FORSE
1
「今日も平和だなあ……」
と薄い緑の迷彩服に身を包んだサリドという黒髪の少年は、背伸びをしながら、言った。
「……おーい。さぼるなよ。サリド」
隣でしゃがんでせっせと草をむしっている男は言った。
金髪で、無精髭を顎に生やしたその男はラッキーストライクのタバコでもくわえて、黒いサングラスをかけている方が、よっぽど似合う気がした。
だがしかしその男はあろうことか(というのはとても失礼だが)サリドと同い年の16歳。未成年である。
少年の名は、グラムという。
「わかったよグラム。でもね。俺は朝の背筋伸ばしをしないと一日が始まらないんだよ」
「よく言って。そんなことを30分もやってるくせにか?」
グラムは皮肉るようにサリドを笑った。
「所詮、戦争はヒュロルフタームとFORSEの戦いだ。人間の兵隊など、いらなくなった。」とか偉そうに言ってたのはどこの誰だったか。
確かに、戦争はなくならなかった。
それは、だれにだって解ってる。
ヒュロルフタームという存在が。
世界の戦闘のシステムを変えた。
「でも、ヒュロルフタームは最初は平和的活用だったんだぜ? 核戦争があって人間が住めなくなった地上を作り直すための」
「そうなのか?」グラムは今まで抜いた草を綺麗にひとつにまとめながら、「でも、実際は違うじゃねえか。ヒュロルフタームが平和的活用の為に作られたってんなら、今俺らはこんなところにいないぜ?」
そうだな、と頷いてサリドは遠くを見る。
そこからは綺麗な青空と大きなコンクリートの建物が一、二個が見えるだけだった。
「にしてもさ」
「ん? どうしたサルド」
「腹減った」
サリドの言葉を聞いたと同時に二人の腹の音がぐうと鳴る。
「……どうせレーションだしなあ。あのくそまずいレーション食うなら雪とか食ってたほうがマシだぜ」
グラムは立ち上がり、腰をぽんぽんと軽く叩きながら、言った。
「そうだよなー。せめて鹿とかいりゃな。塩焼きとかうめーんだろうけど」
「それがこのグラディアのだめなとこだよな。グラディアの、しかもこのへんは農牧なんてやっちゃいねえから鹿どころか生えてるのは野草だらけだよ」
ぶつくさ言いながら、グラムは自分の服にかけてあったホルダーから袋を取り出す。
袋を開け、そこからだしたのは白い小さな正方形の形をした何か。
それをグラムは口に入れる。
「うーん。やっぱ口の渇きをなくすには水がいいよなー。こんな唾液を出させるために、わざとカラカラのもの食わせるなんてな。そのうち唾液すらもでなくなるんじゃねーの?」
「そうとはいってもさー。やっぱ唾液にも限度があんじゃねーの? だからそれはあくまでも一時的なやつで、長期間の喉の乾きを癒すのは無理とかどうとか、開発した学者が教鞭で言ってたぜ」
サリドは近くにあったスコップを地面に突き立て、言った。
「そうだな。ともかく戻ろうぜ。昼飯がなくなっちまう」
「あのくそまずいレーションでも食わなきゃ力になんねーしな」
そう言って二人は基地に戻った。
と薄い緑の迷彩服に身を包んだサリドという黒髪の少年は、背伸びをしながら、言った。
「……おーい。さぼるなよ。サリド」
隣でしゃがんでせっせと草をむしっている男は言った。
金髪で、無精髭を顎に生やしたその男はラッキーストライクのタバコでもくわえて、黒いサングラスをかけている方が、よっぽど似合う気がした。
だがしかしその男はあろうことか(というのはとても失礼だが)サリドと同い年の16歳。未成年である。
少年の名は、グラムという。
「わかったよグラム。でもね。俺は朝の背筋伸ばしをしないと一日が始まらないんだよ」
「よく言って。そんなことを30分もやってるくせにか?」
グラムは皮肉るようにサリドを笑った。
「所詮、戦争はヒュロルフタームとFORSEの戦いだ。人間の兵隊など、いらなくなった。」とか偉そうに言ってたのはどこの誰だったか。
確かに、戦争はなくならなかった。
それは、だれにだって解ってる。
ヒュロルフタームという存在が。
世界の戦闘のシステムを変えた。
「でも、ヒュロルフタームは最初は平和的活用だったんだぜ? 核戦争があって人間が住めなくなった地上を作り直すための」
「そうなのか?」グラムは今まで抜いた草を綺麗にひとつにまとめながら、「でも、実際は違うじゃねえか。ヒュロルフタームが平和的活用の為に作られたってんなら、今俺らはこんなところにいないぜ?」
そうだな、と頷いてサリドは遠くを見る。
そこからは綺麗な青空と大きなコンクリートの建物が一、二個が見えるだけだった。
「にしてもさ」
「ん? どうしたサルド」
「腹減った」
サリドの言葉を聞いたと同時に二人の腹の音がぐうと鳴る。
「……どうせレーションだしなあ。あのくそまずいレーション食うなら雪とか食ってたほうがマシだぜ」
グラムは立ち上がり、腰をぽんぽんと軽く叩きながら、言った。
「そうだよなー。せめて鹿とかいりゃな。塩焼きとかうめーんだろうけど」
「それがこのグラディアのだめなとこだよな。グラディアの、しかもこのへんは農牧なんてやっちゃいねえから鹿どころか生えてるのは野草だらけだよ」
ぶつくさ言いながら、グラムは自分の服にかけてあったホルダーから袋を取り出す。
袋を開け、そこからだしたのは白い小さな正方形の形をした何か。
それをグラムは口に入れる。
「うーん。やっぱ口の渇きをなくすには水がいいよなー。こんな唾液を出させるために、わざとカラカラのもの食わせるなんてな。そのうち唾液すらもでなくなるんじゃねーの?」
「そうとはいってもさー。やっぱ唾液にも限度があんじゃねーの? だからそれはあくまでも一時的なやつで、長期間の喉の乾きを癒すのは無理とかどうとか、開発した学者が教鞭で言ってたぜ」
サリドは近くにあったスコップを地面に突き立て、言った。
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