FORSE

巫夏希

何もない、乾いた大地。

かつてあったであろう都市群の瓦礫が目につく。

「ひでぇな。これがすべて戦争の結果か」

「『戦争はなにも生み出さない』とか言ったのはどこの学者だったっけか」サリドはグラムに尋ねた。

「さあ。どうだろうね。もしそいつがそこにいたら、その通り人間は馬鹿です、とでも言ってやろうか」

グラムは端末に手をとり、言った。


「サリド、なにやってんだ。おまえ?」

「地形調査」サリドは端的に述べ、「人為的に作られた空洞を探してるんだけども。見当たらないね」

「サリド……? これなんだ?」

気づくとグラムはサリドの持つ携帯端末の画面をじっと見ていた。

「ん……?」サリドはグラムが言っていることに気づき、「あぁ。これはエネルギー反応を示すやつだよ。だから地上に青白い二つの塊があるだろう? それは僕らさ」

グラムは頭を掻いて、ひとこと「よくわからん」と不貞腐れたように呟いた。しかし、すぐになにか思い出したのか、

「……じゃなくて、深度7m付近のエネルギー反応について俺は言いたいんだ」

「え?」

サリドはそれを聞いてもう一度携帯端末とにらめっこする。

するとグラムの言う通り、その場所には高エネルギー反応を示す緑の膜がみられた。

「……なるほどね。妨害電波を送っているのか、はたまたフロートの熱を逃がす管か……。行ってみる価値はあるね」

サリドがそう考察した。

「おいおいサリド待てって! その確証はあるのか? 仮に後者だったら俺ら焼け死ぬぞ……」

「それでも、行ってみる価値はある」

「……分ぁーったよ。行きゃいいんだろ?」

「君がそういう性格で助かる」

「好きでこんな性格じゃないんだがね」

グラムはため息のように声を吐き出した。


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