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FORSE

巫夏希

扉を開けるとそこには一人の少女がソファーに腰掛けて寝転がっていた。テレビがかけっぱなしのところをみると、どうやらテレビを見ながら寝転がっていたら寝てしまった、あたりが有力だろうか。

「……ラッキーは諦めよう」

そう言ってグラムはテーブルの上に赤色のノータパイロットスーツを置いた。

「……、待てよ。寝てる……んだよな?」

ここでグラムは良からぬ事を考え付いてしまうのだった。

「顔ぐらい……拝んでもよくね?」

因みにテーブルはソファーの背凭せもたれのあたりに置かれているため、そこから顔は眺めない。しかし後ろ姿から彼女は美人であることが何となく予測できた。部屋には扇風機が置かれているため、その風により彼女の金色の髪が靡いていた。

彼女は白いワンピースを着ていた。こんな格好で毛布もかけずに寝ていられるのは時期が時期だからだろう。

とは言うものの、最近世界の温度が徐々に増えているのだ。だから実際にはまだ夏とは言い難い季節ではあるのに、もう長い間真夏日が続いていた。科学者はこれを『世界の終了の予兆』とかどうとか言っていたので、こういう知識に疎いグラムでも、そのことは知っていた。

グラムはそんなことを思い出しながら、ゆっくりと背面から前面に移動していった。

「どんな顔なのかなー……」

グラムは無意識にそんな事を呟いていたのだが、

「……あぁ、冗談だろ?」

グラムは驚くべき事実を目の当たりにして天を仰いだ。

何故ならそこにいたのは、

先程ゲームセンターにいた、あの彼女だったのだから。

ただ、それまでならいい。

さらに特筆すべきところといえば、彼女が起きていたことだった。

「しかも……こいつ起きてやがる……!!」

「別に私が起きてようとなかろうと私の勝手でしょ? まぁ、テレビ見ながらポテトチップスでも食べて、多少夢現になってたところだけど」

ライラは髪がボサボサになるのも構わないかのように、また無造作に髪を掻いた。

「というか、なんであんたがここにいんの? ……まさかだけど、あんた軍人だったの? その割にはぜんっぜんオーラが感じられないんだけど」

「……さっきから、言ってくれるじゃねぇか」

「……私と一戦やる?」

「誰がお前なんかと」

「だよね? ……さぁさ、出ていった。乙女のお着替えを見ようなんてなんとも破廉恥な考えは止めるんだね」

そう言われてグラムは部屋から追い出された。

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