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FORSE

巫夏希

4-4

「それに……、奴らが神に忠誠を誓っているとはいえ、それは抽象的であり操作が容易であるからな。最悪無関係の人間がテロリストとして仕立てられることも考えたくはないが、奴らの力ならばそれも簡単に出来ることだろう」

「……確かに、有り得る……」

リーフガットの言葉にいち早く答えたのはサリドだった。

「サリド。なんだ? やけに詳しそうじゃないか」

「大分前に言った気がするんですけど……。うちの家族は全員神殿協会なんですよ。それが昔から嫌いで。だって居るか居ないかも解らない存在に忠誠を尽くして死ぬんですよ? どんなこともしなくてはならないんですよ? それがどんなに、無慈悲で、疲弊を生み出すのか? ……僕はそんな日常が嫌いになってしまった。で、気付いたら僕は伯父の家からレイザリーの学校に通っていました」

「……つまり、神殿協会にはサリドの家族がいる……ということになるのか」

グラムは溜め息混じりに呟いた。





そして、21時。

とある廃倉庫にいたレイシャリオはその時をひたすら待っていた。何故ならそれが、彼女を含めた神殿協会の望みでもあったのだから。

彼女は、科学技術からの解放を望んでいた。

彼女は科学技術というものを嫌っていた。

だから、彼女は神殿協会に入信した。自らの目的を果たす為に。

マイクロツェフ家は戦争武闘を相伝する家であったがそれは既に弟――サリド・マイクロツェフに受け継がれていた。それも彼女が神殿協会に入信した理由でもあるだろうし、もともと彼女の家族は代々神殿協会で枢機卿を務める――言うならば重鎮であるのだ。

そんな家族で育ったのだから、レイシャリオがそこに入るのはそう不思議ではなかった。

しかし、だからこそ。

弟がヒュロルフタームを理由に資本主義国、レイザリー王国へと向かったことがとんでもなく彼女や、その家族にダメージを与えたのだ。

ヒュロルフターム――資本主義国レイザリー王国が開発した人型兵器。これが開発され、資本主義国は大いに潤った。

しかしながら社会主義国、これに限りなく神殿協会を国教としている国家全般に言えること、は『神への愚弄だ』として使用の中止を命じた。

そんな中、資本主義国と社会主義国の大きな衝突のひとつであったプログライト戦争が発生。その後20年もの間、戦争は続いていくのだった。

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