FORSE
2
ふたりは十分後、その基地にたどり着いた。
基地と言っても、二人の務める基地は移動式の基地でトレーラーのような、そんな形をしている。
「……ほんとうに、平和だなあ」
ぽつり、サリドはつぶやいた。
「ほんと、お前それしか言ってねーな。まあ、たしかにここが戦場とは誰にもわからんけどな」
グラムはそう言って、二人分のレーションを取り出す。
「おっ、サンキュー」
そう言って、サリドはレーションを受け取る。
専用のスプーンを使ってアイスクリームのように、レーションをすくい、一口食べる。
「……うえっ、まずい。ほんとこれじつは消しゴムなんじゃないか、って思うよ」
「でも、食える消しゴムも開発されてるんだよな? 大災害とか空襲とかあったときに食料を確保できるように、とかで」
「臭い付き消しゴムが出た時点でありえそうな気もしたけどな。結局ゴムはゴムだからまずいものはまずいんだよ」
そう言いながら、グラムはさらに一口。
「いや、そうだけどさ。こんなまずいもんばっか食ってたら兵隊の覇気も下がるんじゃねーの?」
「作った人から見れば『戦いは所詮ヒュロルフタームとFORSEだけ』だから兵隊に関しては二の次なんじゃねーの? あんま考えたくないけど」
と言ってサリドはレーションを口にほおり込んだ。
「さてと。また続きやっか」
「そうだな。ったくいつになったら終わるんだろうかなあ。はやく戦争らしいことやりたいぜ」
グラムはそんなことをつぶやきながら、近くにあったシャベルを持った。
「なにしてるの?」
二人はその声を聞いて、思わず心臓が止まるかと思った。
「……」
恐る恐る二人は振り向く。
そして、ほっと、息をつく。
「……姫がこんなところでなにをしてらっしゃるのです?」
「……バカにしてるでしょ?」
そこに居たのは軍服、といってもサリドたちとはことなる青の軍服だが、を着た少女がそこに居た。長い金髪が風にふわふわと揺れている。
「……暇だったからここにきたの」
「そっかー、たしかに暇だよな。戦争だってのに、敵からの攻撃0だしなー」
サリドは冷静を保ってしゃべっているようにも見えたが、
実際には至極緊張していた。
なぜか?
なぜなら、彼と話しているその少女こそ、
――『ヒュロルフターム』を操るパイロット『ノータ』の一人なのだから。
「……でも、この戦争ももう終わるよ」
「?」
「あれ? さっき無線で鳴らしてなかったっけ? ブリーフィングを行うからサッサとこい。ってね」
「え?! まじか!! じゃあおれら作戦を知らずに突入する羽目に……!!」
「もう終わっちゃってるから急いで聴きにいかないと。作戦決行は3時間後だよ?」
「やべえ!! いそがなきゃ!! ありがとう姫様!!」
かすかに敬礼をして、走る二人だった。
ふたりは上官の部屋に来ていた。上官はどうやら和風マニアのようで、『私は納豆が好きです』とか言うあまりよくわからない掛け軸とかがかかっていた。
「……あれほど、昨日ブリーフィングの時間については言ったと思ったんだけど」
その上官は軍服、というよりかは警察官のよく着る制服のような服に身を包み、左手にペンを握って、何か板のようなものに書いていた。
「タブレット、ですか?」
「ええ。よくわかったわね?」
そう言って、上官は長い銀髪をたくしあげる。
「少佐になるといろいろと大変でね? このグラディアの戦争の他にリブガナ諸島のテロリストも制圧しないといけなくてね」
タブレットの脇にあるボタンを押すと、スクリーンになにかが映し出される。
それは、地図。そこに赤や青の点が動いている。
「私がこのタブレットにタッチすると赤のやつが反応する。それを引っ張ったりすれば殲滅したりできるってわけよ。ともかく私は忙しいの。あんたらがその私の忙しさをさらに忙しくしたのは分かっているよな?」
二人は答えない。
「分かっているよな?!」
「い、イエッサー!!」
ふたりは何かに怯えるように、敬礼する。
話がおわって。
「いやあ。こっぴどく叱られた」
「だな。というかあと3時間だったよな」
サリドとグラムは喋りながら、廊下を歩く。
「えーと、俺はあのまま草刈り続行かー。だいぶ辛いのですが」
「おー。頑張れ頑張れ、俺は冷房かかった部屋で『ヒュロルフターム』の整備だから」
「そうか。おまえそっち系目指してるんだもんな」
「ああ。夢はヒュロルフタームの設計士だ」
そう話しながら、サリドとグラムの二人は別れた。
基地と言っても、二人の務める基地は移動式の基地でトレーラーのような、そんな形をしている。
「……ほんとうに、平和だなあ」
ぽつり、サリドはつぶやいた。
「ほんと、お前それしか言ってねーな。まあ、たしかにここが戦場とは誰にもわからんけどな」
グラムはそう言って、二人分のレーションを取り出す。
「おっ、サンキュー」
そう言って、サリドはレーションを受け取る。
専用のスプーンを使ってアイスクリームのように、レーションをすくい、一口食べる。
「……うえっ、まずい。ほんとこれじつは消しゴムなんじゃないか、って思うよ」
「でも、食える消しゴムも開発されてるんだよな? 大災害とか空襲とかあったときに食料を確保できるように、とかで」
「臭い付き消しゴムが出た時点でありえそうな気もしたけどな。結局ゴムはゴムだからまずいものはまずいんだよ」
そう言いながら、グラムはさらに一口。
「いや、そうだけどさ。こんなまずいもんばっか食ってたら兵隊の覇気も下がるんじゃねーの?」
「作った人から見れば『戦いは所詮ヒュロルフタームとFORSEだけ』だから兵隊に関しては二の次なんじゃねーの? あんま考えたくないけど」
と言ってサリドはレーションを口にほおり込んだ。
「さてと。また続きやっか」
「そうだな。ったくいつになったら終わるんだろうかなあ。はやく戦争らしいことやりたいぜ」
グラムはそんなことをつぶやきながら、近くにあったシャベルを持った。
「なにしてるの?」
二人はその声を聞いて、思わず心臓が止まるかと思った。
「……」
恐る恐る二人は振り向く。
そして、ほっと、息をつく。
「……姫がこんなところでなにをしてらっしゃるのです?」
「……バカにしてるでしょ?」
そこに居たのは軍服、といってもサリドたちとはことなる青の軍服だが、を着た少女がそこに居た。長い金髪が風にふわふわと揺れている。
「……暇だったからここにきたの」
「そっかー、たしかに暇だよな。戦争だってのに、敵からの攻撃0だしなー」
サリドは冷静を保ってしゃべっているようにも見えたが、
実際には至極緊張していた。
なぜか?
なぜなら、彼と話しているその少女こそ、
――『ヒュロルフターム』を操るパイロット『ノータ』の一人なのだから。
「……でも、この戦争ももう終わるよ」
「?」
「あれ? さっき無線で鳴らしてなかったっけ? ブリーフィングを行うからサッサとこい。ってね」
「え?! まじか!! じゃあおれら作戦を知らずに突入する羽目に……!!」
「もう終わっちゃってるから急いで聴きにいかないと。作戦決行は3時間後だよ?」
「やべえ!! いそがなきゃ!! ありがとう姫様!!」
かすかに敬礼をして、走る二人だった。
ふたりは上官の部屋に来ていた。上官はどうやら和風マニアのようで、『私は納豆が好きです』とか言うあまりよくわからない掛け軸とかがかかっていた。
「……あれほど、昨日ブリーフィングの時間については言ったと思ったんだけど」
その上官は軍服、というよりかは警察官のよく着る制服のような服に身を包み、左手にペンを握って、何か板のようなものに書いていた。
「タブレット、ですか?」
「ええ。よくわかったわね?」
そう言って、上官は長い銀髪をたくしあげる。
「少佐になるといろいろと大変でね? このグラディアの戦争の他にリブガナ諸島のテロリストも制圧しないといけなくてね」
タブレットの脇にあるボタンを押すと、スクリーンになにかが映し出される。
それは、地図。そこに赤や青の点が動いている。
「私がこのタブレットにタッチすると赤のやつが反応する。それを引っ張ったりすれば殲滅したりできるってわけよ。ともかく私は忙しいの。あんたらがその私の忙しさをさらに忙しくしたのは分かっているよな?」
二人は答えない。
「分かっているよな?!」
「い、イエッサー!!」
ふたりは何かに怯えるように、敬礼する。
話がおわって。
「いやあ。こっぴどく叱られた」
「だな。というかあと3時間だったよな」
サリドとグラムは喋りながら、廊下を歩く。
「えーと、俺はあのまま草刈り続行かー。だいぶ辛いのですが」
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