FORSE
14
そのころ、ヒュロルフターム。
「あら……。動きが止まりましたわね?」
「本当だ。どうしたのかしら?」
二人のノータは話をしていた。
そして結論を打ち出した。
この敵はもう死んだ、と。
キャンプベースでは、宴が行われていた。なんでも勝利祝いだとか。
「どうせ本国に帰ったら盛大にやるのにどうしてこのレーションだけで宴をしようと考えるのかねぇ。はやく帰ってフライドチキンが食いたいよ」
グラムは特大レーションにかじりつきながら、言った。
「はっちゃけたい気分なんだろ。たぶん」
サリドはいつものサイズのレーションをスプーンで掬って一口食べた。
「それはそうだな。ま、俺たちもいらん嫌疑が外された祝いということだ」
「なんの祝いだよ。元々知らなかったし、別にどうでもいいんじゃないの? 少なくとも俺はそんなかんじにプラス思考で考えているけどさ」
サリドはまた、レーションをスプーンで掬って言った。
「ふうん。そんなもんか」
「あぁ。そんなもんだ」
「サリド、グラム。どうした。辛気臭い顔をして?」
サリドとグラムの会話に、私も混ぜてくれよ、と言わんばかりにリーフガットが混ざり込んだ。
「どうしたんですか。リーフガットさん。仕事は終わったんですか」
「始末書とか今までのことをワープロに打ち込むことを仕事とは呼ばん」
確かにそうだ、とサリドは思った。
「で……。あの騒動は誰が……?」
「サリド。それはあんたらが一番知っていることじゃないのか? 犯人はヴァリヤーだよ。あいつしか今のところこんなことが出来る所業の人間はいない」
でもな、とリーフガットは続けた。
「証拠がないんだ」
「証拠?」
「そうさ。やつは確かに我々に向かって情報攪乱を目的とした通信を行なった“としている”」
「……としている?」
「考えてもみろ。あの通信は録音はしてある。声色の判定からもヴァリヤー本人と確定するだろう」
だがな。
「それが『ヴァリヤーが国を裏切るために情報攪乱を行なった』という証拠にはならんのだ」
「?! なぜ……?」
驚きを隠せないサリドにリーフガットは続ける。
「世の中には著名な人間の声色のデータを手に入れて情報を攪乱させる、というテロの常套手段があってな。まず国のお偉いさんはそっちの方向から調べ始めるわけだ。その人間にとってはまさか『本人が情報攪乱のためにやっている』とはおもわないだろう?」
「確かに、その通りだ……」
サリドはもはやレーションを掬うスプーンの手もやめ、ひとり項垂れていた。
「まあ、そんな簡単に項垂れて、諦めるんじゃねぇよ」
リーフガットは手に持ったマグカップをどこかに置いて、
「あんたらは十分頑張った。一先ず休め。いつ戦争にまた駆り出されるかわからん時代だからな」
リーフガットは笑って言った。
サリドは彼女の笑顔を初めて見たような気がした。
リーフガットの助言通り、帰りは休むことにした。床について、目を瞑る。でも、なんだか眠れなかった。
なんだかおぞましい感じがして、寝ることを許されなかった。
そして、ひどく寒い。四季が豊かな本国に来た証だろう、とサリドは納得し、ようやく深い眠りについた.
「あら……。動きが止まりましたわね?」
「本当だ。どうしたのかしら?」
二人のノータは話をしていた。
そして結論を打ち出した。
この敵はもう死んだ、と。
キャンプベースでは、宴が行われていた。なんでも勝利祝いだとか。
「どうせ本国に帰ったら盛大にやるのにどうしてこのレーションだけで宴をしようと考えるのかねぇ。はやく帰ってフライドチキンが食いたいよ」
グラムは特大レーションにかじりつきながら、言った。
「はっちゃけたい気分なんだろ。たぶん」
サリドはいつものサイズのレーションをスプーンで掬って一口食べた。
「それはそうだな。ま、俺たちもいらん嫌疑が外された祝いということだ」
「なんの祝いだよ。元々知らなかったし、別にどうでもいいんじゃないの? 少なくとも俺はそんなかんじにプラス思考で考えているけどさ」
サリドはまた、レーションをスプーンで掬って言った。
「ふうん。そんなもんか」
「あぁ。そんなもんだ」
「サリド、グラム。どうした。辛気臭い顔をして?」
サリドとグラムの会話に、私も混ぜてくれよ、と言わんばかりにリーフガットが混ざり込んだ。
「どうしたんですか。リーフガットさん。仕事は終わったんですか」
「始末書とか今までのことをワープロに打ち込むことを仕事とは呼ばん」
確かにそうだ、とサリドは思った。
「で……。あの騒動は誰が……?」
「サリド。それはあんたらが一番知っていることじゃないのか? 犯人はヴァリヤーだよ。あいつしか今のところこんなことが出来る所業の人間はいない」
でもな、とリーフガットは続けた。
「証拠がないんだ」
「証拠?」
「そうさ。やつは確かに我々に向かって情報攪乱を目的とした通信を行なった“としている”」
「……としている?」
「考えてもみろ。あの通信は録音はしてある。声色の判定からもヴァリヤー本人と確定するだろう」
だがな。
「それが『ヴァリヤーが国を裏切るために情報攪乱を行なった』という証拠にはならんのだ」
「?! なぜ……?」
驚きを隠せないサリドにリーフガットは続ける。
「世の中には著名な人間の声色のデータを手に入れて情報を攪乱させる、というテロの常套手段があってな。まず国のお偉いさんはそっちの方向から調べ始めるわけだ。その人間にとってはまさか『本人が情報攪乱のためにやっている』とはおもわないだろう?」
「確かに、その通りだ……」
サリドはもはやレーションを掬うスプーンの手もやめ、ひとり項垂れていた。
「まあ、そんな簡単に項垂れて、諦めるんじゃねぇよ」
リーフガットは手に持ったマグカップをどこかに置いて、
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リーフガットは笑って言った。
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