FORSE

巫夏希

そこに、それがやってきた。

『第1世代』と『第2世代』。二体のヒュロルフタームがいるのにも関わらず。

ただ、それはその普通なら最悪であろう状況を鑑みず、やってきた。

「……やってきましたわね」

「えぇ」

二人のノータは会話を交わす。

「じゃあ……、まずは、私からっ!!」

そう言って蟻蜂の騎士が乗るヒュロルフターム・ユローはその砲口に光を溜め込む。

「粒子砲……?! さっそくそんなものを使ってエネルギーは持つの……?!」

「おほほ、ご心配のようなので先に申してあげますが、私は予備バッテリーを常に持っていってるのですよ。だから常に最大出力が可能になる!!」

そんなことを話している間にも、粒子砲の中には光がどんどん集まってくる。

そして、ついには。

粒子砲が、劣化ヒュロルフタームに向かって撃ち放たれた。

たしかにヒュロルフターム・ユローの放った粒子砲はヒュロルフターム擬きを命中していた。粒子砲は摂氏3500度。その気になればヒュロルフタームの装甲をも融かすことができる。

筈なのに。

その擬きはびくともしなかった。

「まさか……。この私のヒュロルフタームの粒子砲を耐えた?!」

蟻蜂の騎士はこれまでに見たことのないほど慌てていた。当たり前なのかもしれない。これまでどんな戦闘においても冷静沈着、時には味方をも平気で撃ち抜く、と言われていた彼女が、こうも慌てているのだから。

予測範囲外の事態。

彼女ら二人はそう考えた。

「ならば……」

そう言って姫はコックピットにあるレバーを引く。

ジャキッ、という金属と金属が擦り合わさったような音が響く。

「……これしかないわ」

『リリー・ダレンシア少尉! なにをするつもり?!』

気づいたら通信が入っていた。それは上官のリーフガットからだった。

「粒子砲がだめなら、コイルガンを撃つ。それでだめならレールガン。手はまだまだある」端的に述べ、通信を切った。

……のだが。

『ダメよ。リリー。それは許されない。たとえ「ノータ」としても、その命令は受理されない』

「闘わずに指揮だけしてるあなたがよく言えることですね」

リリーの声は平坦だったが、それは明らかに怒りの表情が入っていた。

『だめよ。リリー。それは絶対に「さよなら」

リーフガットの話が終わる前に彼女は通信を強引にシャットダウンして、


砲にためていたエネルギーを一気に射出した。



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