FORSE

巫夏希

2-3

「私は、ライズウェルト・ホークキャノン、と言います」

開口一番、その操縦席にいた女性は色々な機器をまるで出鱈目にボタンやらなんやらをつかって調整しながら言った。

「ホークキャノンってまさか……」

サリドがライズウェルトの名前を聞いて、ハッと思い出した。それと同時のことであったが、

「姉さん?!」

後ろから誰かの声が聞こえ、振り返ると、フランシスカの健康管理担当であったラインスタイル・ホークキャノンが驚愕の表情を浮かばせていた。

「なんで姉さんが……? 今はまだ戦争中じゃ……」

「いやぁ、私もよく解らないんだけどね? どうやら世界トライアスロン開催中は世界中の戦争はお休み。また開催時期前後二週間に行われる行事は休み、みたいで。まぁ、結果として私がここに駆り出されたわけ」

ライズウェルトは意外と小さな、触ったらふくらみが把握出来るくらいの胸に手をあて、言った。

「毎回思うけど姉さんは然るべきところが成長してないわよね……。顔はいいのに」

「余計なお世話よ。ラインスタイル」

ライズウェルトは少しだけ声を荒げて言った。

「さてと、そろそろ追い掛けなくちゃね。もう競技開始から20分は経ったわよね?」

ライズウェルトはそう言うと足早に操縦席に戻り、操縦捍を握る。

「いっくわよ~!!」

そう言うと。

船は水飛沫を上げ、恐ろしいほどの、まさに電光石火と形容するに相応しいほどの速さで大洋に消えていった。

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