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FORSE

巫夏希

3-7

そのころサリドたちは夜の街を走っていた。理由は、急にサリドが何かを思い起こしたかのようにマンションを出て、街に向けて走り出したため。グラムも驚いて、数メートル後ろを走っていた。

「サリド……!! 急にどうしたんだよ!! ……っ!!」

「グラム、それはちょっと今は言えない。確信出来るまでは」

「確信、って…… いったいどういうことだ?!」

グラムはサリドに食いかかるように叫ぶ。走りながらなので息も絶え絶えだ。

「……ほら、やっぱ……!!」

急にサリドが立ち止まり、その景色を見て、言った。

「やっぱ、って……?」

グラムもサリドが見つめた方角を見て、そして、

呻いた。

「……どうなってんだ、こりゃ!!」

そこに広がっていたのは……倒れ込んでいた二人の姿だった。

「フランシスカ! ロゼ!」

サリドは直ぐ様それに気付いたようで、フランシスカの方に走っていき、グラムに目配せした。

「……はいはい、俺はロズベルグさんのほうに行きゃいいんだな?」

そう言ってロズベルグの方へ向かい、彼女を抱き上げた。

――思ったより体は軽かった。まぁそこは淑女なので体調管理をきちっとしている証なのではないか、と思ってもしまうがよくよく考えるとそれではおかしい事になる。

ノータは普通の女性軍人よりかは重労働を毎日、来る日も来る日もしていることになる。ヒュロルフタームの操縦もそう簡単ではないのだ。

だからノータというのは平均的に女性らしいシャープでしなやかなボディに成人男性以上の筋肉がついているとなれば、自ずと体重は上がってしまう。これは質量保存の法則からも明らかなことだ。

しかし、彼女、ロズベルグは異なった。このボディに相応しい体重ほど重くはなかったのだ。まるで“重力に逆らって自らの体重を目減りさせている”かのように。

「グラム、なにしてるのさ! 早くさっさとマンションに運ぼう!」

サリドはグラムに精一杯の声で叫ぶ。何処と無くフランシスカを抱える腕が悲鳴をあげているのは気のせいだろうか?

「……あぁ、そうだったな!」

そう言ってグラムとサリドは来た道をまた戻っていった。

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