どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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「……で? 今日の昼飯はラキュが作る事になったのじゃな」
「あぁ、なんか今更だが……止めてやれば良かったと後悔してるよ」

さて、メェの出来事はある事が起きて終了となった。
それから暫くしたらロアとアヤネがやってきた。
そして、今の状況を見て驚き、渋い顔をする。

「そうか、まぁ止めるべきだったの、しかしこれは……何とも言えんのぅ」

現在、ロアは立っていて、ある人物を見下ろしてる。
その横にアヤネもいるんだが、彼女はしゃがみんで突っつきながら「大丈夫?」と言って、その人物を心配してる。

しっかし、ロアの言った様に、俺もそいつに対して、何とも言えない感じだ。

と、そろそろ何が起こったか言っておこうか。
と言っても、これをどう言えば良いのか分からない。

と言うのも、こんな事が起きて俺は今でも戸惑ってるからだ。
流石のラキュもからかうのを止めて「嘘でしょ?」って声を出した後、唖然としてた。

メェなんか「めっめぎゃぁぁぁっ、きぃ君がぁぁぁっ」と叫び声を上げて慌てる、今はこの場でその鬼騎を看病してる。

メェが床に正座して、鬼騎を膝枕して色々してる。
今この瞬間に目覚めたら、きっと大絶叫するだろう。

……いけない、話がそれてしまった。
えとな、つまり、その……簡単に話すとだな。

メェが鬼騎の背中に飛び付いて、メェが匂い嗅いだり、筋肉を撫で回したりしてたら、突然鬼騎が「あぁぁぁあっ!!」と声を上げ、前のめりになって倒れた。
ぷつんっと糸が切れた様にパッタリとだ……。

で、今に至る。
何が原因なのかは分かってる、だがこれは予想外だ、誰がこんな事を信じられようか、と言うか、こんな事ってあるもんだな、ビックリした。

「あぁ……その、あれじゃな、ヘタレに過度なボディータッチはしてはダメじゃな」

ちらっと、鬼騎を見ながら言った後、ロアは長い髪を撫でる。

「ヘタレでなくともダメだぞ?」
「それは状況によるじゃろ? シルクは変な事を言うのぅ」

ロアの言葉の中に突っ込むべき所があったので突っ込んだ。
そしたら不思議そうな顔されてしまった、別に変な事はいってないんだけどな。

「らっ君、ご飯まだ?」
「もう少し掛かるよ」
「そう、私はお腹へった、早くしてね」
「うん、早く出来る様に頑張るよ」
「ん、がんば」

で、こっちはこっちで鬼騎の心配より食欲の方にいっちゃってる。
いつの間にか椅子に座ったアヤネはカウンターに肘をついてご飯をねだってる、少しはしんぱいしてやれよ。

「むぅ……鬼騎は、もう少し度胸を付けた方が良いのぅ」
「いや、度胸と言うより、好きな人に触られる耐性を付けた方が良いな」
「うむ、そうじゃな」

そうしないと、メェと結ばれないと思うんだよな。
だって、相手は筋肉大好きで、飛び付いて来る様な奴だからな。

て、うん? ロアが俺を突っついてる。

「なんだ? うぐっ!?」

気になって、そっちを見たらキスされた。
ロアは小悪魔の様に笑ってこっちを見てる。

「くふふふふ、シルクも耐性を付けた方が良いのぅ」
「なっ、おま! 何言って……ん?」

ふざけた事を言うから文句を言うと、また背中を突っつかれた、なので反射的に振り向いてしまう、そしたら……。

「上書き」

ぎゅっ……。
膨れっ面アヤネに抱き付かれた、この時俺の身体は完全に固まってしまう。

「コラァァッ! 何を抱き付いておるっ!」
「そっちこそ、シルクにキスするのはダメ」

アヤネとロアは俺から離れて喧嘩を始める。
残された俺は呆然と立ち尽くしていた。

「くふふふふ、相変わらず遊ばれてるね」
「……うるさい」

暫くすると、ラキュが話し掛けて来た、俺は顔を赤くしてそっぽを向く。
くっ……ハードスキンシップに対しては耐性の付けようが無いな。

そう思った俺であった。

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