシンプルにこう答えて来た。
「跳びます」
「は? いっいや……意味が分からないんだが?」
「ですから目的地まで跳びますの」
目的地まで跳ぶだと? こいつは一体何を言っている……って! なっなんだこの身体の震えはっ! こっこれは俺が震えてるんじゃない……ラムが震えてるんだ! まん丸くなったラムが身体を震えさせる、心なしか俺の身体にまとわりつく液体がよりピッタリとくっついて来た気がする、もしかして……凝縮してるのか?
「スライム属に伝わる移動手段っ、液体凝縮じゃんぴんぐぅっですの!」
「よし、名前で大体想像がついた! 今すぐやめろ! いや、止めてください!」
「うふふ…もうっどうにもっ止められませんわっ!」
身体が締め付けられる、と言っても痛くは無いんだが……と言うかさっきからもがいてるが離れる気配がしない、早く離れないと恐ろしい事が起きると言うのに……。
「ぐぬぬ……くそっ! 離れられない!」
俺がジタバタしている間に『その時』はやって来た。
「あっ……あっ……あぁぁっ!」
「らっラム? 何だその色っぽい声は……まっまさか!」
「とっとんじゃいますわ……」
「ごっ誤解を招く言葉は止めろ! それ冗談だよな? そうだと言ってくれ!」
恐怖を体現する時はもう目の前、逃れる術は勿論無い俺は突如これまでの思い出が脳裏に過った、楽しかった思い出や辛かった思い出全てを……。
「あっあたし……」
「くっ苦しいなら止めろ! 今すぐ城にかえ……」
「とんじゃいますのぉぉぉぉ!」
「ろぉぉぉぉぉぉっ!?」
びゅばぁぁぁぁぁっーー
と言う音共に勢い良く水がラムの身体から噴射される、向きは下向き……俺とラムはジェット噴射よろしく上へと打ち上げられた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
情けなく恐怖の絶叫を上げる俺。
「あぁぁんっ、身体がじんじん痺れますのぉぉ!」
艶っぽく叫ぶドM……茜色の空に水柱が空高く出来上がり、水飛沫は茜色とマッチし、幻想的な風景を描いていた、あぁ、なんて美しいんだろう……。
「あっああっあぁぁぁぁぁ!!」
心の中では余裕そうに見えるだろ? だが腹の底から恐怖を声に出している、簡単に言えば超怖いんだ。
物凄いスピードで空高く打ち上げられた俺、まだスピードが衰える事なく跳んでいる、と言うかこれ……跳ぶレベルを越えてるだろ!!
「さぁっ、次はこっちですのっ!」
びゅるんっーー
ラムはそんな音を立てて元の人間の姿になる、何時ものドレス姿だ……俺を腕に乗せる、いわゆるお姫様抱っこだ。
そしたらなんか、むにょむにょーーとした感触がした、それが何なのか? 今の俺はそんな事を考えている余裕は無い! と言うかさっき「次はこっちですのっ」って言ったよな? ……っ! まさか!
「そぉれっもう一発ですのぉ」
ばしゅんっーー
再びラムが水を噴射した、その勢いで、俺の身体ががくんっと揺れる。
「…………」
この時俺は気を失っていたらこんな体験をすれば普通の人間は絶対にこうなる、で……気付いたら湿地にいた、眼が覚めたらラムが俺を膝?枕で寝かせてくれてたと言う訳だ。
眼が覚めたら身体がべとべとで心はくたくた、こう言う事は2度と体験したく無いと思ったが……きっと帰りも同じ事をするんだろうな……。
と言う訳で今に至る……。
「で? 何を探してるんだ?」
雲に覆われた湿地の夜、暗くて何も見えないので、ラムが背負っていたリュックサックの中から『勝手に火が出るカンテラ君』と言う魔界でポピュラーであるカンテラを取りだし、それを灯りにしている。
ネーミングはもう少し何とかならなかったのか? と思いつつカンテラに火を付けるとビックリした、通常のカンテラのり3倍明るかったからだ……これは凄いな、一家に1台欲しい物だな。
「先ずは洞窟ですの! そこにある魔界の鉱石を入手しますわ!」
ビックリしているとラムが行き先を説明してくれる、成る程……洞窟に行って魔界の鉱石を探すんだな……ん? ちょっと待てそれはおかしくないか?
「おい、此処は人間界だろ? 魔界の鉱石なんて無いだろ」
前に山に行った時はヘッグが魔界の木を植えたから魔界の木が生えた、だが魔界の鉱石なんて多人がどうこう出来る物じゃ無いだろ……疑問を浮かべていると何故かラムが胸を張る。
「それは、あたし達が人間界に来た影響で様々な地に魔力が流れてしまいましたの、その影響がこの湿地にも来ていますの」
「なっ成る程……それで?」
「その魔力が人間界の石や木に染み渡って魔界の鉱石や魔界の木が出来るのですわ!」
うーん、良く分かった様な分からない様な……。
「まぁ大体分かったが……何で誇らしげなんだ?」
「うふふ……ただのノリですわ」
「そっそうか……」
まぁ良く分からんノリだが……今はその洞窟とやらを探そうか。
「ではシルクさんっ、行きますわよ!」
ラムが俺の前を進む、あいつは液体だから、すぅーっと進んでいく。
「おっおい、待てよ!」
雨で濡れた泥々の地を早足で進みラムを追い掛ける、こんな所に迷ったら間違いなく風邪をひいてしまうな、不本意だがラムから離れない様にしよう……ん? なんか変なのがある、一旦立ち止まって"それ"を見てみる。
「なんだこの茸?」
紫と黒色の縞模様の茸、明らかに猛毒持ってます! と言う様な茸だな、俺はしゃがんでそのキノコを触ろうと思ったが止めておく。
「触らない方が良いよな……」
茸には触るだけで害のある毒茸があると聞いた事がある、これもそうかも知れない……触らぬ茸に祟り無しって奴だ、だから俺は先に進もうと1歩足を進めたその時だ……。
ぼふんっーー
「なっ……っ! ぶはっ! げほっげほっ!」
急にキノコから煙が吹き出た! こっこれは胞子か? なんだか知らないが思いっきり吸い込んでむせてしまった、うぇ……変な臭いがする。
「シルクさぁん、何してますの?」
そんな事をしているとラムが呼んできた、気付けばラムは遠くに行っている。
「なっ何でもない! 少し待ってくれ!」
俺は気にも止めずにラムを追い掛ける、謎の茸の胞子を吸い込んだが大丈夫だよな? 俺の脳裏にそんな事が思い浮かんだが、きっと大丈夫だろう……そう決め付けラムの後ろを付いて行く、さぁこんな所さっさと用事を済ませて帰るか。
帰ったらぐっすり寝たいないや、その前に食事と風呂だな…何も食べてないから腹が減った、それに雨で体温が下がっているから風呂で暖めなくちゃな……。
「って、大分この状況に毒されつつあるよな、俺って……」
周りの奴等が強すぎて逃げると言うのを諦めてる俺、それにヴァームや鬼騎、ラムに言われたあの言葉、今逃げるのはいけない……そう感じてしまっている、帰ったらそこら辺の事を考えるとしよう、そう思いながら俺は足を進めるのであった。
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