FORSE

巫夏希

サリドとグラムは軍施設に集められ、まずはリーフガットの指示を仰ぐことにした。

「もうノータとヒュロルフタームはきてるらしいから、きちんと対応する事。赤のカラーリングのついたやつよ。確か第三世代。この前の世界トライアスロン時に姫様が臨時で乗ってたアレよ」

リーフガットの話を、サリドとグラムは時折メモを取りながら真剣に聞いていた。

「……それじゃ、僕がやることは?」

「ガンテばあさんに詳しいことは頼んでるわ。たぶんヒュロルフタームの整備。だけど外だけじゃなくて中もだから結構めんどくさいはずよ」

「りょーかいです」

「あの……、俺は?」

「グラムは力仕事、と行きたいんだけど……。ちょっと仕事を追加。ノータの服を持っていって」

「これって……神様が俺にくれたラッキーイベント?!」

グラムは涙を流しながら、言った。

「グラム、裸を見れるわけじゃないし、それ以上の関係は築けないよ? ……たぶん築いた瞬間軍を辞めさせられるだろうし」

サリドはグラムを宥めるように言った。

「わ……わかってらぁ」

グラムは明らかに動揺していた。まさかこいつは本当にあわよくばノータと事に及ぼうとしたのか? サリドはこれから良き友人のことを変態犯罪予備軍に位置付けて監視網を張ることに……。

「おい待て。人を勝手に変態扱いするな」

「さっきまでそんなことを言ってたくせにか?! どんだけイメージを大事にしたいんだお前は! 残念ながらお前のイメージはもう負の極限値に達してるからな!」

サリドとグラムが口喧嘩をして、リーフガットもイライラが募っていたのだろう。

刹那、リーフガットによるゲンコツ型ロケット×2が二人に放たれることになるのだった。




グラムはゲンコツロケットを被弾して、命令通りノータのパイロットスーツを新しいノータへ持って行くことになった。

リーフガットからは既に名前が聞かされていた。

ライラ・コルタス。

それが彼女の名前らしい。申し訳なさ程度に名前の傍に『♀』と書かれているからにはよく性別が間違えられるということなのだろうか。

「えっと……ロッカールームの右隣……これか」

そしてグラムは簡単にノータのいる部屋へと辿り着いた。

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