FORSE

巫夏希

17

サリドとグラムがリーフガットからのVMにより呼び出されたのは、それから少し経ってのことだった。

「リーフガットさん。どうして呼び出したんですか? まさかまた戦争が……」

「間違ってはないわね。ただし今回は攻撃を受ける側、だけど」

リーフガットは積もり積もった書類の山を少しづつ机の端に押し込みながら、言った。

「ディガゼノン聖軍って知ってるかしら? まぁ知らなくても話を進めるのはあれだから、簡単に言うと神殿協会唯一の軍事組織『バルバス』にある四つの“聖軍”の中でも最強の部隊……。諜報部の力を使ってもここまでしか解らなかった」

「要はこの前よりも戦闘に特化した連中なんですね」

「そうあっさりと言われると諜報部の苦労が水の泡ね……。まぁ、それはおいといて、そのディガゼノン聖軍が我々に無血開城を命じてきたのよ」

「無血開城? レイザリー城を?」

サリドは急に冷や水を被ったかのように驚いた。当たり前だろう。ついこないだまで敵として戦った組織に無血開城を宣告されたとしたら、誰だってこの反応をするに違いない。

「まさか四天王はこれに……?」

「応じるわけないわよ。あの老人どもがそんなことを決断するとは思えないし。……それで当たり前だけど交渉は決裂。今レイザリー国境に向けてディガゼノン聖軍が来ているとのことよ」

「それで……どうするんですか?」

「何としても国境までで迎え撃ちこの戦争を終わらせよ、というのが四天王の命令。だからヒュロルフタームも急遽三台も使うことになるわ」

「三台……ってルビンも投入するんですか?! クーチェとポートコルで十分じゃ……」

「四天王の命令だ。……私もルビンが調整中ということは理解している。そのことを考慮してくれと頼んだ。だが、命令は絶対、とのことだ」

「でも、それにクーチェとポートコルのノータは休養中では? そんな簡単にヒュロルフタームで迎え撃つと言われても……」

「休養は取消……よ。全く、なんでこうなっちゃうのかしらね……!」

サリドの後ろから不意に声が聞こえた。何だろう、と後ろを振り返ると、

「……フランシスカにリリー、か……。てっきり王都のカフェテリアで優雅に食事でもしていると思ったよ」

「なんで貴方がそれを知ってるのかが疑問なんだけど?」

フランシスカは氷柱の視線(氷ならば尖って等いない。その視線は、見るからに鋭く尖っていたのだ)をサリドに突き付ける。

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