FORSE
28
九年前。
リーフガットは軍に入りたてでまだ雑用をこなして過ごしていた。
「リーフガット。なんでうちらに雑用ほっぽいとって男どもは優雅に食事でもしてんのかなぁ」
少女がスコップを用いて穴を掘りながら言った。
少女は栗色の髪をしていた。はっきりとした瞳は少し緑がかっていた。
少女の名前はラインツェル・タニーニャと言った。彼女はハキハキと仕事をこなし、上層部からも密かに将来有望と望まれていた人間である。
リーフガットは、自分とは大違いだ、と毎回彼女に会う度に思っていた。
この頃、リーフガットは軍に在籍はしていたが、既に在籍していた父の影響で何をしても、
「君があの男の子供か」
と“父親ありきの自分”しか評価されなかったのだ。
だから自分はあまり上に進もうとは思わなかった。彼女は人相応の暮らしが出来ればそれで良いと思っていたからである。
「……そうねぇ。でも仕方ないんじゃない? 肝心の神殿協会は籠城を続けてもう一ヶ月。そろそろ白旗をあげるとでも思ってるのよ」
「リーフガット、あんたは甘い!」
ラインツェルが人差し指をびしっと立てて、
「そんなんだから色々となめられるのよ! 私みたいに堂々としておかなきゃ!」
胸を張って、言った。
「それは解るんだけどね……」
リーフガットはそれを見て愛想笑いしか出来なかった。
リーフガットは軍に入りたてでまだ雑用をこなして過ごしていた。
「リーフガット。なんでうちらに雑用ほっぽいとって男どもは優雅に食事でもしてんのかなぁ」
少女がスコップを用いて穴を掘りながら言った。
少女は栗色の髪をしていた。はっきりとした瞳は少し緑がかっていた。
少女の名前はラインツェル・タニーニャと言った。彼女はハキハキと仕事をこなし、上層部からも密かに将来有望と望まれていた人間である。
リーフガットは、自分とは大違いだ、と毎回彼女に会う度に思っていた。
この頃、リーフガットは軍に在籍はしていたが、既に在籍していた父の影響で何をしても、
「君があの男の子供か」
と“父親ありきの自分”しか評価されなかったのだ。
だから自分はあまり上に進もうとは思わなかった。彼女は人相応の暮らしが出来ればそれで良いと思っていたからである。
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