FORSE

巫夏希

そのころ、ショッピングモールで遊んでいたサリドとグラムにもその雄叫び――本人たちにはそうと聞こえなかっただろうが――がはっきりと聞こえた。

「サリド。今の聞こえたか?」

「あぁ。地響きにしちゃぁ、生ぬるい、気持ち悪い音だ」

サリドは気だるそうな表情で言った。


戦闘は二人を待たせなかった。

直後。

ドバァァァン!! と上から滝のように瓦礫が落ちてきた。

瓦礫の中心には、鉄球。

この世のものとは思えないほど暗い、鉄の球。

「なんだよ……。どうやら敵は待ってくれねぇよーだな!! こちとらヒュロルフタームとの二連戦でやっと取れた休暇なのによ!!」

「あぁ。そうだ。だがグラム。ここで落ち込んでる場合じゃないとおもうぞー」

「落ち込んでるんじゃねぇ!! 怒ってるんだ!! 一体何処のどいつがこんなことしやがるんだ!!」

グラムは叫びっぱなし。

それでも、敵の猛攻は緩まない。

ドゴゴゴゴゴ!! と鉄球は何発も撃ち込まれ、その度に天井の壁材が崩れ落ちる。

「もう許さねぇ!! 行くぞ!! サリド!!」

「キャティちゃんは……妹はどうするんだ?」

「……」

しばらくそのことで二人は思考を停止していたが、

「大丈夫。キャティはここにいる。だからお兄ちゃんたちは敵を倒してきて」

強く、真っ直ぐな眼で、彼女は告げた。


「……そうか」

「うん。だから安心して世界を救ってきてね?」

キャティのその言葉を聞いて、二人は走り出した。

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