FORSE
4-12
その頃、サリド。
「ぐあっ……。ぐおおおお!!」
フィレイオは、最早自我を失いかけていた。彼自身が彼をコントロールするのが困難になりつつあった。
なぜか?
理由は容易な事だった。
「サリド・マイクロツェフ……!!」
フィレイオは目の前にいる、その敵の名前を苦し紛れに呟いた。
「おら、どうした? もうここで終わりか?」
サリドはフィレイオに向けて挑発する。それをフィレイオに受け流す力は、もう無かった。
「……まだ、終わっちゃいない……!!」
すっかり息を切らせてしまい、肩で呼吸をしているフィレイオは悔しそうに、しかしそれを悟られまいと必死に隠していた。
「いや、もう終わりだよ」
サリドはそんなフィレイオの言葉を振り払い、
「……だって、どう考えても君、闘えそうにないだろ?」
サリドは溜め息をついて、投げ掛けた。
そして、グラムやリーフガットはその状況を、実際にその目で見ているにも関わらず、信じられずにいた。
「お、おい……。グラム。信じられるか……?」
「俺もそんなの解りませんよ。今のこの状況、まるで夢を見てるみたいで」
「だろうな……。私も今のところこの状況を、実際に目には入ってきているが信じられない。だって相手は今まで不明瞭なところばかりで所謂ブラックボックスだった『魔術』を使う人間だぞ? 恐らく魔術だけに頼っているとは到底思えない。きっと、肉体もそれを使えるように改造しているはずだ。それがサリド、しかも御世辞にも肉体がいいとは言えない人間が倒す? 全くもって、信じられない……!!」
「ぐあっ……。ぐおおおお!!」
フィレイオは、最早自我を失いかけていた。彼自身が彼をコントロールするのが困難になりつつあった。
なぜか?
理由は容易な事だった。
「サリド・マイクロツェフ……!!」
フィレイオは目の前にいる、その敵の名前を苦し紛れに呟いた。
「おら、どうした? もうここで終わりか?」
サリドはフィレイオに向けて挑発する。それをフィレイオに受け流す力は、もう無かった。
「……まだ、終わっちゃいない……!!」
すっかり息を切らせてしまい、肩で呼吸をしているフィレイオは悔しそうに、しかしそれを悟られまいと必死に隠していた。
「いや、もう終わりだよ」
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