FORSE

巫夏希

少しして、リーフガット・エンパイアー率いる部隊はブリーフィングどおりの配置となった。

と、言っても何をするかは単純明解。

鉱山を壊さないようにクーチェを出し、反乱軍を殲滅する。それだけのこと。

「あれだな。いくらなんでも今度こそは暇だよな。だってまわりにいっぱい仲間がいるんだぜ」

とグラム。

「そうだな。俺だってもともとはヒュロルフタームの設計士を目指す為にきた学生だぜ? なんで誰もやらないようなことをやるようになったんだろうなぁ?」

とサリド。

彼らは今いったいどこにいるのか、と言えば。

「……にしても暑いなー。なんでこんな暑いところにいなきゃいけないんだ?」

「命令だから仕方ないだろ。ともかく俺らはここで待機して仲間を待つんだよ」

サリドとグラムはまるでテンプレート通りの南国にいた。

ヤシの木に、青い海、白い砂浜。

そしてそこに不釣りあいな白いコンクリートの建物と迷彩服を着てアサルトライフルを持った男が二人。

「……あぁ。泳ぎたい」

「暑いもんな。泳ぎたい気持ちは俺にだってわかるさ」

「それを言いたいのは私なのだがなぁ」

サリドとグラムの会話に横入りしてきたのは彼らの上司、リーフガットだった。

彼女は今、普通の青い軍服にを着ているが、やはり彼女も暑いのか、持っていた書類を団扇代わりにして扇いでいた。

「ああ、暑い。ほんとうに暑い」

うざったそうな口調で彼女は言った。

「でも一番暑いのは姫様でしょうね」

「そう思うでしょう? でも実はヒュロルフタームのコックピットは熱が隠らないようにしてあるし、温度を自動調節しているのよ。ノータがかく汗がノータ自身の不安要素になるらしいからね」


「なるほど。たしかに部隊の要であるヒュロルフタームのノータには最大限の配慮が必要ですしね」

「とりあえずさっさと終わらせるぞ……。今回は反乱軍殲滅と同時に暫定自治の部隊引き継ぎもあるから10日程滞在せねばならないんだ」

「リーフガットさん。初耳ですよ、それ」

サリドがため息を、ただしリーフガットやグラムには聞こえないほど小さなものだが、つきながら言った。

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