どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
186
「ヴァームの造った服を盗んだ犯人は、ロア……お前しか有り得ないって事だ」
俺の言葉を聞いたロアは硬直した。
扉の前に立っていたが俺の方を見た後、顔をひきつらせながら後退りする。
「くっくふふふ、いっいきなり犯人にされるとは……しっシルクは酷い奴じゃのぅ」
小刻みに震えながら言う、ロア、顔が真っ青だぞ? 言い訳するなら表情を変えた方がいいぞ。
だって、それだけで犯人は私ですって言ってる様な物だからな。
「あっぅ……うぅ……」
口ごもるロアは俺達を見ながらドアノブに手を掛けようとする。
「ロア様」
「うひゃっ、ヴァームっ!」
がしかし、いつの間にか背後に回っていたヴァームにその手首を掴まれる。
「自分が犯人ではないと言っているのに何故逃げるのです?」
「ぅっ、そそっそれは」
冷ややかな問い掛けに言葉がつまる。
「……その、あの、べっ別にわらわがあの写真を持っていただけで、はっ犯人とは限らな」
「あれだけ盛大に慌てておいて言い訳ですか?」
「……」
殺気だ、ヴァームから殺気が出てる、従者のヴァームが主であるロアを脅してる、なんだこの恐怖の光景は、誰もが口を閉ざしてる。
あっいや、ただ1人だけ「うっ羨ましいですわ」とか言ってる奴がいる、奇特な性癖もここまで来ると狂気を通り越して笑えてくる。
「ねぇロア様、あなた様は私がラムに八つ当たりした時悲鳴を上げて逃げましたね?」
「うっ、そっそうじゃが……それがどうかしたのかえ?」
あっ、その話引っ張り出すのか。
そんな事したら「ふふふ」って紅潮しながら震える奴が出てくるからやめて欲しい。
「可笑しいじゃありませんか」
ロアの耳元に近付き囁くヴァーム、鋭い目付きになりロアを舐め回すかの様に見つめる。
……尋問が始まる、ロアよ、こうなったら逃げられないぞ? 素直に謝るなら今なんじゃないか? 今なら少しだけ許して……はくれなさそうだな。
だってヴァームの顔が恐ろしい、あれは絶対に謝っても許してくれない顔だ。
「なっ何がおっ可笑しいと、いっ言うのじゃ?」
冷や汗をかくロア、ヴァームはギリリッと音をたてながらロアの手首を掴む力を強める。
「ラムが叩かれるのは見慣れてるでしょう、例えそれが何の理由もなくだとしても……」
いや、その理屈は可笑しい。
普通に酷いからな? 止めろよ、意味もなく叩くのは! あとラムっ、お前も「でへへへぇ」って笑ってないでヴァームの言葉に反論しろ!
「ぐっ、そっそれは……」
いやいや、ぐっ、それは……じゃないだろうロア!
そこは「いくらドMでも意味もなく叩くのは良くないのじゃ」って言う所だろ。
と言うか皆も言ってくれ、って俺が言えば良い話か。
だっだが今口を挟んだら……確実に酷い事が起きる、だから黙っておこう。
「ラムは常に叩かれる事を望んでいます」
「常には言い過ぎですわっ、流石に寝る時と食事時は勘弁して欲しいですの」
さらっと酷い事言うな……。
流石のラムも反論したんだが……なるほど、それ以外はOKと言うわけか、そうだとしても完全にアウトだけどな。
「それはこの城に住む者、城下街に住む者全員が承知の事実です」
このヴァームの言葉に俺とアヤネを除く全員が静かに首を縦に振った。
俺も魔王城に誘拐されてからラムがドMだって事は分かってはいるが……なんだ、この納得してはいけない言葉は。
「なのにロア様は怯えた、つまりそれは……」
「っ」
「何か後ろめたい事があって自分もラムと同じ事が起きるんじゃないか? と言う恐怖を感じたからではありませんか?」
ロアは目を見開いた。
そして目が泳ぎはじめた、分かりやすいな奴だな……どうやら後ろめたい事があるみたいだ。
「後ろめたい事が無ければ怯える事はありませんよね? さぁロア様、今なら怒りません、ですから正直に申してください」
なんと言う冷ややかな口調なのだろう。
その声音で「今なら怒りません」なんて良く言えたな! って突っ込みたいくらいだ。
「うっ……えと、ほっほんとうに怒らんな?」
え、まさか信じたのか? 俺でも流石にそれは嘘だと思うぞ?
あっいや、ロアからしてみたら嘘か否か考える暇がないのかも知れない、だって何度も言うが恐いからな。
「はい、怒りませんよ」
まるで天使の微笑みだ、だけどそれは作り笑顔だろう……。
そんな事も知らずにロアは口を震わせながらゆっくりとこう答えた。
「そっそうじゃ、わらわがヴァームの服をあいだだだだだだっ! うっうでがっ! 腕が良からぬ方向ににににっ、いぎゃぁぁぁぁっ!」
ヴァームはロアが言い終わる前に肘間接をがっちり掴んで関節技を決める。
うわっ、あれは痛い……っておい、そこのスライム、何目を輝かせてるんだ!
「あらあら、やっと自白してくれましたね」
「いだっ、いだいっ! ヴぁっヴぁーム、ぎっぎしゃまっ、おごらないと言った、でわわわわっなっないがぁぁ」
痛さに悶えるロアをヴァームは笑顔で見下す。
従者が主を痛め付ける様を見た全員 (ラム以外)はそっと目を反らした。
「はい、言いましたよ? ですが許すとは言ってません」
「なっ、ぐっぐぬぬぬっ! いっいだいっ! わっわがっだ! とっどりあえじゅわらわの話をををっぎっぎけ! ごっ5分だけでいいがらっ!」
「言い訳は後程聞きますね」
「あぁあぁぁぁぁぁっ!!」
ロアは痛々しい悲鳴を上げた。
出来ればこんな混沌とした現場に長居したくないから出ていきたかったが、ヴァームとロアに出口を塞がれて出ていけなかった。
なので俺達は暫くロアの悲鳴を聞くことになった……哀れロア、お前の事は忘れない。
俺の言葉を聞いたロアは硬直した。
扉の前に立っていたが俺の方を見た後、顔をひきつらせながら後退りする。
「くっくふふふ、いっいきなり犯人にされるとは……しっシルクは酷い奴じゃのぅ」
小刻みに震えながら言う、ロア、顔が真っ青だぞ? 言い訳するなら表情を変えた方がいいぞ。
だって、それだけで犯人は私ですって言ってる様な物だからな。
「あっぅ……うぅ……」
口ごもるロアは俺達を見ながらドアノブに手を掛けようとする。
「ロア様」
「うひゃっ、ヴァームっ!」
がしかし、いつの間にか背後に回っていたヴァームにその手首を掴まれる。
「自分が犯人ではないと言っているのに何故逃げるのです?」
「ぅっ、そそっそれは」
冷ややかな問い掛けに言葉がつまる。
「……その、あの、べっ別にわらわがあの写真を持っていただけで、はっ犯人とは限らな」
「あれだけ盛大に慌てておいて言い訳ですか?」
「……」
殺気だ、ヴァームから殺気が出てる、従者のヴァームが主であるロアを脅してる、なんだこの恐怖の光景は、誰もが口を閉ざしてる。
あっいや、ただ1人だけ「うっ羨ましいですわ」とか言ってる奴がいる、奇特な性癖もここまで来ると狂気を通り越して笑えてくる。
「ねぇロア様、あなた様は私がラムに八つ当たりした時悲鳴を上げて逃げましたね?」
「うっ、そっそうじゃが……それがどうかしたのかえ?」
あっ、その話引っ張り出すのか。
そんな事したら「ふふふ」って紅潮しながら震える奴が出てくるからやめて欲しい。
「可笑しいじゃありませんか」
ロアの耳元に近付き囁くヴァーム、鋭い目付きになりロアを舐め回すかの様に見つめる。
……尋問が始まる、ロアよ、こうなったら逃げられないぞ? 素直に謝るなら今なんじゃないか? 今なら少しだけ許して……はくれなさそうだな。
だってヴァームの顔が恐ろしい、あれは絶対に謝っても許してくれない顔だ。
「なっ何がおっ可笑しいと、いっ言うのじゃ?」
冷や汗をかくロア、ヴァームはギリリッと音をたてながらロアの手首を掴む力を強める。
「ラムが叩かれるのは見慣れてるでしょう、例えそれが何の理由もなくだとしても……」
いや、その理屈は可笑しい。
普通に酷いからな? 止めろよ、意味もなく叩くのは! あとラムっ、お前も「でへへへぇ」って笑ってないでヴァームの言葉に反論しろ!
「ぐっ、そっそれは……」
いやいや、ぐっ、それは……じゃないだろうロア!
そこは「いくらドMでも意味もなく叩くのは良くないのじゃ」って言う所だろ。
と言うか皆も言ってくれ、って俺が言えば良い話か。
だっだが今口を挟んだら……確実に酷い事が起きる、だから黙っておこう。
「ラムは常に叩かれる事を望んでいます」
「常には言い過ぎですわっ、流石に寝る時と食事時は勘弁して欲しいですの」
さらっと酷い事言うな……。
流石のラムも反論したんだが……なるほど、それ以外はOKと言うわけか、そうだとしても完全にアウトだけどな。
「それはこの城に住む者、城下街に住む者全員が承知の事実です」
このヴァームの言葉に俺とアヤネを除く全員が静かに首を縦に振った。
俺も魔王城に誘拐されてからラムがドMだって事は分かってはいるが……なんだ、この納得してはいけない言葉は。
「なのにロア様は怯えた、つまりそれは……」
「っ」
「何か後ろめたい事があって自分もラムと同じ事が起きるんじゃないか? と言う恐怖を感じたからではありませんか?」
ロアは目を見開いた。
そして目が泳ぎはじめた、分かりやすいな奴だな……どうやら後ろめたい事があるみたいだ。
「後ろめたい事が無ければ怯える事はありませんよね? さぁロア様、今なら怒りません、ですから正直に申してください」
なんと言う冷ややかな口調なのだろう。
その声音で「今なら怒りません」なんて良く言えたな! って突っ込みたいくらいだ。
「うっ……えと、ほっほんとうに怒らんな?」
え、まさか信じたのか? 俺でも流石にそれは嘘だと思うぞ?
あっいや、ロアからしてみたら嘘か否か考える暇がないのかも知れない、だって何度も言うが恐いからな。
「はい、怒りませんよ」
まるで天使の微笑みだ、だけどそれは作り笑顔だろう……。
そんな事も知らずにロアは口を震わせながらゆっくりとこう答えた。
「そっそうじゃ、わらわがヴァームの服をあいだだだだだだっ! うっうでがっ! 腕が良からぬ方向ににににっ、いぎゃぁぁぁぁっ!」
ヴァームはロアが言い終わる前に肘間接をがっちり掴んで関節技を決める。
うわっ、あれは痛い……っておい、そこのスライム、何目を輝かせてるんだ!
「あらあら、やっと自白してくれましたね」
「いだっ、いだいっ! ヴぁっヴぁーム、ぎっぎしゃまっ、おごらないと言った、でわわわわっなっないがぁぁ」
痛さに悶えるロアをヴァームは笑顔で見下す。
従者が主を痛め付ける様を見た全員 (ラム以外)はそっと目を反らした。
「はい、言いましたよ? ですが許すとは言ってません」
「なっ、ぐっぐぬぬぬっ! いっいだいっ! わっわがっだ! とっどりあえじゅわらわの話をををっぎっぎけ! ごっ5分だけでいいがらっ!」
「言い訳は後程聞きますね」
「あぁあぁぁぁぁぁっ!!」
ロアは痛々しい悲鳴を上げた。
出来ればこんな混沌とした現場に長居したくないから出ていきたかったが、ヴァームとロアに出口を塞がれて出ていけなかった。
なので俺達は暫くロアの悲鳴を聞くことになった……哀れロア、お前の事は忘れない。
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