どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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ここはお風呂場……こんな豪華なお風呂に日が沈んでいないのに1人でお風呂……寂しいって思ってるアヤネです。

「シルクも来れば良いのに……」

そう言いながら身体をごしごし洗う私、髪止めを腕に巻いて長い髪も毛先までくまなくシャンプーで洗う、基本面倒臭がりだけどこう言う事はきっちりやるタイプ、やんなきゃシルクに嫌われるかも知れないから……続けて身体も洗う、シャンプーはつけたままだ、まだ洗わないよ? 身体をボディーソープで洗ったら一気に流す、私はそうやって身体を洗うタイプ、そうする事で面倒な作業が一気に片付く、そんな事を思い付く私は天才だと思う。

「……何か虚しい」

こんな事1人で思ってても楽しくないので他の事を考える、と言う訳でこのボディーソープの匂い結構好きだ、そんな事を考えて寂しさをまぎらわせる。

「あっ……魔王はどうなったかな?ここに入って来る時にムーちゃんに取り抑えられてけど……」

ふっと私は思い出した……縄で身体中を巻かれてるのに器用に立ち上がって「貴様とは風呂には入りたくないが綺麗になりたいから入るのじゃ」って言った瞬間ヴァームに取り抑えられた……あれCQCってやつだよね? 片腕で相手の首を引っ掻けて頭から叩き付けるってやつ……流石ドラゴンでメイド長のムーちゃんだ、あっ、ムーちゃんって言うのはヴァームさんの事だったりする……これからそう呼ぶって決めた。

「よしっ、泡ながそ」

そんな事を考えてる内に身体は泡まみれ、もうお湯で流してしまおう。

「シルク……私絶対勝つから」

強く決心しながら頭からお湯を被る……私はシルクを連れ帰る為にここまで来た、私はシルクが好きだから連れて帰るんだ、でもシルクには何か事情があるみたい……「俺には好きな人がいる」その言葉を聞いた時、私は心に痛みが走った。
今のシルクは私を見ていない、シルクは「ロアにその人の面影がある」と言う事を言ってた……私の事は好きじゃないんだって思った。

「でもそれで恋を諦める理由には……ならない」

かっと目を見開いて髪の毛をぷるぷるっと振って水気を飛ばす。

「覚悟しろ魔王……私はシルクを魅了する」

魅了して私の事を好きになって貰う、そうしないと私がここに来た意味が無くなってしまう、誰に邪魔されようとやってやるんだ……心の中で強く何度も言い聞かせながら私はお風呂場から出る、誰に何と言われようと揺るがぬ強い決心を持ちながら……。



えー、所変わって今わらわはとある部屋におる、えっ? わらわが誰かって? わらわと言えばわらわしかおらんじゃろう……そう言っても分からんと言う奴の為に一応名乗るが……わらわは魔王のロアじゃ、魔王っと言っても(仮)が入ってしまうがの。

「何か考えてるのですか?」
「何でもないのじゃ!」

さて、そろそろ今はどこにいるか言わねばならんのぅ……それはわらわがもっとも来たくない場所で滅多な事では近付かん場所じゃ。

「全く……ではボロボロの身体ですみませんが後は頼みましたよラム」
「了解致しましたわっこのラムはロア様の隅から隅まで面倒見てさしあげますわ!」

そう……それはロアの部屋じゃ、部屋全体が水気で溢れて霧が掛かっておる部屋、壁も床も白一色で家具は水気で腐らぬ物をきっちり置いてある水気が多いのを除けば普通の部屋じゃ、ラムは嬉しそうに身体をぷるんぷるんと揺らして喜ぶ、さっきアヤネの料理の匂いを嗅いで昇天したのにもう戻ってきおったのか……タフなドMじゃな。

「ロア様は私の魔法で身動き1つ出来ない様にしてあります、やり過ぎない程度にやってしまいなさい」

そうヴァームの言う通りわらわには魔法が掛けられておる、それは 明日まで身動きが出来ない魔法じゃ。

「ヴァーム……恨んでやるのじゃ!」
「どうぞご勝手に」

ヴァームは一礼してラムの部屋から出ていってしまう、確かにわらわは城内で魔法を使った! だがあれはわらわの性では無くあの糞親父があんなふざけた手紙を残してわらわを切れさせたのが原因じゃ! じゃからわらわがお仕置きを受けるのはとんだとばっちりで本当にお仕置きを受けるべきなのは糞親父な訳じゃ……なのにヴァームはわらわが悪いと決めつけた! まぁ魔法を使って部屋半分消したのは流石にやり過ぎだとは思ったがの……。

「ロア様ぁ……何を考えていますの?」

そんな時じゃ、ラムがわらわの髪の毛を触って来た、しかも匂いを嗅んでくる……みっ身の毛もよだつとはこの事じゃな。

「止めろラム……それ以上は後で地獄を見るぞ?」
「ふふふふ……あたしはドMですからそんな脅しには屈しませんのっ」

くっ……そうじゃったドMに脅しは効果無しじゃった! わらわとしては迂闊うかつじゃったな……だがラムに好き勝手やられるつもりは毛頭ないのじゃ! 何とかしてこの状況から脱出しなければ……ってヴァームの掛けた魔法で身動き1つ出来んのじゃったな、しかも魔法も使おうと思ったが……こんな状況で使ったら次はヴァームに殺されてしまいそうじゃから怖くて使えん……あれ? これって詰んでおらんか?

「さぁロア様……ラムと一緒に愛を深めましょう」
「いっいっいっ嫌じゃぁぁぁぁ!!」

この後たっぷりと身体中が濡れるまでラムに好き勝手やられた、どう濡れたかは……すまぬがそちらで想像してくやれ、わらわはこの事に関しては何も思いたく無いのじゃ!


「うぅぅ……うぐぐぅぅっ、辱しめを受けたのじゃぁ」
「もう変な事を言わないで頂きたいですのっ、ただ全身をくまなく触っただけですわ!」

びくんびくんっーーと身体が揺れるわらわに不愉快な言葉を掛けてくるラム……こやつ、身体が自由になったら覚えておれよ?

「くっ……まだ身体がびりびりするのじゃ」

別に電流が流れて痺れている訳ではない、ラムによる変態行為で身体が変になっているだけじゃ、こんな事をしてる場合では無いと言うのに……こうしてる間にもアヤネとか言う女がシルクに何か仕掛けているやも知れん!

「ねぇロア様ぁ、今度は服を脱いでしてもよろしいですか?」
「それしたら一生口聞かんからな!……あと今考え事をしているのじゃ、静かにせんか!」

わらわがそう言うとラムは素直に「はーいですわ」と答える、可笑しい何時もなら構わず突っ込んで来るのに……今は置いておくとしよう、それよりもアヤネの事じゃ。
アヤネとか言う奴、突然わらわに挑戦状を叩き付けてきおった……その理由は十中八九あれじゃろう、女の勘と言う奴で分かったのじゃ、ずばりアヤネはシルクの事が好きっ! と言うか奴の一挙手一行動を見ていれば誰でも分かるじゃろう……まぁシルクは分かっていない様じゃがの。

「ねぇねぇロア様……」
「うっるさいのぅ!少し静かにせんか!」

ラムを黙らせた思考を続ける、まぁあれじゃ……アヤネの挑戦状を受けて現在の勝敗は1勝1敗、次の勝負で決着が着く……この勝負、絶対にわらわが勝たなければならぬ……何故ならわらわはシルクが大好きじゃからだ! 幼馴染みだろうがようしゃはせん、わらわはシルクを……赤子の時からみておったからな。

「シルク……わらわは勝つぞ」

つい決意が口に出てしまう……それ程までにわらわは本気なのじゃ、生半可な気持ちでシルクを愛してはいないのじゃ!

「ろっロア様ぁ、そろそろ構ってもよろしいですか? あたし! 放って置かれるのは嫌ですの!」
「…………っち」
「いっ今舌打ちしましたの!あたしのしつこさにイライラしましたの!」

ラムの言う通りあまりのしつこさに舌打ちしたが……何故こやつは嬉しそうにわらわに抱き付いてくるんじゃ? あぁ分かった……ドMだからか。

「まぁあれじゃな、明日の勝負は負けられんな」
「ふふふっ、あたしはロア様を応援致しますわよ」

そう言ってラムはわらわの頭を撫でてくる、お前に応援されなくてもわらわは勝つ、だから抱き付いてくるな! だっだが……応援されるのは悪くない、と口に出てしまいそうになったが必死で押し込んだ。

「あら?顔が真っ赤ですわよ?」
「きっ気のせいじゃろう……」

身動き出来んからラムから視線を反らせん……「へー、そうですの」と憎らしい程に悪戯な笑みを浮かべ見てくるラム……くっ今まで触れなかった分、存分にこの状況を楽しんでおる。

「そう言う事にしておいてあげますの!
さてロア様、明日の勝負に向けて鋭気を養うためにあたしとキスをーー」
「した瞬間お主の身体に一生消えぬ風穴を空けてやるぞ?」

精一杯の怒気を込めてラムを睨む、幾らドMでも風穴を空けられるのは嫌らしく一瞬にして後退りする、ふぅ……ようやく落ち着けそうじゃな、くっ……ラムの性で服がべとべとじゃ……これ乾くと良いのぅ。

「まっ服等この際どうでも良いか」

今大切なのは明日の勝負の事じゃ、アヤネよ覚悟せよ、わらわは全身全霊をもってそなたを敵と見なし叩き潰す、そう思ったわらわは気合いをいれる為に深呼吸する、明日必ず勝つ為に……。

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