FORSE

巫夏希

12

「ヒュロルフタームもどんどん新しいのが生まれていってるわよねぇ……。ノータもそうだけど、このまま無闇に増やしてもいいのかしら?」

食事時だったこともあるので、フランシスカとリリーはテラスのあるカフェテリアへやって来ていた。

「……今日、実験だったんだ」

「あれ? あんた知らなかったの? ノータは皆知らされてると思ったけど」

フランシスカはフォークでスパゲッティを絡めとり、口に運んだ。

「全てそれがノータに知らされてる情報だとは思わないで。私はようやくリハビリが終わって、やっとちゃんとしたものが食べれるようになったんだから」

そう言ってリリーはラザニアを一口食べた。

「ふぅん……。やっぱり透明病はまだ治りがよくないみたいね」

「でも、あの薬草のおかげでここまでなんとか。あれがなかったら私はここに今いないわ」

「……で、」

リリーはラザニアを掬うスプーンの手をやめ、言った。

「私を呼んだ理由は……なにかしら?」

「さぁて、なんの事かな」

「とぼけるなら結構。私は帰らせてもらうわ」

そう言ってリリーが席を立ち上がったそのとき、

「まぁ待て。話は……最後まで聞くべきだと習っただろう?」

フランシスカがリリーの手首を掴んで、言った。

「……まずは、この写真を見てくれないか?」

フランシスカはそう言ってポケットから一枚の写真を取り出した。

「……これは?」

リリーはその取り出された写真を見て、呟いた。

「これは……、神殿協会が持つはじまりの福音書、そのとあるページ。ヒュロルフタームと思われる何かが写っているだろう?」

フランシスカが言ったので、リリーはその写真を見つめた。写真をそれほどよく観なくても、それは見つかった。

「……確かに写ってるわね。で、これが?」

「そこに書かれているのは古い文字なのでよく読み取れないが……内容だけを取ると、ここ100年で起きた事がまとめられているらしい。見ろ。ビッグフロートにメタモルフォーズ、それにセントラルターミナルの崩壊……。偶然の一致とは思えないだろう?」

「……全ては仕組まれていた、とでも……?」

「そうと私は考えている。……そしてその続きは大地に十字架を刻み、巨大な何かに世界が滅ぼされる様が描かれている」

「今までの事からして、これは……予言、であると?」

リリーの言葉に、フランシスカはうなずいた。

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