FORSE

巫夏希

そのころ、和風マニアの暴力上官ことリーフガット・エンパイアーはブリザードの中を、生き残った兵士たちとともに歩いていた。

「弱まるどころかますます酷くなるばかりね……」

リーフガットは、つぶやくように言った。

「あの問題児たちも行方を眩ますし……、問題は山積みね……」


そんなとき、彼女の無線機に通信が入った。

相手はその“問題児”。サリド=マイクロツェフからだった。


「サリド=マイクロツェフ。そこで何をしているの? というか今はどこ?」

あくまでも怒りは消し去り、冷静に質問するリーフガット。

それに対してサリドは、

「俺らは今クラーク雪原の森に来てます! そこであった敵兵と銃撃戦中です!」

タタタタタン!! と会話の合間や会話中に聞こえてくる。おそらくそれが敵の銃声と味方――即ちサリドたちの銃声なのだろう。

「サリド。作戦は失敗したのだ。ヒュロルフタームも壊され、グラディア軍に立ち向かえるものはない。急いで戻ってこい。本国に戻れば『クーチェ』の予備がある。それを用いてまた進撃すればいい」

「でもその間に敵も回復しますよね? そしてまたやられた堂々巡りじゃないんですか?」

上官の事実上の“退却命令”にサリドは返した。

「……堂々巡り。たしかにそうかもしれない」

一息。

「ならばお前らにヒュロルフタームが倒せる術があるとでも? お前らもヒュロルフタームの凄さは解っているだろう?」

「解っています」サリドははっきりとした口調で、「解っています。解っているからこそ戦いに行くんです。それに……」

「それに?」

リーフガットの言葉にサリドははっきりと答えた。

「勝機なら、あります」

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