FORSE

巫夏希

29

エンパリヤーク帝国領ディガゼノン。

それがこのリーフガットたちがいるキャンプの場所の名前だった。

そしてリーフガットとラインツェルしか女性は居なく、即ちそれは性的な事件が起きても逃げ場がないことを意味していた。


だからといって無駄なフラグが立った訳ではない。立てようともしたわけではない。こんなところで無駄な伏線を立ててもらっちゃ困るのだ。

「……寒い」

「そうね……。冬、なわけないわよね。だって今は夏ですもの」

その日は、夏にしては寒かった。

しかし、何故寒いのかは彼女達に解る事ではなかった。

「なんだろうな……。この寒さは……。神殿協会がやっているお告げに基づく気象変動だったりするのか?」

「まさか。いくら神殿協会だからってそんなことが出来るとは到底思えない。科学ですらそれを導くのに長い間の猶予が必要だったのよ? それを数年で? そんなことを可能にする人間がいるならこちら側に引き抜きたいくらいよ」

思えば、これが予兆に過ぎなかった。

この後に起きることこそ、レイザリー王国の歴史に残るものの、謎の存在に包まれていた『謎の抵抗(Unknown of resist)』であるのだった。

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