FORSE
15
そのころ。
ヴァリヤーは瓦礫の街を逃げていた。
最初は走っていたのだが、軍人とはいえ体は老人。体力も尽きて、ゆっくりと歩いていた。
「こんなことになるはずは……」
ヴァリヤーは息も絶え絶えながら、呟いた。
そんなときだった。
「逃げるのか?」
ふと、背中から声が聞こえた。
「……貴様、なぜここに」
「逃げるのか?」
それはヴァリヤーの言葉に聞く耳をもたず、ただ繰り返した。
ヴァリヤーは声の発生源があるとみられる後ろに振り向くことができなかった。しなかったのではない。できなかった、のだ。
「……フィレイオか……。何のようだ?」
ヴァリヤーが振り向かない理由。
それは、熱。
背中から伝わってくる、熱でヴァリヤーはまるでサウナに入ってるような感覚に襲われる。
「……私をどうするつもりだ?」
何度も尋ねるヴァリヤーにフィレイオは答える。
とても、静かな口調で。
「なに、簡単なことですよ」
刹那、轟!! と空気を吸い込み、炎の渦が形成された。
無論、振り向かないヴァリヤーにはそれを解ることはできない。
「まさか……委員会が裏切ったとでも言うのか?! ヒュロルフターム・プロジェクトの創始者である私を?!」
「あぁ、そうそう。忘れていました」
フィレイオは歌うように言葉を紡ぐ。
「ライジャックさんから一言、伝言です。『ご苦労さま☆』ってね」
そして、
炎の渦がヴァリヤーを包み込んだ。
そのころ。
会議室のような部屋で大きな丸テーブルを境として何人かが座っていた。
全員分埋まっているように見えた座席は不自然にひとつだけ空いていた。
「ヴァリヤーがやられたらしいな」
一番右端にいた男が言う。
「……やつは結構横暴でせっかちだったからな。仕方はないだろう」
別のところにいた別の人間が答える。
「しかし、ヒュロルフタームプロジェクトに関わっていた人間を殺すとはだいぶ惜しい事をしたがね」
「なぁに、仕方あるまい」
「計画の方が先だ」
ひとまず、サリドたちはこの事を報告すべく、国王や関係各位に連絡をつけた。
そしてヴァリヤー・リオールを全世界に手配することに決定した。
……もういない人間であるというのに。
ただ、そのことはサリドたちにはまったく解らないことであった。
ところは変わり。
「……まったく、一番“殺し”でめんどくさいのは“死体の処理”だよねー」
フィレイオがずるずると何かを引っ張っている。
それは“見ようによっては”人に見える、なにか。
「さーってと」
フィレイオは思いきり力を入れて、既に掘ってあったであろう穴にそれを放り投げた。
フィレイオはその穴に適当に土を放り捨て、どこか当てもなく歩いていた。
「……まったく最近は組織の人も人使いが荒いよ。僕ら『オリジン』をなんだと思ってるんだか」
「えぇと? 次は何処だったっけ?」
フィレイオはポケットに入れてあった紙を開く。
「ふうん。南、か。まったく。次こそは面白い戦いになってほしいもんだよ……。ありゃ?」
フィレイオがポケットを探ると、封筒があった。
「こんなのあったっかな?」
フィレイオは口笛を吹きながら、ほんとうに楽しそうな感じで、封筒を開いた。
その中に入っていたのは――写真。
「なに。次の指令はこいつら焼けばいいの? ……久々に面白くなりそうだねぇ」
フィレイオは写真を見て恭しく笑っていた。
その写真は――サリドとグラムの写真だった。
ヴァリヤーは瓦礫の街を逃げていた。
最初は走っていたのだが、軍人とはいえ体は老人。体力も尽きて、ゆっくりと歩いていた。
「こんなことになるはずは……」
ヴァリヤーは息も絶え絶えながら、呟いた。
そんなときだった。
「逃げるのか?」
ふと、背中から声が聞こえた。
「……貴様、なぜここに」
「逃げるのか?」
それはヴァリヤーの言葉に聞く耳をもたず、ただ繰り返した。
ヴァリヤーは声の発生源があるとみられる後ろに振り向くことができなかった。しなかったのではない。できなかった、のだ。
「……フィレイオか……。何のようだ?」
ヴァリヤーが振り向かない理由。
それは、熱。
背中から伝わってくる、熱でヴァリヤーはまるでサウナに入ってるような感覚に襲われる。
「……私をどうするつもりだ?」
何度も尋ねるヴァリヤーにフィレイオは答える。
とても、静かな口調で。
「なに、簡単なことですよ」
刹那、轟!! と空気を吸い込み、炎の渦が形成された。
無論、振り向かないヴァリヤーにはそれを解ることはできない。
「まさか……委員会が裏切ったとでも言うのか?! ヒュロルフターム・プロジェクトの創始者である私を?!」
「あぁ、そうそう。忘れていました」
フィレイオは歌うように言葉を紡ぐ。
「ライジャックさんから一言、伝言です。『ご苦労さま☆』ってね」
そして、
炎の渦がヴァリヤーを包み込んだ。
そのころ。
会議室のような部屋で大きな丸テーブルを境として何人かが座っていた。
全員分埋まっているように見えた座席は不自然にひとつだけ空いていた。
「ヴァリヤーがやられたらしいな」
一番右端にいた男が言う。
「……やつは結構横暴でせっかちだったからな。仕方はないだろう」
別のところにいた別の人間が答える。
「しかし、ヒュロルフタームプロジェクトに関わっていた人間を殺すとはだいぶ惜しい事をしたがね」
「なぁに、仕方あるまい」
「計画の方が先だ」
ひとまず、サリドたちはこの事を報告すべく、国王や関係各位に連絡をつけた。
そしてヴァリヤー・リオールを全世界に手配することに決定した。
……もういない人間であるというのに。
ただ、そのことはサリドたちにはまったく解らないことであった。
ところは変わり。
「……まったく、一番“殺し”でめんどくさいのは“死体の処理”だよねー」
フィレイオがずるずると何かを引っ張っている。
それは“見ようによっては”人に見える、なにか。
「さーってと」
フィレイオは思いきり力を入れて、既に掘ってあったであろう穴にそれを放り投げた。
フィレイオはその穴に適当に土を放り捨て、どこか当てもなく歩いていた。
「……まったく最近は組織の人も人使いが荒いよ。僕ら『オリジン』をなんだと思ってるんだか」
「えぇと? 次は何処だったっけ?」
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「ふうん。南、か。まったく。次こそは面白い戦いになってほしいもんだよ……。ありゃ?」
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