FORSE
10
サリドは通信機をてにとり、どこかに通信を始めた。
「サリド・マイクロツェフから本部へ!!」
「はい、どうした? サリド」
なぜか通信に答えたのはリーフガットだった。
「なぜリーフガットさんがそこにいるかは知りませんけど単刀直入に言いますね。今ヒュロルフタームが戦ってるのは幻影です!! 本物はどこか別のところに」
サリドがそこまで言ったとき、不自然なノイズがかかりはじめた。
「あれ……? つな……い? とりあ……れわ……んぞう…………」
リーフガットが聞き取れたのはここまでだった。
「迷惑をかけたようで失礼する」
ノイズがひどくなったあと、ようやく回復して、リーフガットはもう一度通信をとろうと思ったときのことだった。
そのあとに聞こえてきたのは、壮年の嗄れた声だった。その声はリーフガットも聞き覚えがあったようで。
ヴァリヤー・リオール。
レイザリー王国で上院議員を務めていて、『四天王』という実効支配組織の一員でもある。
(なぜ四天王直直に通信を……?)
そんなことをリーフガットは思っていたわけだが。
「先ほどサリド・マイクロツェフ、グラム・リオール両氏が流した情報は確証を掴めていない。彼らは劣化ウラン弾による放射線被曝によって『戦争症候群』に陥り、論理的思考力と記憶力が低下して、錯乱したとみられる。繰り返すが先ほどの情報は間違いの可能性が高い……」
そこで、通信は途絶えた。
通信は、無論サリドたちにも聞こえていた。
「畜生!! あのくそ親父いったい何言ってやがるんだ?!」
グラムはサリドから通信機を奪い取り、
「おい!! 聞いてるか!! 俺たちの言ってることは嘘じゃねぇ!! だれか応答しろ!!」
「無駄だ。グラム。もはや誰もお前の事を聞かぬよ?」
「……じじい……!!」
「ほうほう。遂にはそう呼ぶようになったか。親は大事にしろよ?」
「お前なんか親と呼べるか!! 貴様こそ虚偽の情報を流してどうするつもりだ!!」
グラムは通信機に吠えた。虚しく廊下に声が響く。
「……知っているか? 南のリフディラのレジスタンスの活動が活発化していることを?」
「?」サリドは聞いたことに首を捻る。
「お前らの『ヒュロルフタームを素手で倒した』勲章は全世界に知れ渡った。それによって『人間でもヒュロルフタームは倒せる』と認識されてしまったのだよ? そんな“偶然によって生み出された”認識によって世界の秩序は崩れつつあるのだよ?」
「だから俺たちを都合よく殺すというのか?! 『戦争で勝つのはヒュロルフターム』と明確に位置づけるためにか?!」
「……人類の歴史には犠牲を伴うのだよ。それを解りたまえ」
ヴァリヤーは、さらに淡々とした口調で語る。
「なぜ解ろうとしない? 強いものが、この世界を支配するのだよ。それを覆してもらっちゃあ困るんだよ」
「だから……殺すのかよ? でもここにヒュロルフタームはいないぜ?」
それを待ってたと言わんばかりにヴァリヤーは笑いだし、
「なにも殺すのはヒュロルフタームとは決まっておらぬよ? 今二体のヒュロルフタームが戦っている敵の本体は一体どこにいるのかねぇ?」
「……まさか!!」
サリドが言った瞬間。
ドゴォォォォン!! と何かが爆発したような音が、響いた。
「サリド・マイクロツェフから本部へ!!」
「はい、どうした? サリド」
なぜか通信に答えたのはリーフガットだった。
「なぜリーフガットさんがそこにいるかは知りませんけど単刀直入に言いますね。今ヒュロルフタームが戦ってるのは幻影です!! 本物はどこか別のところに」
サリドがそこまで言ったとき、不自然なノイズがかかりはじめた。
「あれ……? つな……い? とりあ……れわ……んぞう…………」
リーフガットが聞き取れたのはここまでだった。
「迷惑をかけたようで失礼する」
ノイズがひどくなったあと、ようやく回復して、リーフガットはもう一度通信をとろうと思ったときのことだった。
そのあとに聞こえてきたのは、壮年の嗄れた声だった。その声はリーフガットも聞き覚えがあったようで。
ヴァリヤー・リオール。
レイザリー王国で上院議員を務めていて、『四天王』という実効支配組織の一員でもある。
(なぜ四天王直直に通信を……?)
そんなことをリーフガットは思っていたわけだが。
「先ほどサリド・マイクロツェフ、グラム・リオール両氏が流した情報は確証を掴めていない。彼らは劣化ウラン弾による放射線被曝によって『戦争症候群』に陥り、論理的思考力と記憶力が低下して、錯乱したとみられる。繰り返すが先ほどの情報は間違いの可能性が高い……」
そこで、通信は途絶えた。
通信は、無論サリドたちにも聞こえていた。
「畜生!! あのくそ親父いったい何言ってやがるんだ?!」
グラムはサリドから通信機を奪い取り、
「おい!! 聞いてるか!! 俺たちの言ってることは嘘じゃねぇ!! だれか応答しろ!!」
「無駄だ。グラム。もはや誰もお前の事を聞かぬよ?」
「……じじい……!!」
「ほうほう。遂にはそう呼ぶようになったか。親は大事にしろよ?」
「お前なんか親と呼べるか!! 貴様こそ虚偽の情報を流してどうするつもりだ!!」
グラムは通信機に吠えた。虚しく廊下に声が響く。
「……知っているか? 南のリフディラのレジスタンスの活動が活発化していることを?」
「?」サリドは聞いたことに首を捻る。
「お前らの『ヒュロルフタームを素手で倒した』勲章は全世界に知れ渡った。それによって『人間でもヒュロルフタームは倒せる』と認識されてしまったのだよ? そんな“偶然によって生み出された”認識によって世界の秩序は崩れつつあるのだよ?」
「だから俺たちを都合よく殺すというのか?! 『戦争で勝つのはヒュロルフターム』と明確に位置づけるためにか?!」
「……人類の歴史には犠牲を伴うのだよ。それを解りたまえ」
ヴァリヤーは、さらに淡々とした口調で語る。
「なぜ解ろうとしない? 強いものが、この世界を支配するのだよ。それを覆してもらっちゃあ困るんだよ」
「だから……殺すのかよ? でもここにヒュロルフタームはいないぜ?」
それを待ってたと言わんばかりにヴァリヤーは笑いだし、
「なにも殺すのはヒュロルフタームとは決まっておらぬよ? 今二体のヒュロルフタームが戦っている敵の本体は一体どこにいるのかねぇ?」
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